日本一「予約」に詳しいと自負する男が語る、予約からサービスを育てるという思考

2018年から「予約ラボ所長」という肩書きを名乗り活動している星野陽介。これまでに3000件以上の予約管理に携わってきた予約のスペシャリストです。そんな彼が率いる日本唯一の予約研究機関、「予約ラボ」は、何を目指しているのか。掘り下げれば掘り下げるほど深い、知られざる「予約」の世界を語ります。
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生きる力をつけるためにーー。元旅人、「予約」の会社で再スタート

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▲予約ラボ 所長 星野 陽介

日本で唯一の予約研究機関、「予約ラボ」。

その所長として「予約」の可能性やノウハウを追求する星野陽介は、2012年にリザーブリンクに入社して以来、予約管理を通して業種・規模ともにさまざまなお客さんの課題を解決してきました。

現在のアカデミックな肩書きとは対象的に、入社前の星野の肩書きは「旅人」。新卒で入った人材会社を「仕事が面白いと思えない」と1年で退職し、ヨーロッパなどをふらふらしていたのです。

その期間が、自分はどんな仕事をしたいのかを考えるきっかけになり、ほどなくして帰国し就職活動をするなかで、リザーブリンクに出会います。

星野 「まだ入社してもいないのに社長宅でやるバーベキューに呼んでもらって。予約にもITにも興味はなかったのですが、社員やその家族がとにかく良い人ばかりだったんですよ。
求人の仕事をしていたこともあり、“何をやるかよりも誰とやるか”という考えになっていました。仮に何かあってもこの人たちが仲間なら大丈夫だろうと直観的に思い、すぐに入社を決めました」

社長に「生きる力が欲しいです」と伝えて入社を果たし、営業や製品企画、マーケティングなどを幅広く経験。4年ほど経ったころに、メディアとしての「予約ラボ」を立ち上げることになったのです。星野は別部署のサービス責任者として片手間で関わったのですが、常々、メディアの必要性は感じていました。

星野 「会社として製品には自信を持っていたのですが、それだけでは潜在的なニーズに気づけない。僕たちはツールを売りたいわけじゃなくて、予約を通じた『顧客体験』や『経営課題解決』を提供したいんだよね?と話し合って生まれたのが『予約ラボ』です」

そしてその後、星野は予約ラボの責任者を名乗り出るのです。

メディアではなく、「研究機関」に。“所長”を名乗ることにしたワケ

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▲「予約ラボ所長」としての新たなスタート

立ち上げ当初こそ定期的に更新されていたものの、責任の所在も曖昧で宙ぶらりんな状態となっていた予約ラボ。対して、複数のポジションで経験を積み上げてきた星野は、「誰よりも予約に詳しい」と自信を持って言えるようになっていました。

「じゃあ、自分がやってみよう」

予約ラボの責任者として、新たなスタートを切ることになったのです。

星野 「予約に深く関わっている人は世の中にたくさんいます。でも、いろんな業界を水平的に見られる人は意外と少ないんですよね。
外部の人にも『それだけ予約に詳しいなら、もっと表に出たほうがいい!』と後押しされて、現場に足を運んで見聞きしてきた5年間は無駄じゃなかったと自信がつきました」

「予約に詳しい人」としていろいろな業種の経営会議に参加しては、製品を飛び越えたソリューションを提案してきた自負があります。会社のためにも、思い切って「予約ラボ所長」という肩書を名乗ることに。

星野 「責任者であることを示すときに、対外的にもわかりやすい肩書きは何かなと考えて。僕は編集のプロではないので、『編集長』というのは少し違う。
どちらかというとビジネスデベロップメントの性質が強いので、いろいろ考えた結果、『所長』がいいかなと。予約ラボはLAB=研究機関なので、その意味にもハマりました」

あくまで、ビジネスの現場に立った研究機関。アカデミックなことを研究する大学の研究室とは一線を画しています。

専門用語使ったり、論文を読んだりすることもあるけれど、そのロジックを噛み砕いて現場に落とし込んでいくのが予約ラボの役割。仮説をもとに取材を通じて現場とコミュニケーションを取り、検証を重ねているのです。

現場から経営まで、“立体的”に。見えてきた「予約」の本質とは

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▲予約を「点」ではなく「線」で見ることで、企業の経営課題も見えてきた

