働きやすさは「精神的なサポート」に宿る。子育て社員と振り返る、ラクスルの仕組み

ネット印刷やネット配送事業で成長中のベンチャー企業・ラクスルは、子育て中の社員が多いのも特長です。今回は産休・育休を経た2名の女性社員に当時を振り返ってもらいました。その話からは「家族を持ってもキャリアを諦めることなく、社員がやりたいことを実現させられる」ラクスルの価値観が表れています。
  • eight

いつも「とにかく働きやすい環境を整えよう」がルーツにあった

96fc2cb6b57616642135d2eefcb2d2db6019261b
▲左:秘書担当・菅野彩子、右:総務担当・渡部友理恵

ラクスルの菅野彩子と渡部友理恵は、共に2014年に入社しました。出産、産休、育休を経て、現在はそれぞれの部署で働いています。

2017年現在、菅野は33歳。広報や法務を経て、時短勤務やリモートワークの制度を活用しながら、経営管理部で社長・役員の秘書業務などを務めています。一方、31歳の渡部は人事や労務に携わった後、総務担当としてセキュリティ、コンプライアンス、BCPの強化に尽力。復職後も、フルタイムでの勤務を続けています。

年齢はわずかに異なれど、ともに転職活動中にラクスルと出会いました。転職の決め手は、創業者で代表取締役の松本恭攝の人柄や想いに惹かれたからだといいます。

菅野 「別の会社に進む気持ちが固まりかけていたのですが、転職エージェントから『面白いベンチャーがあるから』と勧められ、松本と会ったんです。私は松本と同い年ですが、彼の語るビジネスモデルや『中小企業を良くしていきたい』という熱い想いに触れ、素直に感銘を受けました。この人と一緒に働きたいと思って方向転換しました」

結婚を機に地方勤務から帰京し、転職活動を始めた渡部は、以前から知り合いだった松本に連絡。管理部の仕事を任せられる人材を探していたラクスルにフィットしていたこともあり、入社が決定。

当時、28歳だった渡部が働きはじめたラクスルは、勤務制度や子育てのサポートを整備しはじめた時期。それでも渡部は「今後、子どもができても、きっと大丈夫だろう」という考えがありました。

渡部 「当時から社長を中心に多くの社員が『とにかく働きやすい環境を整えよう』と口にしていました。会社の雰囲気としてもフラット。役員や管理職にも結婚している人が多く、子育てに理解があるなという意識が背景にありました。私がもともと楽天的なところもあると思います(笑)」

育休や産休の制度を盛り込み、見直しを行った就業規則が出来上がったのは2014年8月。その翌月、渡部の妊娠がわかりました。まるで予期していたかのようなタイミングでしたが、彼女の頭には「自分がたちが働く女性社員の事例になりたい」という考えも浮かんでいました。

渡部 「就業規則には一般的なことしか書かれていませんでしたから、復帰したときの職務や勤務体系、給与の改定など、細かい話は決めきれていませんでした。

だからこそ、私が実際に感じたことを制度に反映できる部分も含めて、福利厚生を充実させていきたい気持ちがありました。

ただ、『とにかく働きやすい環境を整えよう』という会社の考えが前提でしたから、産休や育休をしっかり整えられるはずだという雰囲気は、そのころからすでにあったと思います」

そして、渡部のあとには菅野の妊娠もわかり、ふたりは産休生活に入っていきました。

自らが望むバランスで、復職までの日々を描いていた

2117f7661db4fe1066755ee0eae10b99d05db990
▲社員にとって仕事がしやすい環境づくりを心がける渡部

産休制度を利用したふたりの女性社員でしたが、その過ごし方は対照的でした。

渡部は、産休中には一切の仕事をしないことを選択。詳細なマニュアルを作ったことで「引き継ぎとしてはやりきった」感触を得ていたからです。

連絡ツールやメールアドレスは残していたものの、それらをチェックすることはほぼなく、夫の都合もあって家族で沖縄へ。娘との暮らしも落ち着きはじめた産休3ヶ月ごろには、渡部は今でいう「民泊」業をスタートさせ、ラクスルの仕事とも異なる経験を得ていました。

渡部「産休中は、自分や家族、それから子どもと本当に向き合える時間にもできるよ、というのは、私の経験から伝えられることだなと思っています」

一方、「浦島太郎になるのが怖くて」とはにかむ菅野は、社内でコミュニケーションツールとして使っていた「Slack」や社用メールなどを通して、3ヶ月に一度ほど会社の状況をチェックしていました。産休中に増えていったリモートワーク制度や時短勤務などの仕組みも、それらのツールから情報を得ています。

菅野「でも、戻ってきたら、やっぱり浦島太郎でしたけどね(笑)。ただ、詳しいことは戻ったら聞こうと思っていたし、そのときの心構えとして状況をつかめていたのはよかったです。

ラクスルが急成長中のベンチャーということもあり、友人とつながっているFacebookからも新規事業の情報が流れてきていました。

職場に戻ってから、感覚を取り戻すのに時間はかかったけれど、ツールやネットから少しずつ情報を仕入れていたおかげで、戻るときの心理的な障壁は少なかったですね」

「産休をとった社員」といえど、そのスタンスはさまざま。渡部のように子どもや家族と向き合う時間を大切にする人、菅野のように他の社員とコミュニケーションする時間を持つ人……自らが望むバランスで産休期間を意義深いものにできることは、人生のいっときをラクスルで過ごすことの価値を高めてくれるエピソードでした。

ラクスルが備えていた「ほんとうのサポート体制」とは?

