日本とグローバル2度の創業を経験し、11カ国でサービスを展開した原動力とは

人材ビジネス事業者向けに、クラウドマッチングシステムを提供しているポーターズ株式会社。同システムは国内のみならず、世界11カ国に導入されています。その立役者は、ポーターズの共同創業者であり、取締役の渡邊智美。小学校から高校までをアフリカで過ごし、たったひとりで海外を開拓した彼女の姿をご紹介します。
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アフリカで過ごした少女時代の思いが形に

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▲2001年に共同創業者としてポーターズを立ち上げ、2014年にポーターズグローバルを立ち上げた渡邊智美

ポーターズがグローバル展開を決めたのは2014年。人材ビジネス向けの管理システム「HRビジネスクラウド」で国内でも高いシェアを占めている当社が、次なるステージを目指し、より市場の大きい海外へ目を向けるのは自然なことでした。

同年8月、シンガポールに現地法人を立ち上げ、代表に抜てきされたのが渡邊智美です。

渡邊はポーターズの創業時から、海外で活躍したいという思いを持っていました。その背景には、幼少期の体験があります。父親の仕事の関係で、小学校4年生から高校卒業までをアフリカで過ごした渡邊。インターナショナルスクールに通い、さまざまな国の人と触れ合いました。

最初は言葉が通じませんでしたが、それでも友達が欲しくて、積極的にクラスメートの輪に飛び込んでいきます。アジア人が渡邊のほかにいなかったこともあり、最初はそっけない反応ばかり。

しかし、持ち前の明るさと人見知りしない性格を発揮し、すぐに溶け込めるようになりました。英語もこのときに習得したのです。アフリカへの思いを、渡邊はこう話します。

渡邊 「アフリカには貧しい国がたくさんあります。裕福な家庭に生まれ、大学も出て、国際的に活躍しているビジネスパーソンもいる一方で、貧困に苦しむ人たちもいます。日本人としてこのような現実に対して、何か役に立ちたいとずっと思っていたことが、海外と関わって仕事をしていきたいという思いの原点です。」

そんな渡邊の長年の思いが形になり、ポーターズは世界へ向けて動き出しました。新たな市場として選んだのは、経済成長が目覚ましい東南アジア。

産業が発展すれば仕事が生まれ、人のニーズも増えます。必然的に、人材紹介業も増加していきます。日本とも距離が近いため、グローバル展開の第一歩として最適な舞台だったのです。

お客様とともに一緒に成長していきたい

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▲創業者のポーターズ代表取締役 西森康二と

とはいえ、いきなり現地の企業に提案をするのは、さすがにハードルが高い。そこで渡邊は、日本ですでに接点のある紹介会社の、海外法人への導入をまず目指すことにします。

渡邊 「日本ではすでに、日系や外資系の大手人材企業とつながりがあったので、各国の責任者を紹介してもらったんです。シンガポールを拠点に、バンコクやマレーシアなど、毎週のように営業に行っていましたね。月に一度は帰国もしていたので、3週間を海外で、1週間を日本で過ごす、というのが当時のスタイルです。」

日本で高いシェアを占めるHRビジネスクラウドだけに、製品力には自信があった渡邊。しかし、すぐに導入を決めてくれた紹介会社もあったものの、すべてが順調にいったわけではありません。

導入してくれた企業との、特に印象に残っているエピソードを、渡邊は感慨深げに振り返ります。

渡邊 「バンコクにあるPERSONNEL CONSULTANT MANPOWER(THAILAND)様は、自前のシステムを20年ほど使っていて、最初の訪問は説明のみにとどまっておりました。」

それでもめげず、バンコクに行くたびにアポを取り、あいさつに通います。家族旅行でバンコクに行った際も、渡邊だけ時間をつくって同社を訪ねました。すると、先方もビジネスやシステムの課題感を少しずつ共有してくださるようになったといいます。

そして、初訪問から4年後、不意に「システムの導入を考えています」と社長からメールが届きます。競合他社とのコンペではありましたが、渡邊の熱心かつ丁寧な提案によって、導入に至ったのでした。

