モチベーションを科学する――1番“続く”英語学習サービスへ

「スタディサプリENGLISH」は、1回3分からのスキマ時間で手軽に取り組めるオンライン英語学習サービス。「これなら続けられる」「これまで挫折ばかりだったのにスタサプでは結果が出た」と好評をいただいている背景には、徹底した“ユーザー目線”で機能改善に取り組み続ける陰の立役者たちがいます。
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「学習継続」と「学習効果」を追いつづけ、改善を重ねる

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グローバル化が進むなか、転職・昇進の際に「 TOEIC(R)〇〇点以上」が要件のひとつになり、英語力をつけたいと考えるビジネスパーソンは多いもの。

しかし、仕事との両立も難しく、思うように英語の学習時間が確保できずに悩んでいる人も多く存在します。会社員のうち、実際の学習時間が理想の学習時間より少ない人は実に約7割(※)です。

※23歳~49歳までの725名の会社員を対象とした外部インターネット調査より(2019年2月/リクルートマーケティングパートナーズ調べ)

そんななか、2015年に誕生したスマートフォンアプリ「スタディサプリENGLISH」は、ユーザーに“続けられる” “結果が出る”学習サービスとして支持されています。

スタディサプリENGLISHは、シリーズ累計385万ダウンロード(2018年12月時点) を突破し、サービスが軌道に乗っている現在も2週間に一度の機能改善を続けています。絶えず改善を続けるのはなぜなのでしょうか。

UXデザインを担当する石黒勇気は、データ分析やユーザーへのインタビューをおこない、どうすればよりサービスの価値が向上するか、特にユーザーの「モチベーション」を主軸に、どんな機能・改善が必要かを考えつづけています。

石黒 「僕たちは、ユーザーの学習効果最大化を重視しているので、学習時間などの指標を日々追いながら事業運営しています。
僕自身もデータを見て分析するのはもちろんですが、ユーザーとしっかり対話することを大切にしながら、モチベーションアップ・学習効果アップにつながる学習体験を考えていますね。
課題や検証したい仮説があればユーザーさんを呼んで対話して……ということをやっているので、結果的に毎週インタビューをおこなっていた時期もあります。今も必要に応じておこなっていますね。
そうすることで、スタディサプリ ENGLISHの何を価値に感じていて、どこを不満と思っているのか。また、改善したことをユーザーさんたちがどう捉えているのかを肌で感じられます」

常に進化を目指す姿勢の根底には、徹底した「ユーザーファースト」の精神があります。

石黒 「僕に限らず、組織全体にユーザーを第一に考える精神が根付いています。
サービスをつくるうえで判断に迷うことはたくさんありますが、みんな『どうすれば売上が上がるか』ではなく『どうすればユーザーが学習成果を実感できるサービスになるか』を自然と議論し始めるんです。それが僕たちにとっては当たり前になっていますね。
書籍や英会話サービスと違い、アプリはゲーム感覚で楽しく進められますし、データも蓄積されていきます。たとえば、BGMや操作性にこだわることもできるし、ユーザーがよく間違える問題を分析して、つまづきポイントを重点解消するコンテンツを追加することもできます。
英語学習はきちんと学習を継続できれば成果が出やすいので、ユーザーのモチベーションを上げるために、インタラクティブに学習を進化させられる強みを活かしたいんです。
スタディサプリ ENGLISHは“買い切り”ではなく“サブスクリプション”(定額制サービス)ですから、一度満足してもらって終わり、ではいけないですよね。毎月お金を払ってくださるユーザーのために、少しでもプロダクトの価値を上げたい。
つまり、きちんと学習が継続でき、結果としてユーザーの英語力が上がるプロダクトとして磨きつづけたい。
そのためにできることは何でもしていきたい、という思いです」

ユーザーの声に耳を傾けたことで生まれた一括ダウンロード機能

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スタディサプリENGLISHは当初、学習する際に高頻度でコンテンツをダウンロードする仕組みでしたが、現在は事前に問題を一括ダウンロード保存できる機能が実装されています。この改善をおこなった背景には、このようなユーザーの声がありました。