1091da59af3cb1b452be74ee22f54350c60bb83b
▲新たに産休に入る社員から業務を引き継ぐ菅野

ふたりは育休を経て復職しますが、ラクスルは成長中のベンチャー企業だけあり、戻ったころには入社時よりもずっと増員がなされていました。

渡部を例に挙げれば、2014年の入社時には15名だった社員が、復職時の2016年には40名に。「いちばん大変だと思ったのは社員とのコミュニケーションでした」と振り返ります。

復帰直後は、少人数だったころと同じように前のめりなコミュニケーションを続けたことで、うまく関係を築けない社員もいました。会社のフェーズが変われば集まってくる人たちのタイプも変わるということを理解し、その反省も活かしながら、いまは「日々、良い関係を築けてきている」と渡部は感じています。

変わったのは人員だけではありません。

2017年現在のラクスルには、渡部や菅野が産休に入ったころよりも多くの勤務制度が整備されています。リモートワーク、時差出勤、6時間勤務など、それぞれの使用上限は定められていますが、家庭の都合に合わせた働き方を選びやすくなっており、現在も、週単位でのフレックス制度など、より社員が選べる勤務体系の整備を意欲的に進めています。

たとえば、「仕事が好きで、これまでの生活スタイルを崩したくなかった」と話す渡部はフルタイムで勤務。菅野は子どもが1歳になったばかりということもあり、保育園の契約時間に合わせた時短勤務をしています。簡単な利用申請で制度が使えるので、菅野も「子どもが発熱したときなどに有給を使わずに済ませられることもあって、助かっています」と顔をほころばせます。

ただ、制度があっても使えなければ無用の長物。ふたりが復職後に感じたのはラクスルが備えていた、「ほんとうのサポート体制」でした。

菅野「ラクスルは現在、男女かかわらず既婚者が半数おり、そのうちの6割ほどが子育て中です。 お互いに子育ての大変さを経験しあっているから、周囲の理解が深いんです。

以前、社長の松本に『娘が熱を出してしまって早めに帰らないといけなくなった』と相談すると、『子どもが小さいときはそういうことが多いから全然気にしなくていいよ』と返してくれて。そういうふうに言ってもらえるだけで、気持ちが楽になりますよね」

ラクスルは社長の松本やCFOの永見世央をはじめ、事業のトップに立つ要職たちが責任を果たしながらも、子育てにも時間を充てられることを自ら表現しています。

男女の差がなく、「キャリア×子育て」を両立できる会社へ

6587027da90ee3748c0a1736847b56efd0f7eb8f
▲働くスタイルは異なれど、ママとしての悩みや会社への想いは同じ

渡部や菅野には、ラクスルでの忘れられないエピソードがあります。それは、松本が母の日に起こした、ちいさなサプライズでした。

渡部「そういえば松本が、ママ社員だけにカーネーションをくれたんです。しかも、みんな違う色で……嬉しいですよね、やっぱり」

菅野「あれは嬉しかった!デスクにぽんっと置いてあって。粋な社長なんですよ(笑)。松本も自身のスケジュールに『見送り』や『お迎え』といった子どもの用事を書いていますし、ときにはお迎えの後に夜の新幹線で出張するようなこともあって……すごいな、と思います」

ラクスルでは男女の差は関係なく、子育て社員は制度をうまく使いながら、家庭と仕事の両立を図っています。それは、ひとえにラクスルが「家族を持っても、キャリアを諦めることなく、社員がやりたいことを実現させられる」ことを大切な価値観に置いているからです。

菅野「育休中に子どもがいても働き続ける意味を考えたんです。私は、自分が自由にできるお金をきちんと手にして、自立しているのが大事だなと気づきました。キャリアを築くひとりの社会人として、あらためて働く意味を考えられたのは、産休や育休のおかげだと思いますね」

渡部 「私は時間の使い方が明確に変わりました。限られた時間できちんと仕事をする意識付けができるようになったんですね。それから、キャリア形成も頑張り、子育てもきちんと頑張っているというのを、将来的には娘に見せられるほうが自分のスタイルとしてしっくりくるなと思っていて。だからこそ今はしっかり働こうというのは、娘がいるから思えていることです」

ラクスルは2009年に創業し、まだ10年とたたないベンチャー企業。まだまだ整備すべき制度や仕組みは残っています。

しかし、それを今後さらに作り上げるのは、代表の松本をはじめ、子育てを経験中の渡部や菅野といった社員たち。2017年現在も、第2子、第3子の出産のために産休・育休中の社員がいたり、男性社員にも新たな子どもの誕生を控えたメンバーがいたりと、ラクスル・ファミリーが着実に増えています。

そんな社員たちがワーク・ライフ・バランスを大切にしながらいきいきと働き続けられるよう、これからもさまざまな社員の声に耳を傾けながら、制度を整えていきたいと考えています。

関連ストーリー

注目ストーリー