英語の“壁”を取りはらう―― 英語学習サービスの企画者がプロダクトに込めた想い

夢中にさせるコンテンツと練られたカリキュラムで人気のオンライン英語学習サービス「スタディサプリENGLISH」。このサービスが生まれた背景には、ある社員が抱いた英語教育への疑問がありました。「英語ができれば、日本人はもっと世界で活躍できるはず」――。そんな想いから始まった開発の裏側をご紹介します。
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学生プログラマー時代に感じた、語学の壁による“ものづくり日本”の衰退

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▲オンラインラーニング事業推進室 部長 笹部和幸

「スタディサプリENGLISH」を企画したのは、現・オンラインラーニング事業推進室で事業開発の部長を務める笹部和幸です。

笹部 「私は、大学時代に独学でフリーランスのプログラマーになりました。ITバブルの中、まだまだ人材価値が希少だったこともあり、学生ながらに『踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』のオフィシャルサイトなども担当させていただきました。ちなみに、その縁で映画にも少し出演しています(笑)。 
映画の現場で“みんなでものづくりをするパワー”を肌で感じ、組織のなかで仕事をしてみたいと思いました。それで、ネットでのビジネスにも当時から力を入れていて、若いうちから裁量権を与えられるリクルートに入社したんです」

2005年にリクルート(現・リクルートホールディングス)入社。新規事業開発や「ゼクシィ」のネットプロダクト改善、プロモーションなどに関わった後、まなび領域に異動した笹部。異動当初はスタディサプリの前身である『受験サプリ』の戦略や海外展開を担当し、3か月後には『資格サプリ』と『英会話サプリ』の運営を一手に担います。

笹部 「当時あった資格サプリは、受験サプリの姉妹サービス。ニーズに応じて簿記やケアマネージャー、そしてTOEIC®などを学べるものでした。学べる内容を増やすか、何かに特化してサービスを磨いていくのか、という岐路に立たされたタイミングで『ニーズのある英語に特化しましょう』という提案をしたんです。『英語サプリ』という名前でしたね」 

笹部自身、プログラマー時代に海外のエンジニアとうまく意思の疎通が図れず、困った経験があったのです。英会話教室に通って勉強しても上達せず、試行錯誤のうえ『ディクテーション(英語を聞き取って書き起こす)』をするといいと気づいたと言います。

笹部「でも、そんな方法は学校では教えてもらえなかったし、聞き取れなかった部分の音声だけを編集ソフトでつなげて聞いていたんですが、とても面倒……。 
正しくて効率的な方法を教えてくれる人・サービスが少ないから、英語で成果をあげるのはごく少数の人なんですよね。そのことを身をもって実感しました。 
また、かつてはものづくりに強かった日本が、英語ができないことで世界に飲み込まれてしまっているようで寂しい、という感覚もありましたね。私は元々エンジニアなので、優秀なエンジニアが英語力がないせいで世界に羽ばたけない状況は、特に悔しいなと思います」

「自分がユーザーなら、このサービスにお金を払えるか」と日々、問い続ける

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笹部のなかで、スタディサプリENGLISHのコンセプトは、「ゲーム感覚で学習できる」「ストーリーがある」という部分で当初から固まっていました。

効率的な英語学習サービスは絶対に必要になるし、必要としている人に正しい方法で届けられれば、必ず介在価値を生み出せるという自信もあったと振り返ります。

笹部 「上長たちへのプレゼン直前に、当時直属の上司だった山口文洋(現 リクルートマーケティングパートナーズ 代表取締役社長)からたくさん修正が入ってバタバタしましたが、無事に本サービス化が決まりました。  
アイデアは、当初からほぼ固まっていたので、あまり苦労はしませんでしたね。英語を学ぶためにはある程度、学習時間が必要だと科学的に証明されているので、『どうすれば続けられるか』がポイントです。そこで世の中にある色んなプロダクトを使い込んでみて、英語の学習とゲームはうまくマッチしそうだな、とピンときたんです。」

サービス化が決まり、2015年4月からはコンテンツ作成や開発のための人員が集められました。そして開発がスタート。その過程の中で笹部は、「バリューファースト」の思想に徹底します。

笹部「まずはこちらからユーザーに何かしらの価値を提供し、その結果、お金をいただける。『自分ならこのサービスにお金を払えるか?』というユーザー目線が欠如していれば、失敗しますから、とにかくユーザーにとっての価値追求は徹底しましたね」