「予約ラボ所長」という肩書きを名乗るようになってから、予約のスペシャリストとしての星野の立場はますます確立されていきました。企業の会議に参加すると、「スクリプトを用意してきたんですか?」と驚かれるほど、手品のように次々にお客さんの課題を潰すことができるまでになっていました。

そんな星野、以前と比べて予約を“点”ではなく“線”で見られるようになり、今では“面”で捉えられるようになったと語ります。

星野 「たとえばスパを運営している企業の場合、最初は『ネット予約をする』という行動単体しか見えなかったのが、お客さんがどういう流れでお店を認知して、予約して決済し、数カ月後にリピートしてくれるかという、一連の流れが見えるようになったんです。
するとマーケティング戦略や経営課題にもつながります。これが“線”でみるということ」

さらに、飲食店など現場ありきの案件を見ていくなかで、予約を最適化するためには“空間”を想像する必要があることも見えてきたのです。

星野 「キッチンの場所やテーブルの数を把握して、スタッフがどういうふうに動いて1日を過ごすのかを想像します。お客さまが入店し、席に着くまでの導線や、スタッフや食材のキャパシティまで把握していくんです。
立体的に見ることで予約の入り方までコントロールし、サービス全体をつくり上げる。これが、“面”で捉えるということ、常に予約で一杯=お客様が幸せということにはなりませんから、コントロールも必要なんですよ」

「予約」を起点に切り込むことで、リソースの状況を含めサービス全体の課題も見えてくる。もはや「予約ラボ」という言葉では足りないくらい、深いところまで踏み込んだ経営全体の支援をしています。

星野 「予約とは、形のないものをパッケージングして売ることだと思っています。
私のクライアント様に、国内在住の外国人が自宅で家庭料理をふるまう食体験予約サービスを運営する企業がいらっしゃるのですが、郷土料理のつくり方を教えたい、上質な料理をゲストとシェアしたい、などホストごとに売りたい体験は違います。
だから、ただ単一的に料理写真を並べてはいけない。時間とリソースをパッケージングして、本来の提供価値に添った見せ方を考えてあげる必要があるんです」

予約フローを丁寧につくっていくことで、売上ボリュームまでコントロールする。そんなマーケティング戦略にも近い動きが、星野が「予約」の向こうに見ていることなのです。

これからの予約ラボが目指す、予約から価値が生まれる社会

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▲地道な活動はいつか実を結ぶ。そう信じて今日も現場へ足を運ぶ

人々が「予約」と聞いて想像する範囲を超え、より大きなものを想像する星野。慎重に言葉を選びながら語ってきたものの、まだまだ伝え方に課題があると話します。

星野 「これは悩みなのですが、説明するのにとても時間がかかってしまうんです。予約がかかわる業種・ジャンルがあまりにも広すぎて、一般化して伝えるのが難しくて。
最近は『何をしている人なんですか』と聞かれたとき、相手の立場に合わせて具体例を出しながら説明するのは上手くなってきました。業種ありきの相談はお役に立てるのですが、大衆に向けた説明をどうわかりやすくするかが目下の課題です」

それでも、予約についてもっと広く伝えたい。「予約ラボ所長」としてのイベントに登壇やメディア露出が増えてきた昨今、その必要性をさらに強く感じています。

星野 「予約はすべての業種に発生する可能性があるんです。たとえば製造業なので関係ないと思われがちな工場でも、工場見学をはじめた瞬間にサービス業になり、予約が発生します。
こんなふうにニーズが生まれたタイミングで『予約の星野さんに聞こう!』と思い出してもらえる存在になりたいです」

2018年現在はコンサルティングサービスも行ないつつ、外部と連携してプロダクトをつくったり一緒に研究を進めたり、数々のプロジェクトを並行しながらビジネス面で必要とされる研究所を目指しています。

星野自身が現場に足を運び、顔を覚えてもらうことにも積極的です。「見つけてくれる人は見つけてくれる」という手応えも感じており、地道な活動がいつか実を結ぶと信じています。

「予約を起点に価値を生み出す集団であれ――」

たとえ「予約バカ」と言われても、このビジョンを体現するチームを率いていきたい。そんな思いを携えて、これからも「予約ラボ所長」として星野は奔走し続けます。

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