古いモノを生かしてかっこいいものを創る。結果、“二者”の幸せもクリエイトする

「古いものに価値を、不動産にクリエイティブを、働き方に自由を」をコンセプトに、クリエイターをターゲットにしたリノベーション物件をプロデュースしてきたリアルゲイト。代表の岩本裕はどんな会社、そして社会をつくっていきたいのでしょうか。会社のいまと、岩本が思い描く会社の目指すべき姿をお伝えします。
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「古いもの」に新しい息吹を。画一化せず建物の個性を活かして魅力を出す

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▲築36年のビンテージマンションをリノベーションした、渋谷の「Portal Apartment & Art Point」

リアルゲイトが手がけた物件の第1号「the SOHO」(青海)は2010年に竣工。400戸の小規模オフィスにフィットネスやスパ、バーラウンジなどの共用施設を充実させ、新しい働き方を提案する世界最大級のSOHOビルは、好調なスタートを切りました。

その後も「PORTAL POINT AOYAMA」(表参道)、「PEGASUS AOYAMA」(青山)など、スモールオフィス施設を中心にプロデュース。それらはどれも、既存のビルに手を入れて生まれ変わらせるリノベーション物件でした。

当時はまだ、中小ビルならトランクルームやフロア貸しのオフィスに改装するのが常道だった時代です。小割りのスモールオフィスのニーズが果たしてあるのか、周りからは半信半疑の声も多く聞こえました。

しかし数多くのスタートアップ企業や中小企業と接点をもってきた岩本にとっては、海外で見てきたような感度の高いスモールオフィスは日本でも確実に求められることを確信していました。

そして何より、築20年、30年と経った古いビルが街のなかで価値を失っていくことに対して、アイデアと変化を加えることで新たな価値をもたらすことに、岩本は大きな意義を感じていたのです。

何十年とそこに存在していた建物は、そのぶんだけオーナーの思い、そして街の時間が刻まれています。それは必ずしもマイナスではなく、新築物件にはない魅力であると捉えることができるでしょう。

リアルゲイトがプロデュースする物件はどれひとつとして同じ顔をしていません。建物それぞれの立地や形、そこにある設備を活用しながら、一つひとつ企画を組み立てていきます。

岩本 「大切にしているのは、不動産ありき、ということです。『私たちはこんなスタイルなんです』っていうブランドの押し付けよりも、そのビルの良さを生かしながら、デザイン性の高い共用空間へ改装し、専有部は自由に入居者の皆に内装してもらう事で、感性の高い人たちを刺激することにつながります。
いまでは私たちが手がけるプロジェクトはスモールオフィスだけでなく、業態の幅が広がり規模もさまざまになってきていますが、その点についてはどんな施設でも考え方は同じです」

街の空気をつくっていける施設をめざして

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▲東麻布「THE WORKERS & CO」のリノベーション前の地下の様子

私たちリアルゲイトが手がけるプロジェクトが、感性の高いクリエイティブな皆さんにご支持いただける訳は、これまでの実績やノウハウ、アイデア、そして日々の運営による入居者視点を生かした空間づくりに加え、立地の選択眼が挙げられると自負しています。

表参道や原宿などはもちろんのこと、アクセスがあまりよくなくても、駅から遠くても、感度のアンテナが立っている人々が集まる街があります。一般に不動産の評価は、地価にひもづいて導きだされるものでそれに頼るのが常です。

しかし岩本は、駅から遠く不動産自体の価値も低かったとしても、その建物がかもし出す雰囲気、デザイン性や自由度、エリア特性やニーズなどを総合的に捉え、クリエイティブな層に好まれる街を、地価以外の要素から肌感覚で判断する面ももちあわせているのです。

岩本自身、パッと街に出て隣のカフェに行ったり、公園に行ったりと、街とひと続きになったつくりを好みます。クリエイティブな人たちも、ビルに籠もって一日過ごすより、好きな街の空気を身近に感じられるオフィスで過ごすほうが、感性を刺激されるのではないでしょうか。

また反対に、“人が街をつくっていく”現象もあります。駅から遠い立地では地価が低いために倉庫や印刷会社などが集まる。そこに出入りするアパレル関係者やクリエイティブな層が増えていき、その人たちがあらたに街の空気をつくっていく――。

多くのクリエイティブなプロジェクトメンバーや入居者の皆さまに接してきて、岩本が培ってきた肌感覚は、ほかの不動産関係者では気づきにくいものなのです。

岩本 「ちょっと裏に入った通りでも、『あ、ここはクリエイターに好まれるだろうな』なんていうのは歩いていればもうわかります。それに加えてもと不動産の人間ですから、物件情報を見れば、いくら投資すればいいか、賃料はいくらに設定できるか、瞬時に計算できます。
そういうことができる不動産会社は日本にはまだ少ないので、個人法人問わず、いろんなビルオーナーの皆さんが私たちを起用してくださるのかなと思います。
いまは1050社にスモールオフィスに入居していただいていますが、累計で7000社くらいとお付き合いしてきました。そういった方々とお話してきて、私たちの感覚が磨かれていく面もありますね」

オーナーと入居者の真ん中で価値を生み出す。結果、両者を幸せにする

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▲東麻布「THE WORKERS & CO」での入居者交流会の様子