石黒 「これは機能改善事例のひとつですが、転職したばかりで TOEIC(R)の点数を上げなくてはいけないが、幼い子がいるので家で十分に学習できない、というユーザーさんがいたんです。
その方は、通勤時間と昼休みを利用して学習しており、隙間時間に学習できるスタディサプリ ENGLISHに大きな価値を感じてくれていました。
でも、格安 SIMを使っていて、ダウンロードに時間がかかってしまう。せっかくの隙間時間がダウンロードだけで終わってしまった、ということがありました。
われわれとしてはずっと“隙間時間を使える”だから“学習継続できる”、という価値を提供できていると思っていたのに、実際には有効活用できていない事例があり、認識にズレが生じていたと気づきました」

こうした声に応えて一括ダウンロード機能を追加したことにより、データ上でもユーザーの学習状況に変化が見られました。

石黒 「指標のひとつとして 1週間に 7時間以上学習するユーザーをウォッチしているんですが、この施策をおこなった後、3%ほど増加しました。隙間時間を使って学習する人の割合も増加したんです。ユーザーの学習に役立ったと実感できて、嬉しかったですね。

ユーザーさんと会話するなかでも何気なく『おかげで点数が上がりました』と言っていただけることがあるんですが、そういうときにも意義のあるプロダクトづくりに携われているんだな、と嬉しい気持ちになります」

データやファクトをもとに分析し、ユーザーのことを第一に考えて改善し、そしてそれをまたユーザーに体験してもらい声を聞く。これを繰り返すことで、サービスの価値はどんどん向上していくはず――。

これまで世のなかに存在しなかったサービスづくりを担う石黒。“答え”がないなか模索し、疑問を投げかけ、ゼロからイチを生み出すあいだに壁に当たるのはよくある話です。しかし、彼は明るい表情で自身を「池に石を投げる係」にたとえます。

石黒 「僕は役割的に最初に石を投げることが多い。小さすぎる石を投げても意味がないけれど、ボチャン!と大きな石を投げてもいけない。
新卒で入社してから何度か新規プロダクトに携わった経験があるのですが、何も積みあがらない議論を僕が始めてしまって、結局かき乱しただけで何も残らなかったという苦い経験もしています。
ちょうどいい石を投げて、良い感じに広がっていく波紋を起こすことをいつも意識していますね(笑)。
それさえできれば、優秀な人が集まっているので、たくさん有益な意見が出るし、みんなでおもしろくてより学習効果が出るサービスが生み出せると思っています」

スタディサプリENGLISHの“関所”――エンジニア出身の“名調整役”

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このようなユーザーの声をもとにした改善のアイデアがあっても、スピーディにユーザーに届けることができなければ、学習効果最大化にはつながりません。

実際のところ、大規模なサービスにおいて隔週ペースでコンスタントに実装・リリースをおこなうのはチャレンジングなこと。その調整役を担っているのが、プロダクトマネージャーの高橋圭太郎です。

高橋 「スタディサプリ ENGLISHは組織も規模も急速に拡大していて、関係各所からさまざまな要望が出るようになってきました。そんななか、以前は緊急案件がギリギリに表面化するなど、差し込み案件が多く発生し、エンジニアが急な対応に作業工数を割かれることも多かったんです。
結果的に、ユーザーの学習効果最大化につながる大事な案件が適切なスピードでリリースされているか、見えづらくなってしまっていました」

そこで高橋は、案件の起案方法をしっかりと定め、実施可否を判断する場を設け、優先順位を決めて案件を一元管理することを始めました。

そうすることで案件の質が向上し、エンジニアも進行スケジュールを乱されることなく、本当に優先順位の高い案件に集中できるようになったのです。

高橋 「僕は前職でエンジニアを経験し、途中からプロダクトマネジメントにキャリアの軸足を置くようになったのですが、作業工数はどうしても実際につくる人にしかわからない側面があると思います。
極端な例を挙げると、エンジニアを経験したことない人 からすれば、Web上の文字をひとつ変えることくらい、一瞬で終わると思うかもしれません 。
でも、実は他のプログラムに影響するために 1日かかることだってあるんです。もちろんその逆で、大変そうに見えて意外とすぐに終わる作業もあります。
ユーザーへの価値提供を第一に優先しながら、こうしたつくり手の事情を忘れずに優先順位を整理することで、結果的にスピード感や品質が上がると思いますし、エンジニアも余裕と納得感をもって進められます」