そして、10月のリリースまでの半年強で、サービスを猛スピードで作り込んでいきます。

「面白い物語」×「正しい英語」を両立させる難しさ

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学習プロセスやコンテンツの設計にあたり、英語教育の権威である上智大学の吉田研作先生をはじめ、数多くの先生に協力を仰ぎました。そして、サービスの要ともなる脚本は、かの人気ゲーム、『逆転裁判』シリーズを担当している企業へ依頼。

スペシャルなチームを形成できた……ところで安心はできません。あくまで、スタート。当時を振り返り笹部は、“英語の学習”と“ストーリーの面白さ”――。

このふたつをどう両立させていくかという点で最も苦労したと語ります。

笹部 「サービスのポイントは、物語の先が気になって英語学習が進められるという点なのですが、これがなかなかうまくいかないんです。 
例えば、物語のなかで登場人物に『お疲れ様』というセリフを言わせたい。でも、『お疲れ樣』って言葉、英語で表現が難しいんですよ(笑)。  
学習コンテンツ側としては、このセリフはカットしたい。ただ、脚本家側はこのセリフを入れたい。そんな葛藤がいくつもありました。最終的には、お互いを理解し合いながら進めていきましたね。 
とにかく議論を重ねながら進めていき、無事にリリース。これはもう、外部含め優秀な仲間がたくさんいたからだと思います。情熱をもって協力者を探し出してくれるメンバーや、サービスの今後を見越したうえで素晴らしいUXデザインをしてくれたエンジニアなど、数多くの人に支えられました」

そんな最高のチームで作り上げたプロダクトを育てるのが笹部の仕事でもあります。リリース後、ユーザーの反応、そしてあらゆるデータを見ながら、「いかにユーザーに価値を感じてもらえるか」という観点で常にデータとファクトに基づいたサービス改善に取り組んでいます。

笹部 「ユーザーの正答率が低い問題には定期的に、先生の解説動画を補強していますね。あとは、学習時間0分の期間が4日以上続くと90%以上の確率で復帰できない、というデータもあるんです。そのため、対象となるユーザーにどう学習を再開していただくかなども考えていますね。 
例えば、アプリには通話機能もついているので、直接お電話したこともあります。でも、これは失敗でしたね (笑)。

皆さん、『忙しいから電話は……』となりました。忙しいから学習時間が取れないわけなので、当たり前ですよね。あのときお電話したユーザーの方には、この場を借りてお詫びしたいです……」

教習所で免許が取れるように、期待値通りに英語が身につく世の中へ

2017年には、「英語サプリ」は「スタディサプリENGLISH」に。

そして2018年3月には、オンラインでコーチがユーザーに伴走するTOEIC ®コースの「パーソナルコーチプラン」をリリースしました。

笹部 「TOEIC®のコースは日常英会話コースと違い、目に見えて『〇〇点アップ』という効果が見えます。やはり、成果が出たというお話は聞くたびに嬉しいですね。 
TOEIC®コースはプログラムをきちんとやりさえすれば結果が出ることはわかっているんですが、続けられない人が多い。だから確実に結果を出したい方を支援するために『パーソナルコーチプラン』を作りました。 
パーソナルコーチといえば、成果にコミットするあのサービス。参考にするために自腹で50万円払ってコーチング付きのダイエットを体験したこともあります(笑)。

とにかく上手くいっているサービスを勉強して体験して、それを今のサービスに反映しています」

そんなサービスにこだわり続ける笹部が最も大切にしていること、それは “インタラクティブ(双方向)”であること。

笹部 「インタラクティブなサービスじゃないなら、参考書で十分なんですよ。既に世の中はたくさんの英語学習コンテンツで溢れているので、それによって英語が上達するなら、とっくになっているはず。でも、決してそうじゃない。  
『免許取れないかもな』と思いながら教習所に行く人は少ないでしょう。免許を取るという明確な目標があって行きますよね。でも、なぜか英会話に関しては『やっても話せるようにならないかもな』と考え、実際に挫折する人も多い。それっておかしいですよね? 
多くの人が『英語を話せる』という世界に到達できていないんです。そのギャップを埋めることが、私たちの使命だと思っています。今(2018年8月現在)よりさらに低いコストでそれを実現できたら、なおいいですね」

ユーザーの自己実現をサポートするために、「スタディサプリENGLISH」は生まれました。

「英語ができるようになりたい」というユーザーの想いが、当たり前に実現する――。

そんな世の中は、もう目前まで来ているのです。
 

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