店頭決済の常識を変える!ホームセンターの購入で後払いができるようになるまで

これまで、ホームセンターのような店頭購入時の決済では、事業者でも現金かクレジットカードでの支払いが当たり前でした。しかし事業者にとっては、店頭購入であっても後払いができると便利です。そこで、ホームセンター大手のLIXILビバとPaidは店頭で後払いをするという、まったく新しい取り組みに挑戦しました。

ホームセンター店頭で後払いができる“業界初”の決済スキーム

▲LIXILビバとPaidの記者説明会の様子

LIXILビバが展開するビバホームやスーパービバホームは、リフォーム資材に特化したホームセンターです。建築事業者や工務店などの“プロ客”が購入するような資材や関連商材を豊富にそろえており、一般客のみならず事業者も多く利用しています。

一方 Paid は、事業者間取引の後払いで発生する与信管理から請求、代金回収までを一括して代行するFintechサービスです。企業が後払い決済をスムーズに導入できるサポートをしています。

今回、PaidはLIXILビバと業務提携し、ビバホームの店頭でも後払いができる決済スキームの運用を新たにはじめました。

どんな取り組みかというと、まず買い手の事業者があらかじめビバホームが発行する「ビジネスサポートカード」に申込みます。申込みが完了するとPaidがその事業者に対する与信(支払い能力に信用があるかどうか)を審査し、審査を通過すると、ビバホームで利用できる専用の「ビジネスサポートカード」が発行されます。

このカードをビバホームの店頭で提示すれば、事業者は、毎回後払いで商品を購入できます。

ビバホームの店頭では、レジで提示されたカードを元に事業者がPaidに登録しているかどうかを確認し、即時にレジから商品販売データをPaidに送信します。その後は、その場で商品をお渡しするのみです。

そして、その請求データを元に、Paidから事業者へ代金が請求されます。

店頭の購入でも後払いで決済できることにより、事業者がリフォームやリモデルの現場で必要となる建築資材などを購入する際の利便性が格段に向上するのです。

LIXILビバとしても、店頭購入に後払い決済を導入するのは初の試みでした。そして、Paidとしても、ECサイトなどWEB取引での導入事例が多い中、ホームセンターの店頭決済での導入は初の取り組みです。

この新しい取り組みを成功に導くため、PaidとLIXILビバの挑戦がはじまりました。

決済の常識を覆す。前例のない「店頭後払い」への挑戦がはじまる

▲取り組みに携わった弊社スタッフ

そもそも、ビバホームで店頭決済に後払いを導入することになった背景には、企業間取引における決済の課題がありました。

ビバホームのこれまでの支払い方法は現金払いかクレジットカード決済のみで、事業者にとってニーズの高い“後払い”には対応していませんでした。

しかし、ビバホームでは工務店の方がその日の工事現場で足りない資材を買っていくようなケースが多くありました。それぞれ現場の従業員がその都度現金で支払うより、後日まとめて請求書で支払える方が事業者にとっては便利です。

実際に、事業者からは後払いの要望が多く出ていたといいます。しかし、店頭での購入を後払いにするという方法は、これまで前例がありません。また、後払いができたとしても未回収リスクがあるため、自社で対応するのは難しいものです。

それでもニーズの高い後払いに対応することができれば、事業者の利便性が向上し売上アップにつながるのではないか――そう考えたLIXILビバは、外部の業者と組んで本格的に「店頭での後払い」に取り組むことにしたのです。

そこで白羽の矢が立ったのが、「Paid」でした。

しかし、お話をいただいたのはいいものの、本当に「店頭での後払い」を実現できるのか――当初はそんな不安がよぎりました。なぜなら、これまでPaidを利用いただく場面は、通常の対面取引かECサイトなどに限られていたからです。

ビバホームのような店頭にある商品を購入する場合、どの事業者が何をいくら購入したかのデータをPaidに登録するには、たとえばバーコードで読み取ったデータをPaidに送るシステムなどが必要になります。

Paidは2018年2月時点で2700社以上に導入されていますが、そうした特別なシステムを構築して導入する企業はありませんでした。

実現に向けて様々な課題があることは百も承知でしたが、ビバホームの「利便性の高い新しい決済の仕組みを導入したい」という想いと、Paidの「店頭での後払い決済でもストレスない環境を提供することで、企業間取引を活性化したい」という想い。

