最高のパフォーマンスを発揮できる環境を――「働きやすさ」を追求する人事部の奮闘

さくらインターネット株式会社では、「働き方改革」として、社員にとって働きやすい環境づくりを進めてきました。その背景にあったのは、代表である田中邦裕が将来に向けて描いたビジョン。そしてその想いを受け取った人事部メンバーの奮闘によって、さまざまな改革が実現したのです。
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拡大する組織の中で必要性が高まった、社内体制の見直し

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オフィスでの仕事風景
「どうすればエンジニアにとって働きやすい環境が生まれ、一人ひとりがパフォーマンスを発揮できるようになるか」――さくらインターネットでは、社内の組織体制や人事制度などを大幅に見直し、“働き方改革”に着手してきました。

5年前は200名に満たなかった社員数も、2016年の10月時点で370名を数えるまでに成長しています。その大半となる、229名がエンジニアです。当社代表の田中邦裕自身も、もともとはエンジニアの出身。田中の描く「エンジニアにとって理想的な組織のあり方」を実現すべく、人事部が中心となって、現在もさまざまな社内改革を進めています。

その人事部のマネージャーを務めるのが清水能子。彼女はこの3年間、数々のプロジェクトに携わってきました。清水がさくらインターネットに入社したのは、2005年8月のこと。最初の所属は営業部門でした。その後、総務部経営企画チームを経て、2012年から人事部に所属しています。

人事の経験は初めてでしたが、清水自身も当時から、日々拡大していく組織の中で多くの課題を感じていました。

当時のさくらインターネットは、極めてオーソドックスな組織の形態をとっていました。社長がいて、本部長がいて、その下に部長、課長……と続く。人事評価も、半年ごとにたてた目標への到達度によって決められていたのです。

「しかし、組織が急成長するにつれ、マネジメントの方法や人事評価制度などがうまく機能していないのではないか、という話が出るようになりました。たとえば等級の幅が広すぎてなかなか昇進ができなかったり、目標の数字だけに縛られて、本質的ではない仕事をみんながやりはじめてしまったり……。本来やるべき仕事をコツコツと行っている人が、評価されにくいという課題があったんです」(清水)
エンジニアの採用をより積極的に行い、さらに会社を成長させていくためには、このような仕事のし方では限界がある。そう感じていた清水をはじめ、人事部が中心となって、社内制度の見直しがはじまりました。

働きやすさ実現のため、考え抜いた人事ポリシーの軸は「社員を信じること」

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人事部マネージャー・清水能子(左)
当社は2014年頃から、数十名規模でエンジニアを増やす採用方針を打ち出します。それを実現するためには、急ピッチで組織や制度を整えていかなければなりません。人事部のメンバーは、どうすれば今ある課題を解決できるだろうかと考え続けていました。しかし、改革はそう簡単に進まなかったのです。

「その頃の私たちは、現状の問題点を挙げたうえで、それを解決するための方法を検討していたんです。でも結果的に、それがなかなか進まなくて……。たとえば副業やリモートワークを解禁するならどういう条件にするかなど、今思えばルールで制限する方向にシフトしてしまっていたと思います」(清水)
そうした社内の状態を一変させたのは、代表の田中が発したあるメッセージでした。

「社員にとって大切なのは、働きやすさと働きがい。働きがいは自分で見いだすものだが、働きやすさは会社が整えるもの」――外部団体が主催したとあるイベントで、田中自身が語った言葉です。清水はそのイベントのレポートを読み、「これは自分たちに対するメッセージだ」と感じたのです。

「それならば、人事部として私たちがやるべきことはハッキリしていると思いました。社員をルールで縛るのではなく、“働きやすさ”をいかに整えていくか。そこにつきるのではないか、と」(清水)
そのために、清水にはどうしても作りたいものがありました。それは会社としての「人事ポリシー」。外部環境や事業内容がどう変化しようと、常にブレることのない柱が必要だと考えたのです。

さくらインターネットの人事ポリシーを策定するため、清水は2016年1月に、経営陣を巻き込んだワークショップを開催。グループでさまざまなテーマについて討論を行うなかで、大きなひとつの方針が見えてきます。それはひとえに「社員を信じる」という考え方でした。

