「User Happy」なら、「We are Happy」。Retty創業メンバー3人の揺るがない価値観

社員の好きな食のジャンルを担当として認定する「グルメ担当制度」、周辺のランチスポットを網羅したら移動するとウワサされるオフィス移転。食を事業テーマに掲げるRettyのカルチャーはどのように生まれたのでしょうか? 創業メンバーであるCEO・武田、取締役・長束、執行役員・内野の3人が語ります。

グルメ担当制度の背景にある、“変態的なグルメユーザー”の存在

▲2012年2月に大阪で開催したユーザーさんとの交流会「Retty Night」で挨拶をする武田

もともと全くグルメではなかったという3人。食に興味を持ったのはRettyをはじめてからのことでした。

長束「創業当初に入居していた赤坂のオフィスは、ビジネスホテルを改装したマンション。キッチンがなかったし、そもそもRettyを使うためには外食しないといけない。だから持っていた鍋や食器は全部捨てました(笑)。僕のRetty投稿数は約2100件なんですが、最初の年は年間375投稿で、つまり1日1件以上。最近はさすがにそんなには投稿できてないけど、週5軒は新しいお店に行っています。多分Retty内でのアクティブさは僕が1位ですよ。社内のメンバーの投稿には絶対いいねを押すんです。『長束Botが勝手に押してるんでしょ?』って言われるくらい(笑)」

基本的に3人の食事は毎日外食。好きな食のジャンルを担当として認定する「グルメ担当制度」では、武田は焼肉、長束は餃子、内野はビールをそれぞれ担っています。この制度が生まれた背景にあるのが、“変態的なグルメユーザー”の存在です。

長束「僕らもグルメにならないと、ユーザーさんと会話ができない。最初は全方位的に詳しくなろうと思ったんですけど、本当にグルメなユーザーさんたちって、もはや変態なんですよ(笑)。普通に張り合うのはまず無理だから、自分たちが好きな特定の分野で勝負しようということで、担当制度をはじめました。今では餃子の話ならグルメユーザーさんとも対等に渡り合えます」

武田「僕の担当は焼肉ですが、最近はラーメンとスープカレーと寿司ばかり行っています」

内野「武田さんはそろそろ担当を変えた方がいい。僕は今でこそビール担当ですけど、創業当時は発泡酒を飲んでいましたね(笑)」

「ランチスポットを網羅したら移転」が生まれた意外なきっかけ

▲築地エリアに移転した2012年ごろには、銀座や新橋あたりまで足を伸ばしたいという社員の声から「ランチ自転車」を設置。2018年現在も、社員が自転車でランチ開拓をしている

こうしてさまざまなお店を開拓していった3人。食事代が支給される「グルメ調査費」など、Rettyには食を楽しむためのさまざまな制度があります。オフィスは飲食店が多いエリアに構え、食べ尽くしたら移転する、なんてウワサも。ところが最初のオフィス移転のきっかけは、意外な理由でした。

武田「赤坂のオフィスは、オフィス兼僕の部屋だったんですよね。最初は自分の部屋はいらないって思っていたんですけど、やっぱり半年くらいで限界がくるんですよ。5畳でいいから自分だけの部屋が欲しい。それでオフィスを引っ越しました(笑)」

長束「仕事をするときに片付けられるように、武田さんは3000円くらいのエアベットに寝ていたんですよ。だからいつも『体が痛い』って言っていた(笑)。移転してすぐに武田さんの誕生日だったから、内野くんと2万円くらいのベッドマットをプレゼントしたんですよね」

武田「すごくうれしくて、最近まで使ってた(笑)」

内野「新宿三丁目に移転したらランチが充実して、『こりゃいいぞ』って。そのときに『移転するときはランチのバリエーションが増える場所にしよう』って学んだんですよね。武田さんが自分の部屋を欲しがったことで、ランチを食べ尽くしたら移転するっていうRettyっぽい伝統ができた」


「本当にこの給与でいいんですか?」ベンチャーはとにかくお金がない!

▲赤坂、新宿に続き 3拠点目となる六本木オフィス。マンションの一室だった

人数も増えていき、創業から7年で6回オフィスを移転。今では社員数は100人を超えましたが、休みなく仕事に没頭していた創業当時の3人の月給はわずか20万円。資本金をもとにサービスづくりに専念し、貯金で食いつなぐ毎日でした。

武田「本当に最初は給料ゼロ。なっつん(長束)は真面目だから貯金があるけど、僕は貯金ないんですよ。基本的に残高は3万円切っていました。それなのに外食っていうね(笑)。世の中の起業したい人に声を大にして言いたいのは、ベンチャーってとにかくお金がない」

長束「つい最近も、投資家さんから『本当にこの給与でいいんですか?』って言われたんですよ(笑)。成功したうえでそれじゃあ夢がないけど、僕らはまだまだですからね」

武田「給料は上げようと思えば上げられるけど、ちゃんと黒字化するまではね。だから今でも寿司貧乏なんです。お寿司高いんだよなぁ……(笑)」

3人に共通する“お金儲け”よりも“User Happy”の価値観

▲執行役員・内野(左)、CEO・武田(中)、取締役・長束(右)

小規模なサービスを回して、それなりの給料を得る。サービスが大きくなったら売却する。そんなビジネスのやり方もあるなかで、Rettyはあくまで組織やサービスの規模にこだわります。

武田「欲求の出どころの問題だよね。どっちがいいって話じゃなくて、たまたま僕らは欲求がお金儲けにはなかった。それだけの話なんですよ」

長束「僕は小学生のころから『人はなんで生まれてくるの?』みたいな哲学少年で、いろいろな本を読んで考えるなかで、『人は世の中のために生まれてきている』っていうのがしっくりきたんですよね。だからそんなにお金を稼ぐことに頓着はないし、今後成功して収入が上がったら、最終的には投資家になって、世の中のためになることをしたい。ビジネスの損得勘定じゃない活動も財産があればできますし」

内野「僕らは『ライブドア・ショック』の下の世代なんですよ。儲けようとか、目立とうとするためにインターネットですべきことは見えていたけど、やりたいことはそうじゃないっていうことも分かっていた。
僕はやるからには、たくさんの人に使ってもらえるサービスをつくりたい。自分が書いた1行のコードを大勢の人が使ってくれる。それがインターネットサービスのいいところで、それをやりたいっていうのがRettyをやる動機です。どうせなら数億人が使うサービスをつくりたいじゃないですか。それくらいでかいことをやりたいじゃないですか。
日本発の世界規模のサービスはあまりないけど、ひとつそういうものが生まれれば、もっとたくさん出てくると思うんですよね。それをRettyでやりたいんですよ」

給料の話は、気づけば3人のお金や事業へのスタンスの話へ。Rettyの一番大切なカルチャーである、「User Happy」。創業当時からずっと変わらない、何よりもユーザーを大事にするスタンスの根源には、「お金儲けよりも、多くの人に役立つサービスを」という3人の価値観がありました。

行動指針である「Retty Way」は毎年社員みんなで見直し、進化していますが、世界中の人に使われるサービスになって、大企業へと成長しても、「User Happy」のカルチャーだけはずっと変わらなさそうです。

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