「イケてる」を数式化せよ!「Retty人気店」を通じてみつけた社会におけるRettyの役割とは?

2018年4月に「Retty人気店」機能が刷新され、Rettyを初めて使う方々でもオススメのお店が探しやすくなりました。プロジェクトを担当したのはデザイナーの近藤雄亮とデータアナリストの平野雅也の2人。リリースまでの数カ月間、「Retty人気店とは?」「グルメとは?」の問いに向き合い続けてきました。
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Retty人気店の目的は、普遍的な価値をつくること

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▲人気店をつくるロジックの要件に据えたのは「トレンド」「フェア」「カラー」の3つ

「自分にベストなお店が見つかる」というコンセプトを掲げるRetty。このコンセプトをより広いユーザーさんへ提供することを目的に、今回のプロジェクトが始動しました。

近藤 「ユーザーさんからは、特定の地域やジャンルの中から20店ほどのお店を選出する、まとめコンテンツがこれまでは支持されてきました。でも実際にお店に行くときは、20店から1店に絞らなければいけません。
『ベストなお店が見つかる』というサービスコンセプトを強化するためにも、強烈な決め手が欲しかったんです。Rettyに初めて触れる人にもわかる、普遍的な価値をつくることが求められていました」

まずは、Retty人気店の全体の方針やビジョンをデザイナーの近藤が固めていきました。

近藤は、2014年にRettyに参画して以来、クリエイティブの統括やサービスグロースと体験設計、ブランド・マーケティング領域を担当し、2018年9月現在はチーフデザイナーとしてサービスのブランドや体験価値の領域をリードしています。

近藤 「意識したのは『トレンド』『フェア』『カラー』の3つ。グルメはカルチャーですから、トレンドは必須。変わりゆくトレンドの流動性を反映するという点をかなり重視しています。
また、あらゆる情報がつながる時代だからこそ、情報をフェアに見せる構造が大切です。3つ目のカラーは、サービスを運営するうえで最も重要なところ。
ただ、Rettyは普段からサービス提供者としてのあるべき姿を意識していて、“Rettyらしさ”がメンバーにしっかりインストールされている。だから今回のプロジェクトではこの部分についての議論はほとんど時間をかけていません」

PVによるランキング、カテゴリごとのリーグ制、人力でのコントロール、ユーザーレベルを加味するなど、人気店を選出する仕組みはさまざま。しかし、「どれも一長一短」と近藤は話します。

近藤 「たとえばPVによるランキングは、一部の店舗にトラフィックが集中してしまいます。カテゴリ別にすれば、ある程度は改善されるかもしれませんが、表示される店舗はやっぱり固定化しやすいです。
一方、投稿内容のスコアリングを評価に反映することで、トレンドを反映しやすくする方法もありますが、影響力の強いユーザーさんが顕在化して、ロジックがハックされやすくなる可能性もあります。
僕らがつくりたい世界観を実現するには、さまざまなモデルを複合的に混ぜ合わせたハイブリッド型の独自モデルをつくる必要がありました。
ユーザーさんにとって納得感がありつつも、なぜそうなっているのかはわからない。このバランスはかなり考えましたね」

「イケてるお店ってつまり何?」グルメという感覚の世界をデータでひも解く

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▲プロジェクトを担当したデザイナーの近藤雄亮(左)とデータアナリストの平野雅也(右)

Retty独自のモデルを実現するために、ロジックを組んで形にしていったのは、データアナリストの平野です。

2014年にRetty初の新卒として入社した平野は、エンジニアリングやデータ分析領域で経験を積み、現在はデータ分析チームのマネージャーとしてRettyのサービスや組織づくりを支えています。

平野がアルゴリズムをつくっては、その結果人気店となったお店に2人で足を運び、結果が妥当なのかを検証し、アルゴリズムを更新する。この工程を何度も繰り返していきました。

近藤 「2〜3カ月の間、ほぼ毎日、昼と夜に必ず1店舗ずつ以上に足を運びました。グルメって暗黙知が多いんですよ。『イケてる』の一言にはさまざまな要素が詰まっていて、おいしいだけでもないし、安ければいいわけでもない。
最近だと写真映えするおしゃれさが大事とも言われるけれど、じゃあおしゃれって何なのか。そういった暗黙知を分解して、『おしゃれを構成する要素に一番近いのはこの数字』と導き出す必要がありました。
そのためには、日常的に飲食店に足を運び、オンラインだけでなくリアルな場においてもマーケットに関連するデータをインプットし続けることが大切なんです」
平野 「ロジックをブラッシュアップするには、人気店かどうかを判断するための評価方法が重要です。ただし、食の趣向は人それぞれなので、正解となるデータは存在しません。
定量評価が難しいので、評価軸を複数設けて多角的に行なうことにしました。社内のグルメな人たちを巻き込んだのも、その一例です。人気店に行ったことがある人に、それが妥当かどうかをチェックしてもらって、理由を言語化してもらう。
同時に、その人と一緒にご飯に行って、グルメのこだわりや価値観を語ってもらいました。
主観をできるだけ取り除くために、『この人はこういうことを言いがちだからそこは差し引こう』と判断したり、『本当にそう思った?』と何度も確認を取ったりしながら、ロジックのブラッシュアップを進めていきました」