そのもとになったのは、アメリカの心理・経営学者であるダグラス・マグレガーが提唱した「XY理論」。X理論とは「本来人間は怠け者なので、働かせるためには権限講師による命令統制が必要である」というものであり、Y理論は「人間は本来働くことに喜びを感じ、自己実現のために進んで物事を行う。そのために必要なのは統合と自己統制である」というものです。

この「Y理論」が、当社の人事ポリシーの軸となりました。

「問題があれば穴を埋める、守れない人がいることを前提に規則を作る――そうした今までの考え方から、大きく舵をきることができたんです。『Y理論』をもとにしたことによって私たちにできることの幅が広がり、結果的に社内にも自由な雰囲気をもたらすことにつながったと思います」(清水)

エンジニアの意見を取り入れながら、ポジティブアプローチで改革を

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さらに2016年3月に行われた全社会議で、代表の田中は社員にメッセージを伝えます。「もっとみなさんがやりたいことをできる環境にしていきましょう」――できない理由を探すのではなく、“どうしたらできるか”を見つけていく。そうしたポジティブアプローチへの転換が起爆剤となり、当社の組織・人事改革も加速していくことになりました。

同年7月、経営陣の想いから、エンジニアの組織が大きく変わることとなります。それまでサービスごとに分かれていた事業部が、「技術本部」というフラットな組織に統一され、意思決定のスピードアップと、エンジニアの仕事の幅の拡大が実現しました。

一方で「役職」という概念がなくなり、「管理監督者」が激減。これまでの給与制度では、役職と給与が連動していたため、制度の見直しが必要となりました。そこで、プレイヤーとして高い報酬を目指せる、新しい年俸制度を導入。期待値や成果に対し、柔軟に年俸を決めることができるようになりました。

「改革を行うにあたり、これは自分たちの自己満足ではないか、人事の想いだけでやっていいのか、という不安を感じることもあるんです。だからこそ一方的に改革を推し進めるのではなく、社員の意見も大切にしています。多くの社員が制度を利用してくれるのを見てはじめて、やってよかったと思えるんですよね」(清水)
このようにさくらインターネットでは、組織体制の変更や社内コミュニケーションの活性化、給与制度の変更など多方面から「働きやすさ」を追求していきました。経営陣の強い想いや清水ら人事部メンバーの奮闘によって、少しずつ、社員が「働きがい」を感じられる環境が整っていったのです。

「実現できない理由はない」 描く理想を、可能性で終わらせないために

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改装したオフィス
「社員を信じて、一人ひとりがやりたいことを実現できる環境を」――2016年のはじめから清水らが取り組んできた、さくらインターネットの「働き方改革」。実際に組織体制が変わってからまだ間もないですが、社内の雰囲気は着実に変化しはじめています。

清水はさまざまなプロジェクトに携わるなかで、代表 田中自身の考え方そのものが変化していくのを感じていました。

「ポジティブアプローチの考え方が浸透していく中で、田中自身がこれまで以上に私たちを信頼し、私たちも一層やりたいことが実現できる環境になりました。トップが組織のあり方や変革に本気になったとき、はじめてそれが実現すると感じています」(清水)
当社の「働き方改革」は、まだまだ現在進行形のプロジェクトです。田中をはじめとする経営陣、人事部のメンバーも、これから取り組みたいこと、新たに考えならなければならない課題を山ほど抱えています。

「次に実現したいのは、 社員が好きな場所を選んで働けるようにすること。そのために、田中ともディスカッションを重ねている最中です。組織体制についても、いずれは管理者ゼロで、すべての社員が自立して動けるような形を目指したいという気持ちがあるんです。まずはそうした制度を実現できる、社内の文化を作っていきたいです」(清水)
たんなる可能性のままで終わらせない。さくらインターネットなら、それを実現していくことができる――清水はそう信じて、今も社内環境の整備に尽力しています。

「私たちは会社として、社員がパフォーマンスを最大限に発揮できるような劇場を用意しているイメージなんです。ステージや音響、照明を整えるのは私たちの役目。そこで何をやるのか、どんな演目を上演するのかは一人ひとりの社員次第です」(清水)
さくらインターネットという舞台のうえで、社員が自由にどんなパフォーマンスを繰り広げてくれるのか――それこそが、当社を成長させてくれる基盤になるはずです。

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