また、高橋はスタディサプリENGLISHの将来像を見据えた調整にも力を入れています。スピード感のある組織では、「できることはすぐ改善しよう」と考えがち。それ自体は悪いことではありませんが、急ぎ足で進めた改善が、未来の開発を邪魔することもあるのです。

高橋 「『すぐにできるから』と適当に実装して、半年後や10年後に困ることもあります。
たとえば、『データを格納しよう』とユーザーから新しい情報を収集して大きな箱にボンボン入れていくのは簡単です。
でも、しばらく経ってから『そのデータをほかに回して使おう』と考えたときに、奥に入ってしまって簡単に取れずに時間も労力もかかる、ということが起きてしまうんです。家の片付けに近いイメージですね。
『将来を見据えてしっかり時間をかけて設計しておこう』と丁寧に取り組むことで、長い目で見たときに結果的にユーザーファーストにつながります。
僕が“ OK ”と受け入れたらほぼ実装が決まってしまいますし、安請け合いをすると開発チームを困らせてしまいます。今やるべきではないこと、できないことにははっきり“ NO ”と言うことも大事ですね」

“ 関所 ”のような役割も担いつつ、社内外の関係者たちとの信頼関係を強固なものにしている高橋。持ち前の明るさで周囲を元気づけ、“楽しむ”姿勢も大事にしています。

高橋 「調整に苦労することはもちろんありますが、基本的にポジティブなので、つらいと感じることはないですね。
僕は、みんなのあいだに立って調整するのが好きなんです。僕が調整した結果、少しでもみんなが納得感をもって楽しく仕事できるようになれば、それを見ている僕もとても楽しいですし、それがいいプロダクトづくりにつながると信じています」

9割以上が学習を「やりきれる」できるサービスに成長――それでも、進化は止めない

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改善を続けることでネガティブな問い合わせが減り、ユーザーの学習時間が増え、ユーザーの平均のTOEIC(R)スコアアップが100点を超えるようになってきました。また、スタディサプリENGLISHの「パーソナルコーチプラン」では、ユーザーの96%※が挫折することなく学習を修了できています。

※2019年1月時点 中途退会せず受講完了した方の率

一方で、学習を4日連続で休むと、その後の学習離脱率が50%を超えるというデータも。

石黒 「挫折を味わうことが多い英語学習において、9割以上の方が学習をやりきれているという数値は相当高いと思います。でも、まだ約 1割の方は 2週間以上学習をお休みしてしまうタイミングがあることもわかっています。
たとえば、4日間休むと学習離脱率が上がるなら、3日のうちに学習に復帰してもらうための施策を手厚くすれば、ユーザーが継続できる可能性が上がることになります。そのために、プッシュ通知を打ったり、継続のコツに関する記事を配信したりといったことをしています。
そのほかにも、まだ実現できていない施策や、取り入れたいアイデアはたくさんあるんです。そういったことをひとつずつきちんと提供して、今後もサービスの価値を上げていきたいですね」

高橋は、スタディサプリENGLISHというプロダクトを磨き上げ、世界で戦っていく未来も見据えています。

高橋 「僕はテクノロジーで最先端を走るビッグカンパニーに負けないくらいのエンジニアたちがスタディサプリチームにそろっていると思っているし、今後も技術的な目線を大切にしながらプロダクトを磨いていきたいですね。

また、グローバルに展開できることもあると思うので、僕自身は日本以外のマーケットにも挑戦できたらいいなと夢見ています」

ユーザーの英語学習継続のために、そして、英語を気軽に習得できることが当たり前になる未来を実現するために。スタディサプリENGLISHは、これからも立ち止まらずに走りつづけます。

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