IT企業なのにリモートワークができない?

▲管理本部 人事部の川村貴宏

さくらインターネットは、多様な働き方を尊重し社員個々人の創造性と生産性の向上を支援するため、「さぶりこ(SaBuLiCo)」と総称して2016年からさまざまな制度を展開してきました。これは、会社が提供する“働きやすい”環境のもとで社員が“働きがい”を追求し、持続的かつ生産性高く働くための取り組みです。

さぶりこは、Sakura Business and Life Co-Creationの頭文字に由来します。イノベーションは知識と知識の掛け合わせによって生まれるという考え方のもと、会社に縛られず広いキャリアを形成(Business)しながら、プライベートも充実させ(Life)、その両方で得た知識や経験をもって共創(Co-Creation)へつなげることを目指し、命名しました。

定時30分前に退勤できる「ショート30」や、2日以上連続して有給を取得すると1日あたり5,000円支給される「リフレッシュ」などを導入し、社員一人ひとりにとって働きやすい環境を選べる制度を整えてきました。

「どこでもワーキング」は、「さぶりこ」制度のひとつ。社員に、より“働きやすい”環境を提供するため、文字通り“どこでも”働けるようにした制度になります。

管理本部 人事部 労務制度グループで労務のオペレーションのかたわら、さぶりこの制度設計や規程調整、運用フロー策定を担当した川村貴宏はこう振り返ります。

川村 「創業から 20年が経ち、社員の平均年齢が上がるにつれて、育児や介護による在宅勤務のニーズが拡大。当初リモートワークは、会社や上長が必要性を認めた社員のみ認めていました。しかし、育児や介護のために退職せざるをえない社員も出てきて……」

他にも、地震や台風などの災害の際には、業務がストップ。会社の近隣に住む社員のみが会社に残り、業務をすることになってしまっていました。

川村 「さくらインターネットは IT企業。本来は、パソコン一台あればどこでも仕事はできるはずです。そこで、制度・業務フロー・システムの三位一体の変革に取り組み始めました」

この取り組みが、後の「どこでもワーキング」となります。

リモートワーク導入の壁は、管理職と部下の信頼関係にあった

▲リモートワークの様子

自宅やコワーキングスペース、実家や地方拠点など、インターネットさえあればどこからでも勤務できるしくみ「どこでもワーキング」。導入にあたって一番の課題となったのは、管理職と社員の信頼関係の構築でした。

川村 「弊社はハードウェアを取り扱っていることもあり、 IT企業の中でも硬めの社風です。そのため、管理職からは『見えない中でちゃんと仕事をするのか』、『管理できないのではないか』と不安や反発の声が上がったのです」

もともとメールやチャット前提のコミュニケーションをしていたものの、実際の業務フローは対面前提で設計されており、紙面のやりとりも多々発生していました。

そこで、まずは制度をポジティブに捉えられるよう、業務フローを見直しました。

川村 「『使いたい人が、使いたいときに使える制度』を合言葉に、導入を進めましたね。
稟議や承認、経費精算などの社内申請はパソコンから実施できるように。勤怠申請もパソコンの Webブラウザから実施できるようにし、オフィス勤務でも『どこでもワーキング』の場合でも、同様のフローで対応可能です」

また、社内システムについても見直していきました。

川村 「『 Slack』を全社に導入し、業務連絡や雑談、他部門への問い合わせもチャットツール上で完結できるようにしました。全社員にテレビ会議のアカウントを発行し、自宅のノートパソコンやスマートフォンからのテレビ会議への参加のほか、会社貸与のノートパソコンにもセキュリティ対策を実施し、必要なときは自宅に持ち帰って仕事ができるようになりました」

「どこでもワーキング」導入による成果と変化

▲時には車の中でも

それでも一気に風向きが変わることはありません。

川村をはじめ「どこでもワーキング」の導入を進める人事部は、根気良く、管理職や社員に「どこでもワーキング」の使い方や価値を伝えていきました。

川村 「決め手となったのは、社員が『働きがい』が低いと感じているという現実でした。私たちは、会社が『働きやすい』環境を用意し、社員が『働きがい』を追求できる会社であることを目指し、『さぶりこ』として制度を整えています。でも、当時は形式的な決まりが多く、本当にやりたいことや、やるべきことに注力できる環境を提供できていなくて」

管理職、社員それぞれに納得してもらえるよう、人事部は不安なことやわからないことをひとつずつ吸い上げ、答えていきました。そして2017年、「どこでもワーキング」の導入が始まります。

導入前は「どこでもワーキング」を不安視していた管理職。しかし、今では管理職も含め多くの社員が利用しています。

川村 「 2019年 8月には 237名の利用がありました。これは全社員の 47.9%にあたります」

また、離職率の低下、社内アンケート結果も好評であることなど、導入の成果を実感しています。

川村 「 2015年度 6.76%だった離職率は、 2018年度には 3.76%まで低下しました。これは『どこでもワーキング』をはじめとする『さぶりこ』の導入によって、出産・育児・介護などで退職せざるを得ない人が減ったこと、社員の『働きがい』が向上したからだと考えます。社内アンケートでも、弊社ならではの福利厚生にメリットを感じている社員が多くいることがわかりました」

働き方を選べることがクリエイティビティ発揮につながる

▲社内の様子

会社、自宅、カフェなどどこからでも働けるようになったことから、さくらインターネットでは多様な働き方が生まれています。

川村 「旦那さんの転勤に帯同した女性社員が、『どこでもワーキング』を利用して遠方の自宅から勤務しています。通勤時間の削減にもなることから、パラレルキャリアや社外活動に取り組む社員も増えました」

また、通常時のみならず天災発生時にも、速やかに『どこでもワーキング』に切り替えることで、社員の安全を確保できるようになったことも大きな変化です。

川村 「多様な個性を持つ社員が、自らが最もクリエイティビティを発揮できる環境で、心身ともにのびのび働けていると実感しています」

2020年に向けて、社会的にもテレワークの重要性が再評価されています。これまで、会社員にとって通勤・転勤は宿命でした。しかし現代は、パソコン一台あればどこでも同じように仕事ができる時代になりつつあるのです。

川村 「『どこでもワーキング』導入は人事部が中心になって実施しましたが、私たちだけでは決して実現しませんでした。
役員、管理職、社員などさまざまな部署と立場の人が尽力したからこそ、今に至ります。人事部以外にも、社内には新しい働き方を積極的に受け入れ、提案し、動く社員がいます。今後はよりいっそう、会社というチームが一丸となり、多様な働き方を実現するために進んでいきたいです」

会社が“働きやすい”環境を提供し、社員が“働きがい”を追求できる会社を目指す。

その想いに真っすぐに、さくらインターネットはこれからも時代に合う働き方を模索し、社員一人ひとりがクリエイティビティを発揮できる環境を整えていきます。