人気店をつくる最適なアルゴリズムを考えるためには、要件となる「外食産業のマーケット特性とグルメのカルチャー感度」を深く知る必要がありました。「そこに踏み込むことが今回のポイントだった」と平野は振り返ります。

平野 「プロダクトが目指している世界観を理解するために、実際にお店に行ったりグルメな人の気持ちを知ったりしながらUXに踏み込めたのは、データアナリストとしてすごく新鮮でしたね。
今回のような『デザイン×データ分析』の組み合わせは、Rettyに限らず今後のサービス開発においてますます重要になってくると思います。データ分析の界隈でこういうアプローチは珍しい。めちゃくちゃ難しかったですけど、成長にもつながったと思います」

ナンバーワンではなく、オンリーワン。「みんなの推し」がRetty人気店

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▲Retty人気店(2018年6月時点)となったお店さんにお届けした「Retty人気店」ステッカーとリーフレット

こうしてRetty人気店は、2018年4月にリリースされました。人気店のお店詳細のPV数や来店者の数が増えるなど、「ユーザーさんからの反響は明らかに数字に現れている」と平野。一方のRetty人気店となったお店さんにはステッカーをお届けしました。

近藤 「グルメ業界では、情報を発信するメディア側が飲食店に対して評価や格付けをしたり、称号を与えたりという歴史がこれまでにありました。そこにお店も個人もへきえきしているっていう社会的な文脈は少なからずあると思ったんです。
Retty人気店は、お客様からの『オススメの声』から生まれるもので、お客様からお店さんに対するエールでもある。Retty人気店の価値はお客様やお店さんと一緒につくっていくものだと思っています。
同時に、お店さんが抱える課題の解決にもつながる存在でありたい。そのことをできる限り丁寧にお伝えするために、送付状以外にリーフレットを添えるなどしてステッカーを郵送しました」

ステッカーを送ったお店さんからは、たくさんのポジティブな反響が届きました。中には直筆でお礼のお手紙を書いてくださったお店さんも。来る日も来る日もひたすら「人気店」に向き合った2人ですが、4月のリリースから約5カ月が経った今、「Retty人気店」をどのように説明するのでしょう?

近藤 「ナンバーワンではなく、オンリーワン。ナンバーワンの基準はひとつだけれど、オンリーワンにはさまざまな基準がある。
たとえばAKBの総選挙って、一番かわいくて歌やダンスが上手い人が1位になるわけではないですよね。何かが飛び抜けていて、そこに対してたくさんのファンが共感し、注目を集めるから1位になっている。
だんだん人気者になるプロセスが変わってきていて、それが今回のRetty人気店にも反映されている。『みんなの推しのお店』がRetty人気店なんです」

推したり推されたりという関係を正しく表示させるのがRettyの役割。Retty人気店は「唯一無二の価値」と平野は話します。

平野 「通常のレビューには良し悪しの2つの情報があって、それを判断してデータ抽出をするのは至難の技。
でも、Rettyは『オススメ』のお店を紹介するカルチャーであり、実名ベースのため『嘘の情報』が投稿されるリスクも極めて小さく、信頼できるデータが集まっています。かつ、流行しそうなお店にはたくさんの人から『いいね』や『行きたい』が瞬間的に付いて、タイムラインが盛り上がるのでトレンドも捉えやすい。
『Retty人気店』は、これだけ質の高いデータがそろっているRettyだからこそ実現できた機能なんです」

「Retty人気店」は人間を知り、社会を知らなければできなかった

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▲これからも「Retty人気店」の価値向上に向けた探求が続く

Retty人気店はまだまだ発展途上。「『ベストなお店が見つかる』というコンセプトをもっと突き詰めたい」と近藤は意気込みを語ります。

近藤 「個性あるすばらしいお店さんにスポットライトを当てて、みんなに知ってもらいたい。人気店が表示されるアルゴリズムを改善したり、人気の理由が分かるように可視化したり、やるべきことはたくさんあります。
同時に、ユーザーさんとお店さんと一緒につくっていくサービスに昇華させていきたいです。『やっぱり人気店は良かった』とユーザーさんに思ってもらうために、もっと価値を研ぎ澄ませていきたいです」
平野 「データ分析の観点からいくと、まだまだロジックは完璧ではなく課題がたくさんあるのでブラッシュアップしていきたい。特に今回を通じて『グルメの感覚』という要件の言語化が進んだので、評価方法やアルゴリズム選定は改めて検討していきたいです」

最後に、今回のプロジェクトを2人は次のように振り返ります。

平野 「グルメな人たちのことを深く知れたし、一緒に戦う社内の仲間のこともこれまで以上に理解することができました。ずっとやっていたかったくらい、本当に面白かったです。『人気のお店とは?』という問いに対峙して、あらためて深掘りができました」
近藤 「人間を知らなければできなかったし、人間を知ることが結果的に社会を知ることにつながっていたと思います。Rettyは月3000万人のユーザーさんにご利用いただいていて、社会に与えるインパクトも大きくなってきたと感じます。
たくさんのグルメサービスがある中で、コミュニケーションの仕方やトレンドを押さえたお店がいち早く見つかる仕組みなど、時代に合った新しいサービスをつくっていきたいです。
これが社会から求められている、Rettyの役割。そんなことを今回改めて感じましたね」

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