ほかに感慨深かったのは、当時タイとシンガポールで紹介事業を行なっていたリーラコーエン社への導入。同社は他社システムを使っていましたが、渡邊のアプローチによって切り替えに成功しました。その後、リーラーコーエン社は順調に事業拡大し、ベトナムやインド、フィリピン、マレーシアなど10カ国に21拠点を構えるようになりました。

渡邊 「導入後にリーラコーエン様が成長したのを見て、私たちのシステムが少しでもお役に立てたのかなと、とても嬉しくなりました。もちろん、リーラコーエン様の魅力があってのことだと感じていますが。拠点拡大に伴って、私たちのHRビジネスクラウドも各国に広がっていったので、一緒に成長させてもらったような気持ちですね。」

海外営業で、英語力よりも大事なこと

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▲シンガポールに単身で乗り込み、周辺各国への営業に奔走した

このように、ポーターズのグローバル展開をけん引してきた渡邊ですが、実は英語力に自信があるわけではありません。アフリカから帰国して以来、語学のトレーニングを一切していないため、しゃべれるのは高校生レベル。当初はビジネスシーンで使う英語にも自信がありませんでした。

渡邊 「英語がそのレベルなのに、海外営業を任されるって面白いですよね(笑)。でも私はもともとへこたれないタイプですし、『通じればいいじゃん!』って思っているので大丈夫です。
それよりも、一社一社の抱えている課題に耳を傾け、システムでどのように解決のお手伝いができるのか、きちんと伝えられることが大事ですね。また、これまで日本の人材ビジネスにおける課題解決の経験も大変役に立ちましたし、自信となりました。」

2015年末、そんな渡邊に転機が訪れます。第1子の妊娠です。日本へ戻り、遠隔でグローバル営業を続けつつ、2016年8月に出産。

2018年現在は、渡邊は国内のミッションもあり、他のメンバーがグローバル事業を引き継いでいますが、定期的にフォローアップを行なっています。新規商談や、新しい国での最初の契約など重要な場面では自ら客先へ飛び、商談にも臨みます。

渡邊 「HRビジネスクラウドをもっと多くのお客様にご利用いただくには、お客様の状況や要望を知ることが重要です。なので、常にお客様とコミュニケーションを取って、ヒアリングしていますね。
最近はSNSなどを利用して海外のお客様とのリアルタイムなコミュニケーションがしやすくなりました。
新しいリリースがあれば、何年もお会いしていない方にも、『ご無沙汰しています!』と連絡をしてアポを取る。そしてごあいさつがてら、サービスの提案をしています。私の持っている縁を全部生かせれば、と思っています。」

HRビジネスクラウドをインフラにしたい

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▲2018年1月の社員研修にて。社内もグローバルな環境づくりを目指している

労働人口の増加するアジア地域では、人材紹介、人材派遣業はもちろん、採用企業での人材マッチングシステムへの期待が高まっています。ポーターズではこれまで以上にグローバル営業に力を入れていきます。

2018年8月、海外のユーザーは日系企業の割合が多いですが、現在ローカル企業や多国籍企業への提案を多く行なっており、より注力していく考えです。

そんな同社が求める人材は、最低限の語学力と、海外で活躍したいという思いのある方。また、本当に顧客に合った提案をするために、人材紹介の知識も必要だと渡邊は話します。

ただ、実務経験は不問で、「探求心を持ってビジネスモデルを調べ、きちんと理解して提案できる方であれば歓迎です」とも言います。 「グローバル営業は、今はアジアが中心。でもこれから、欧米やカナダにも進出していきたい。一緒にチャレンジしたいという方を求めている」と渡邊は呼びかけます。

今後もポーターズでは、システムをはじめとした事業を通じて、世界中の企業の生産性向上や、雇用拡大に貢献していきます。対応領域も、現在は人材紹介と人材派遣に特化していますが、BPOやアウトソーシングなど、世界で多様化する人材のマッチングニーズに応えていきたいと考えています。

渡邊 「電気や水みたいに、HRビジネスクラウドがHR業界のインフラツールになることを目指します。そして、企業と人との良き出会いのマッチングを支援し、ミスマッチのない働きがいを生み出す世の中にしていきたいです」

そんな渡邊の思いは、少しずつ、しかし着実に、世界を変えようとしています。彼女、そしてポーターズの挑戦は、まだはじまったばかりです。

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