10年前、たった1棟の運営委託からスタートしたリアルゲイトも、40施設のプロデュース・運営をおこなう規模にまで成長しました(2018年9月現在)。ここまで会社を成長させることができたのは、「自分が何もできない人間だからかもしれない」と岩本は考えています。

岩本 「これまで、自分の仕事の規模とステージに合わせて、めざすものを変化させてきました。一級建築士だけど図面は書けないし、技術者でもないし、営業だけやってきたわけでもなく、そのときどきで職種を変えてきたので、スペシャリストではないんですね。
でも、いまの当社の業態は、ビルのオーナー、デザイン会社、施工会社、テナントの皆さまがいて、その中心で事業をコントロールするというもの。なんのスペシャリストでもないからこそ、真ん中に入ってうまくそれぞれの立場を理解し事業を回していくというのが得意なのかもしれませんね」

オーナーに対しては、古くなって持て余し気味になってしまったビルに付加価値を与え、従来以上に魅力ある不動産へとバリューアップする。いっぽうで、若い経営者やフリーランサーに対しては、地価が高騰している都心エリアで、クリエイティブなオフィスが構えられる機会を提供していることになります。

コスト面や日本の不動産業界のシステム上、物理的にオフィスを構えることが難しい状況にあるスタートアップ企業やフリーランサーにとっては画期的な機会とも言えます。

その結果、街や、そこからはじまるビジネスを活性化しているーーリアルゲイトのリノベーション事業は、いわば、古くなった不動産を起点に経済の好循環に貢献していると自負しています。

岩本 「魅力ある立地に、クリエイティブな層が好むセンスのいい企画をして、自由度の高い貸し方をすれば、それは利益を生む。
スタートアップ企業やフリーランスの方も、いままでは都心の小さなマンションを借りてユニットバスを物置にして、みたいなオフィスよりも、かっこいいつくりでラウンジや会議室等の共用部や受付もある施設のほうが、従業員の満足度も上がるのは必然です。
クリエイティブな人々に合うようなオフィスづくりと、彼らに合うように貸し方も最適化してあげること。そんな私たちのオフィスプロデュースを見て、働き方改革に力を入れる大企業も興味をもってくださっています。これからは、オフィスのありかたも、もっと変わっていくのではないでしょうか」

リアルゲイトを100年、200年続く会社に。事業は新しいステージに

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▲リアルゲイト集合写真

将来、リアルゲイトをどんな会社にしていきたいか――そう考えたとき、岩本の頭にまず浮かぶのは「100年、200年続く会社にしていきたい」という願いでした。

そう考えるようになったのは、周囲に与える影響が大きくなったことがきっかけです。自分と社員2名ではじめた会社が、いまでは50名を超えるスタッフを擁する企業に成長しました。さらに、約40棟のビルオーナーや事業者、1050社・4600人の入居者も抱えています。

岩本 「目の前にいる社員だけじゃなくて、社員の家族、そして10年20年とビルを貸してくれるオーナーや入居してくれるテナントの皆さまもいて……と考えていったら、彼らのためにも歴史ある建物と同じように、50年、100年、200年と続いて何かを残していける会社にしたいなと思ったんです」

社員にとって、自分は今まで怖い存在であったと岩本は考えています。今までは事業を成功させることに必死で、周りに耳を傾けることなく、社員にも自分の思いや、やり方を押し通してしまうこともあったといいます。

しかし、100年続くという願いをもったいま、岩本はマインドを変えました。自分の右腕となるスペシャリストをどんどん採用し、岩本のナレッジを整理して彼らにシェアすることで、そこから組織全体へと浸透させています。また、社員から新しい風を取り入れることも厭いません。

異業界、異業種から、様々なバッググラウンドを持つ人材も積極的に採用し、年齢やポジション関係なく、社員の色んな考え方や意見を吸い上げています。現在、社員の平均年齢は31歳。その半数以上が女性です。社員全員でリアルゲイトらしいカルチャーづくりに取り組んでいます。

リアルゲイトが手がける事業は今後も変わらず「古いものに価値を、不動産にクリエイティブを、働き方に自由を」。ほかにはない特殊な業態であり、量産もできません。

今後は岩本から幹部、そして社員へとナレッジを共有し組織力を底上げしていく事で、再生可能な物件を広げていくこと、規模やエリアを広げて事業を成長させていくことをめざしています。

岩本 「社員には自分の限界を決めないでほしいですね。学歴や経験、年齢などの制約を無くしたときに何ができるのかという考えを大切にして、実行するために何をしていったらいいのか考えてほしい。
ほかの人がやっていないことでビジネスとして成功することって少ないわけです。そこを見極めて行動を起こすのがチャレンジ。すでにあるものでも形を変えることで新しいビジネスが生まれることもあり、まさにリアルゲイトはチャレンジによって成長してきた会社です。
社員にもチャレンジをしてどんどん会社を大きくしていってほしいですね」

人々に新しい働き方を提示し、そして街には古くて新しい息吹を吹き込む事業を続けるリアルゲイト。変化いちじるしい東京にあって、世の中のニーズを敏感に感じ取り、臨機応変に舵を取る。

会社は成長しても小回りのきく経営で、あるべき姿を常に思考し、ビルオーナーと入居していただくスタートアップ企業やフリーランサー、両者へ幸せを提供できる空間づくりをこれからも目指していきます。

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