この両社の強い想いが、新たな取り組みへの挑戦を後押しすることになりました。

「ビジネスサポートカード」が店頭後払い実現の救世主に。開発の秘密とは

この取り組みを実現するうえで、大きな課題のひとつがシステム開発でした。

Paidでは、業態やワークフローに合わせて様々な組み込みができるように、企業が持っている決済データをPaidと連携するためのAPIを提供しています。しかし、大企業が使うにはいくつか課題があります。

ベンチャー企業のように、外部のAPIを利用することが当たり前になっている環境であれば、比較的スムーズにPaidを導入できます。しかし、規模の大きい企業の場合は、すでに存在しているシステムやワークフローが複雑かつ大規模です。

そのため、どうしても社内の調整やシステムの改修に時間がかかってしまうことが多々あります。

開発にあたって、両社の営業担当や開発担当との打ち合わせが毎月のように行なわれました。その都度、様々な課題をどのようにすればクリアできるのかを話し合い、実際のスキームに落とし込んでいきます。

POSレジで受けたデータをAPI経由でPaidに登録するための両社のシステム改修や、専用の納品書を発行する機材の開発、さらにビバホームのホームページ上にPaid専用の申込みフォームを設置するなど、着実に準備は進んでいきました。

そして、このスキームの一番の肝となるのが、「売掛カード(現:ビジネスサポートカード)」です。このカードは、購入者がPaidを利用できる事業者かどうかを判断できるだけでなく、どの事業者にいくら請求するのかを特定することが可能になり、店頭後払いの実現に大きく近づけました。

これまで、このカードのようなツールを使って決済を成立させる発想自体がありませんでした。まさに新しい決済スキームの代名詞ともいえるのです。

申込み者に対しカードを発行し、さらにカードを読み取って請求データをPaidに送信する仕組みも完成しました。

こうして、構想から1年8ヶ月。ついに、「店頭での後払い」を実現するシステムが完成し、2017年7月、ビバホーム三郷店での試験運用が開始されました。

試験運用でプロ客の利便性向上を実感。満を持して全国展開へ

▲「店頭後払い」導入のプレスリリース

三郷店での運用がはじまってしばらく経った2017年8月3日、LIXILビバとPaidでこの取り組みについての記者説明会を開催しました。その中でLIXILビバの取締役兼常務執行役員財務経理統括部長の阿部正氏は、導入の効果について次のように話しています。

阿部氏「クレジットカードは個人を対象とした定額の与信しかありませんが、法人を対象としたPaidは与信額も大きく事業者の利用に向いています。実際に、1回の支払いで200万円購入するという事例もあり、プロ客の利便性が向上したと手応えを感じています。
三郷店では運用をはじめてから、売掛カード(現 ビジネスサポートカード)に申込む事業者は100を超えました(2017年8月3日現在)」

実際に、試験運用の中でPaidを利用する事業者は売上、利用回数ともに増加しているという結果も出ています。

また、「他の店舗でも早く利用できるようにしてほしい」など、その利便性の高さから多くの事業者より反響がありました。やはり店頭での購入であっても、後払いで決済したいというニーズはかなり高いものだったのです。

これらの結果から、2018年4月よりPaidを全国のビバホームに導入する方針が決定。三郷店での運用を元に仕組みのブラッシュアップが行なわれました。

まず、カードの申込みがWebで完結できるようになりました。そして、レジとは別の場所で発行していた納品書やご利用明細といった書類が、レジでの会計と一緒に渡されるようになりました。また、カードの名称が「売掛カード」から「ビジネスサポートカード」に変更され、デザインも一新。さらにセキュリティも強化されたのです。

2018年4月2日の全国87店舗での利用開始に向けて、申込み受付がはじまっています(2018年3月現在)。これまで以上に多くの事業者に、この革新的な取り組みである「店頭後払い」を体感していただくことが当面の目標です。

また、当社にとっても今回の取り組みで得られたものは大きいと考えています。新たに確立することができた店頭決済のノウハウと、これまで培ってきた中小企業への与信ノウハウ。この両者を活かすことで、今後オフィス家具の購入や問屋街での決済など、店頭でもPaidのサービスを拡大することができるようになります。

「店頭での後払いは当たり前」――これからは、そんな新しい常識が浸透するようにさらなる挑戦を続けていきます。

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