BtoBのEC取引で後払いが使える仕組みをつくろう――“日本初”の試みへの挑戦

株式会社ラクーンの経営理念「企業活動を効率化し便利にする」を決済の側面から具現化するサービスをつくろう。そんな目的で開始した、後払い決済サービス「Paid」。ストレスのない後払いを実現した背景には、インターネット上のBtoB取引に後払いを導入する “日本初”の試みへの挑戦がありました。
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「決済手段がボトルネックに」――自社の課題からはじまった後払いへの挑戦

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▲スーパーデリバリーのサイト

当社は、2002年からBtoB専用の仕入サイト「スーパーデリバリー」を運営しています。

ファッション・雑貨などを扱う全国のメーカーが商品を卸し、小売店はインターネットで簡単に仕入れをすることができるサービスです。

サービスをスタートしてから順調に利用者が増えたものの、しばらくすると売上が鈍化してしまいました。

“何か”ボトルネックになっていることがあるはず。そう考えたときに、「支払い方法がクレジットカードしかないことで購入のハードルが高くなっているのではないか」という意見が社内からあがりました。

また、小売店からも「後払いで取引できたら助かるのに」という声が出てきたのです。

メーカーと小売店のようなBtoB(企業間)取引においては、通常後払いで決済されます。しかし、スーパーデリバリーのようなEC取引では、顔の見えない相手の与信(支払い能力に信用があるかどうか)を審査することもできず、未回収リスクが高いため現実的ではありません。

なので、当時のスーパーデリバリーも、支払い方法にはクレジットカード決済しか用意していませんでした。

そのとき代表取締役社長の小方功は、「近江商人」の話を思い出しました。

小方「かつて問屋という文化を発展させてきた近江商人は、買い手に商品を売るだけでは足りず、サービスを付加させることで、買い手も売り手も発展できる取引をしてきました。モノを買えば2倍も3倍も得をする付加価値――そのひとつが後払いでした。商品が売れてからでないとお金が手元にないだろうから、商品だけ先において代金は翌月に回収するということをやっていたんです。
だったら、われわれも後払いで取引できるようにして、売り手にとっても買い手にとっても便利なサービスにしていくべきだと思いましたね」

こうして、日本初の後払いへの挑戦ははじまりました。

「EC取引で後払いなんてできるわけがない」を覆し日本初の後払いを実現

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▲取締役財務担当副社長 兼 管理部長・今野 智

いざ、サービスを開発しようとしたものの、最初は外部のいろいろな人に相談しても鼻で笑われるだけでした。EC取引で、しかもBtoBとなると、10万円や20万円と高額な取引になります。未回収リスクを考えると、後払いで取引するのは不可能だと。

それならば、私たちが日本初の試みとして、EC取引で後払いができる仕組みをつくってやろう――。こうして2004年3月、プロジェクトは動き出しました。

実現に向けて指揮を執ったのは、副社長の今野智です。後払いで取引できるようにするためには、いくつかクリアしないといけない課題があったといいます。

今野「一つ目が請求書を発行する仕組み、二つ目が入金管理をする仕組みです。今後後払いを導入することで取引先が増えるだろうということは予想できていたので、その前提で考えるとこのふたつはシステム化する必要がありました。なので社内で開発をすることにしました。
そして、三つ目が最も大きな課題で、未回収リスクをどうするかということでした。今まで後払いをやったことがないので、与信審査をするにも与信額の付け方も分かりません。最初は自社でやろうと思いましたが、現実的には難しいだろうということで、外部の力を借りることにしました」

ちょうどそのころ、今野は当社に出資していた会社の子会社が、零細企業や個人事業主に対して売掛金の保証をする新サービスを開始するという話を聞きつけます。

そのサービスでは、私たちが悩んでいた小規模な取引先に対して与信審査をする仕組みがあったのです。そこで一緒に取り組めないかと相談し、協力を仰ぎました。

そう、未回収リスク解決のカギは“与信”にあったのです。このサービスを利用することで、顔が見えない小規模の事業者との取引でも、未回収リスクを最小限にする仕組みも確立できました。

