転職2カ月目に訪れた神社閉館の危機。 情熱がスキルと領域を飛び越えるまで

「婚礼での利用者が減っている。閉館の危機を救ってください」。神社の宮司から相談を受けたゼクシィ営業担当の熊谷拓也。そのときはまだ入社2カ月目、知識も経験もありませんでした。しかしそこから社内のネットワークをいかし、画期的なコラボを実現。その成功の秘訣とは――。
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会館の閉鎖危機に陥った神社を助けたい!

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▲転職後、ゼクシィ営業担当となった熊谷拓也

「紹介を受けてお電話しました。熊谷さんは『ゼクシィ』のお仕事をされているそうですね。どうか力を貸していただけないでしょうか」

その電話の相手は、由緒ある神社の宮司でした。

熊谷がリクルートマーケティングパートナーズ(以下、RMP)に中途入社して1カ月がたった頃のことです。

実際に訪問し話を伺うと、「会館の運営が厳しい」という実情を伝えられました。近年、結婚式で利用する人が減少。閉館の危機にあるが「過去に挙式したご夫婦の思い出を守るためにも存続させたい。でも何をすればいいのかわからない」といいます。

しかし、熊谷はまだ入社2カ月。その場で適切なアドバイスができず、会社に帰ってリーダーに相談しました。

「君はどうしたいの?」「なんとか助けになりたいです」「じゃあ、やってみればいい」

熊谷は、まず神社や地域の特性をつかむために、その街を歩き回りました。地域に根差していそうなお店に飛び込み、「ここに住んでいるのはどんな人ですか?」と聞き込み。

同時に、チームメンバーに状況を伝え、アドバイスをもらいました。さらにはチームの枠を越え、フロアにいる他部署のメンバー、他領域のメンバーにまで話しかけ、ヒントを探し回ります。

そんななか、「一緒にやらせてほしい。新たな価値が生みだせるかもしれない」という声が。それは、まなび領域で大手ブライダル専門学校の営業を担当しているメンバーでした。

神社とブライダル専門学校生のコラボで「フェア」が実現

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▲他領域のメンバーと話し合うことでヒントを得る

そのブライダル専門学校では、他校と差別化するためのアイデアを探していました。

熊谷は「神社を会場として、学生さんにPRイベントを企画・運営してもらえないか」と持ち掛け、その提案は学生が実践経験を積む機会を提供したいと考えていた学校側のニーズにマッチ。神社とブライダル専門学校生のコラボが実現しました。

熊谷 「対象エリアには、若くして結婚している人が多いことを調査でつかんでいました。そこでターゲットを『結婚式をしていない夫婦』に設定。子ども連れで楽しめて、思い出を残せるブライダルフェアを企画し、地元の幼稚園などでPRしました」

フェア当日は、学生が新郎新婦を演じ、雅楽が流れる神殿での模擬挙式を披露。他にも、だんじりをモチーフにした演出、地元の食材を取り入れた婚礼料理やスイーツ、記念撮影用アイテムなどを揃え、来場者を迎えます。

専門学校の学生はイベント企画の経験を積むことができ、神社はイベントを通じて「神前式」の魅力をアピール。双方にとってメリットのある企画となったのです。

「こんなににぎわったのは久しぶりだ」と喜んだ宮司は、「これからもいろいろチャレンジをしていきたい」と前向きな姿勢に。その後の継続的なクライアント伴走へとつながり、挙式数増加に貢献できました。

おもしろいことをするために、領域や会社の枠を越えていく

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▲最近では、話を持ちかけられこともあるという

入社2カ月でありながら、領域の枠を飛び越えてコラボ企画を成功させた熊谷。

そんな「協力者を得て目標を達成する」という行動は、子どもの頃から身に付いていたといいます。

熊谷 「経営者だった父から『自分ができないことは、できる人とやればいい。持っていないものは、お互いに与え合えばいい』とよく言われました。それを自然に実行していたと思います。
学生時代はバスケやサッカーをしていましたが、猪突猛進型の僕を緻密な戦略家タイプのチームメイトがフォローしてくれて、試合に勝てた。また、前職ではメンバーそれぞれの強みをいかすことで、プロジェクトを成功させたことも。そんな経験を通じて『組み合わせること』の大切さを実感したんです」

熊谷はRMPに転職した直後から、「おもしろい人とつながりたい」と考え、フロアにいる知らない人にも積極的に声をかけました。

熊谷 「そこで顔見知りになり、『こんな課題を抱えているんですが、解決策を持っていそうな方はいませんか』と相談すると、いろいろな人を紹介してもらえる。1日1回か、2日に1回は新しい人と話す機会を設けて、会いに行っていましたね。
この会社のすごいところは、みんな、忙しいはずなのに、嫌な顔をする人がいない。相談すると、親身になって意見やアドバイスをくれるんです」

ただ情報を受け取るだけではない。「ブライダルに関することで何か知りたいことがあれば、僕に言ってください。協力しますので!」と、相手の役に立つことも意識していたといいます。

こうして、他領域にもネットワークを広げ、「協力者」を獲得している熊谷。最近では、向こうから「こんなクライアントがいるんだが、一緒におもしろいことができないか」と声をかけられることも増えてきたそうです。

ついには会社の枠も越え、不動産情報サイト『SUUMO(スーモ)』を運営する「リクルート住まいカンパニー」とも協働を始めました。

リクルートグループ全体でイノベーティブな取り組みをしたメンバーが表彰される『TOPGUN』コンテストを見て、「この人、すごい」と興味を持った人に翌日会いに行ったのです。「結婚」と「住まい」は密接に関係します。飲みに行って「こんなこと一緒にやりませんか」と誘ったら、「いいね、やろう」と即決。他にも、会社の枠を越えた企画を検討中だと語ります。

サイコロを振ることから、イノベーションが生まれる

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▲「みんなと一緒に新しいものをつくりたい」と語る熊谷
熊谷 「いろいろな分野の知見や情報を取り入れて、『掛け算』の発想で新しいものをつくっていきたいですね。そうしてマーケットを盛り上げたい。その現場で働く人たちにとって『元気玉』のような存在でありたいです」

会社ではすぐに実行に移せないアイデアを思いついた場合は、個人的にコミュニティに参加して取り組んでいます。さまざまな業種の人が集まり「こんなことをやりたい」を発案。共感したメンバーが支援する、というコミュニティです。

たとえば、カップルを増やし、結婚式を増やすため、敷居を下げた男女の出会いの機会として『ジャストミートフェス』という80名程の企画イベントを実施。

他にも、働く人にヘルシーな食事を届けたいと、オーガニック弁当の開発販売もおこなっています。社内外で得たリアルな情報を仕事にいかし、コミュニティのメンバーたちからも新たな知見を得て、次の「掛け算」の可能性を探っていくと語ります。

熊谷 「サイコロ=ひとりの人、サイコロの目=その人の知見やノウハウ、とします。たくさんのサイコロを一斉に投げて、それぞれのサイコロの出目を掛け合わせてみたら、ワクワクすることが起こると思うんです。自分ひとりではつくれない何かを、みんなと一緒につくっていきたいですね」

最後に熊谷はこう語り、目を輝かせた。

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