「広告費をもらう」ではダメ。“スーツを着ない”Retty広告事業部が目指すもの

“User Happyな広告”というコンセプトで、ネイティブアドを生み出しているRettyの広告事業部。チームをけん引するのが、立ち上げ時期から携わっている神林浩介と、大手広告代理店から転職してきた松尾勇佑です。立ち上げ当初の思い出話や今後目指したい姿を語ってもらいました。
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「この事業は神林くんがやるんだよ」で即決。ハチャメチャだった立ち上げ期

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▲神林(左手前)が入社2カ月目に参加した、社員合宿での記念撮影(千葉、2014年11月)

Rettyが広告事業スタートのプレスリリースを出したのは、2014年9月のこと。それを見て興味を持ったのが、当時他社グルメサービスの営業をしていた神林でした。他社サービスが飲食店さんからお金をもらう形でマネタイズをしている中、「ネイティブアドをはじめるっていうのがおもしろいと思った」と振り返ります。

神林 「話を聞いてみたくて。当時、すでに元同僚が Rettyの仕事に携わっていたのでつないでもらって、数日後にはオフィスに乗り込みました。
話を聞いていたら、『このビジネスは神林くんがやるんだよ』って代表の武田さんに言われたんですよ。『じゃあやろうかな』みたいな感じで、条件も何も聞かずに即決(笑)。働いている人たちの雰囲気が良かったのが大きかったですね」

こうして1カ月後にはRettyに入社。最初に取り掛かったのは、事例づくりでした。

神林 「無料でもいいからとにかく事例をつくろうってことで、まずは Rettyと相性が良さそうな大手企業をリストアップしました。 最初の目標として、10〜12月の3カ月で15社から契約をもらうと決めました。チーム名もコミットメント 15社、略称で当時は C15部隊というチーム名でした。
最初はアポがまったく取れなかったので、電話やメール、セミナーへの潜入などなど、クライアントとつながれそうなことはなんでもやった。そうやってアポを取っていって、12月の営業最終日に15社目が決まって祝杯をあげたのを覚えています」

営業担当は神林と、新卒社員の2人。双方とも広告事業は未経験です。当たり前のことを何も知らず、「ハチャメチャだった」と神林。

神林 「受注したら、今度は納品しないといけないんですよね。でも最初は納品する術がよく分かっていなかったんです。
タイアップページを期日までに納品することにいっぱいいっぱいになっていて、なんとか間に合わせてクライアントに納品。リリース当日にクライアントに連絡したら、クライアントから『このページはどこから見ることができるんですか?』って言われて。
たしかに Rettyのどこにも動線がないんですよ……。思い出すのも恐ろしいです。そんなトラブルが続き、当時は営業の自信よりも不安の方が大きくて、なかなか営業がうまくいきませんでした」

クライアントもユーザーさんも喜ぶ。みんなのハッピーを目指したい

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▲2014年に入社した神林。広告事業の立ち上げ初期からチームをけん引

そんな中、広告ビジネスの商品や方向性を決定付けたのは、大手飲料メーカーとの出会いです。

神林 「ある広告系のイベントで出会ったデジタルマーケティング部の方と、不思議とウマが合ったんですよね。メディアに求めることやその会社の考え方をざっくばらんに聞かせてくれて。
その数カ月後に『 Rettyで年間プロモーションをするとしたらどんなことができるかな?』と相談をいただき、そこからいろいろなアイデアをぶつけ、最終的に大きな予算を預けていただくことができました」

当時のRettyの広告メニューは、わずか2つ。そのままではやれることが限られてしまうので、クライアントを巻き込みながら企画を考え、新たな広告メニューをつくっていきました。このときの企画が、2018年現在の広告メニューの原点となっています。

神林 「結果的には、追加発注も含めて年間で当初計画の 1.7倍くらいの売上になりました。新しい取り組みということで、先方からの評価はすごく良かったんです。 2015〜16年にかけて、その会社の各商品ブランドでいろいろな広告手法にチャレンジしていましたね」

特に手応えを感じたのが、イベント型の広告です。そのときはビール好きのユーザーさんを募集し、新しいビールの体験会をやってみたんですが、「めちゃくちゃいいね」「こういうイベントをぜひたくさんやってほしい」と、ユーザーさんからの大きな反響がありました。

神林 「ユーザーさんからはたくさんのポジティブなご意見をいただいて、クライアントさんもユーザーさんも喜んでて、本当にハッピーだなと思って。こういうモデルをスケールさせていきたいっていうのは、当時からずっと考えてますね」

「User Happy」を掲げるからこそ、“広告っぽさ”は徹底的に排除

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▲ 2017年に入社した松尾。入社前は、大手広告代理店で飲料メーカー向けのマーケティング担当だった

2018年現在の広告事業部は、新規クライアント開拓と、既存クライアント対応の2つのチームに分かれています。後者を率いているのが、2017年に入社した松尾です。以前は大手広告代理店で、飲料メーカーを相手にマーケティングの仕事をしていました。