こうして三つの課題をクリアでき、満を持してスーパーデリバリーに後払いを導入しました。2004年のことです。日本で初めて、BtoBのEC取引で後払い決済ができるようになったのです。

EC取引でも当たり前に後払いができる仕組みはニーズがある

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▲掛売りを導入したことによる効果(「スーパーデリバリー」売上推移グラフ)

スーパーデリバリーに後払いが導入されると、売上は飛躍的に伸びました。

やはり小売店にとって決済手段というのは、商品を購入するうえで大きな要素となっており、後払いがあることで購入のハードルが格段に下がるということが分かりました。

それもそのはず。これはPaidのサービスを開始する前に行なった調査ですが、EC上で商品を購入する事業者のうち約7割が後払い決済を希望しており、希望の決済方法がない場合、約5割が購入をやめるか他のサイトで購入すると答えたのです。

つまり、今までは後払いに対応していないため機会ロスにつながっており、それが後払いに対応したことで解決され、売上につながったというわけです。今野は次のように振り返ります。

今野「後払いができるようになったことで、通常の対面での取引と比べて違和感なく使えるようになったんだと思います。ネットでの取引だからといって特別ということはありません。ネットだったら決済が不便でも仕方なく買ってくれるだろう、というのはサイトを運営している人の思い上がりです」

こうして順調に後払いを運用してしばらく経ったころ、またあることに気付きました。メーカーがスーパーデリバリーを利用する理由のひとつとして、「決済が便利だから」という声が思いの外多かったのです。

自社で後払いに対応しようとすると、未回収リスクの問題だけでなく、与信管理、請求書の発行、さらに入金管理や、入金がなかった場合は督促をするなど、さまざまな業務が発生します。

ところが、スーパーデリバリーでは私たちがこれらの業務をすべて代行し、未回収が発生した場合でも代金を全額保証するので、メーカーは何の負担もなく小売店と後払いで取引ができます。

つまり、EC上で後払いができる仕組みは、小売店にとってだけでなく、メーカーにとっても便利でメリットのあるものだったのです。

それならば、この決済の仕組みだけをサービス化して事業にできるのではないか――会社としてそんな思いが生まれてきました。

決済の側面から企業活動を効率化するサービスを目指して

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▲イベント参加の様子

こうして、スーパーデリバリー以外の取引にも後払いを導入できる決済サービス「Paid」の構想がはじまりました。

スーパーデリバリーで実感したように、BtoB取引において「後払い」は非常に重要です。しかし、先述したとおり後払いは請求業務の手間や未回収リスクなど非効率で不便な部分が多い決済方法です。

しかし、ちょうどBtoBのEC市場が盛り上がりを見せ、ネットを介した取引が増えはじめていた時代。企業がEC取引をはじめるにあたって後払いを導入したいと思ったときに、顔が見えない取引先とも効率的に取引ができれば、非常に便利になります。

「企業活動を効率化し便利にする」という経営理念を掲げるわれわれにとって、2004年から培ってきた後払いのノウハウを生かし、「決済」の側面から企業活動を効率化することは、使命でもありました。

そして、2011年10月。後払いにおける請求業務をすべて代行し、取引先の未払い時も100%代金を保証するサービス、「Paid」が誕生しました。

サービス開始から6年が経った2017年12月時点で、導入企業数は2600社を超えています。

Paidを導入した企業様からは、「今まで請求業務にかけていた時間を、分析や新しい戦略を練るための方向に使えるようになった」という声や、「社内リソースを気にせず、新規の取引先を獲得できるようになったので売上が伸びた」といった声をいただいています。

後払いの不便な部分が解消され、企業が本来注力すべき「売上を上げること」に専念できる環境を創りだすことが、Paidの価値であると自負しています。

しかし、まだまだ企業活動を効率化するためには、改善すべき点がたくさんあります。お客様の声と、BtoB後払いのパイオニアとして十数年間積み重ねてきた経験を生かしながら、これからもより良いサービスを目指して挑戦を続けていきます。

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