松尾 「前職では Rettyなどのグルメサービスに広告を出稿するかどうかを決める立場でしたが、当時から『人からお店を探す』ってコンセプトがおもしろいと思っていました。
『モノ消費からコト消費へ』と言われますが、飲食業は体験を売っている商売です。点数などの “評価 ”ではなく、 “人からのおすすめ ”としてお店を紹介できることは、 Rettyの大きな強み。ポジティブな世界観の中で商品を PRできることが、クライアントが Rettyに広告を出稿する理由にもなっています」

「User Happy」を掲げる Rettyだからこそ、“広告っぽさ”をなくすための努力は常に心がけています。

神林 「商品設計するときも広告をつくるときも、『自分がユーザーだったらどう思うか』って目線でずっと見ています。他社メディアとの比較もしますが、一番はその広告が “ウザいか、ウザくないか ”。この観点で何度も、何度もチェックをしています」
松尾 「クライアントは “ザ・広告 ”みたいなものが好きなんですよね。そこにユーザー視点を掛け合わせて良いものをつくるのがわれわれの役割です。
クライアントの希望とのせめぎ合いはよくありますが、Rettyに広告を出している理由に立ち返ってくみ取ってくれることが多いですね。『本当に商品を生活者に PRしたいのなら、こうした方がいいですよ』って提案を僕らがすることが何より大事だと思っています」

2018年で4年目となる広告ビジネス。今後取り組みたいことのひとつが、オフラインの場へのアプローチです。

松尾 「長ければ 4時間ぐらい飲食店に滞在しますよね。飲食店はいわば超良質なオフラインのメディアで、ものすごく可能性がある。
たとえば飲食店さんにメーカーの新商品専用メニューみたいなものをつくってもらうといったことは、今後やってみたい企画のひとつ。その商品をヘビーユーザーさんに心から『おいしい』って言ってもらうことができたら、みんながそれを味わいたいと思ってくれるはずです。
こういう PRは Rettyだからこそできることだし、実現できたらみんながハッピーになれますよね」
神林 「最近めちゃくちゃ楽しかったのは、クラフトビールを人気飲食店で体験できる企画。超人気飲食店さんにクラフトビールを置かせていただき、一緒にクラフトビールに合うメニューを考えてもらって提供しました。
ユーザーさんから『楽しかった』って投稿がたくさん上がってきて、飲食店オーナーさんにもクラフトビールに興味を持ってもらえました。でもこの企画って、 “まだ知られてないビール×超人気店 ”だからこそ、プレミアな企画として成り立っているんです。
こういう設計をちゃんと考えなければ、ユーザーさんのハッピーは生まれない。メッセージがすっと入ってくるような、モーメントを捉えた広告やイベントをつくることは、絶対的なテーマです」

全員がクライアントの戦略パートナーになれれば、広告事業はスケールする

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▲メンバーには「広告を売るのではなく、戦略パートナーになる意識を持ってほしい」と語る2人

そのために必要なのが、「広告の対価ではなく、戦略フィーをもらうという考え方」と2人は語ります。

神林 「僕らのやりたいことは、商品の戦略プロモーションのお手伝いです。決まった枠組みの中で役割を全うするのではなく、クライアントと一緒に商品戦略を考えるところから仕事をしたいんですよ。
そういう意思表示は常にするようにしていて、提案書には必ず広告の手法論だけでなく、クライアント商材の戦略から描くようにしていました。ターゲット戦略や、競合商材との比較などですね。
それに、記事広告の営業は有象無象にいる中で知名度がない Rettyが生き残るために、提案数やスピード、企画の斬新さ、見た目の奇抜さなど、 “どうやって相手の印象に残るべきか ”っていうことはいつも意識しています」

実績はおろか知名度も低い中で営業をしていた初期の頃から、神林はスーツを着たことがほとんどありません。同僚からも不思議に思われるほど、いつでも私服で仕事をしています。

神林 「営業ではなくマーケターでありたいという意思表示と、相手の印象にどう残るかを追求した結果、たどり着いた答えのひとつがスーツを着ないこと。すなわち、私服でクライアントに会うことだったんです。
ちなみに、マーケターでありたい僕らとは異なる理由だと思いますが、当時の武田さんはどこのアポに行くときも、常に革ジャン。表彰式のときも革ジャンで、それしか服を持ってないんじゃないかっていうくらい。たまに違う服装でアポに行くと、『今日は革ジャンじゃないんですね』ってお客さんから言われるぐらいでした(笑)」

今後の課題は、チーム全体のレベルアップ。メンバーには「広告を売るのではなく、戦略パートナーになる意識を持ってほしい」と2人は話します。

松尾 「そのためには、営業一人ひとりの思考レベルを上げることが不可欠です。ただ、2人とも育成は苦手なんですよ(笑)。だからこそ、メンバーと一緒に僕らも成長してかなきゃいけないと思っています」
神林 「今までは自分がクライアントに対してどう行動するかを中心に考えてきたけど、ここから広告事業部のレベルを一段上げるためには、それだけじゃダメなんですよね。
初期の頃から継続的に大きな予算を任せてくれている大手飲料メーカーさんは、『守るべき指標さえクリアしていれば、何をしてもいい』というスタンス。戦略や企画の部分から任せてもらえているのは、パートナーとして認めてもらっているからこそです。
メンバー全員がそういう仕事ができるようになれば、広告事業はガッとスケールするはず。そうやって、『どうやれば面白い企画がつくれるのか』をもっと突き詰めていきたいですね」

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