働き方の新標準を目指して――より自由な社内制度、「さぶりこ」パッケージとは?

さくらインターネット株式会社では、2016年10月から新たな社内制度を導入しました。その総称は「さぶりこ」パッケージ。社員たちが働きやすい環境を整え、業務に集中できることを目指した制度です。この「さぶりこ」という言葉には、一体どんな意味が込められているのか――制度の内容と、その背景をお伝えします。
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「より働きやすい会社へ」――「さぶりこ」パッケージが目指すもの

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改装して新しくなったオフィス
さくらインターネットの社内制度である「さぶりこ」パッケージ。この耳慣れない名称は社員からの公募で決まったもので、“Sakura Business and Life Co-Creation”の略称です。「仕事だけでなく社員自身の生活も共に創り上げていきたい」という、会社としての願いが込められています。

2016年10月から導入されたこのパッケージに含まれるのは、次のような制度です。

・仕事が早く終われば定時の30分前に退社できる「さぶりこ ショート30」
・勤務時間を10分単位でスライドできる「さぶりこフレックス」
・20時間分の残業手当をあらかじめ支給する「さぶりこ タイムマネジメント」
・心身のリフレッシュを目的とした「さぶりこ リフレッシュ(各種休暇)」

なぜ今、当社の中でこうした制度が作られたのか。その背景には、大掛かりな「働き方改革」の動きがありました。「もっと働きやすい会社にしていきたい」――そうした新しい働き方を実現するため、その解のひとつとしてたどり着いたのが「さぶりこ」だったのです。

人事部に所属する川村貴宏も、以前から社内の制度に課題を感じており、各制度について改善方法を模索していました。

たとえば、どうしても残業しなければならない場合。かつてのさくらインターネットでは、残業する社員自身がシステムを立ち上げて残業予定を入力し、上長の承認を得なければなりませんでした。さらに、残業が終わった後にも実績の入力、承認が必要だったのです。

「残業時間の申請ひとつ取ってみても、非常に煩雑なルールのもとで制度が運用されていました。そうした部分を改善し、社員が余計なことを考えず、業務に集中できるようにしたいと考えていたんです」(川村)
そして2016年のはじめ、当社の人事ポリシーが明確化されたのを機に、各制度の見直しが一気に進みはじめます。「会社の成長のためには、社員の成長が不可欠。だからこそ、社員を信じてもっと裁量を付加していくことが必要」というスタンスがはっきりと打ち出されたことにより、人事部が目指すべき方向もしっかり定まったのです。

「仕事が早く終われば早く帰れる」 シンプルな考え方から生まれた制度

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打ち合わせの様子
「さぶりこ」パッケージの中には、さまざまな制度が含まれています。そのうち就業時間の課題を解決するために作られたのが、「さぶりこ ショート30」と「さぶりこ フレックス」です。

もともと、当社で定められていた就業時刻は9:30〜18:30。比較的遅めの時間帯であるため、「退社後に出来ることが限られる」という声も上がっていました。

しかし一方で、「朝は遅めの方がいい」というエンジニアも一定数いることがわかったのです。一応フレックス制度もあるにはあったものの、これまでの制度は就業時刻を前後1時間ずらせるだけでした。

就業時間そのものを見直すには、ハードルがありすぎる――。人事部のメンバーが頭を抱える中、ふと挙がったのが「就業時間はそのままで、仕事が終わったら早く帰れることにすればいいのでは?」という提案でした。

同時にフレックス制度の自由度も大きく向上させました。当日の9:30までに申請すれば、出勤時刻は7:00〜12:00、退勤時刻は16:00〜21:00の間で10分単位でスライドができることになりました。

さらに「ショート30」と「フレックス」は併用可能。最も早い人はフルタイムで働いても15:30に退社できるようになったのです。

「これまで、私用でフレックス制度を使う場合は1週間前までに申請が必要だったので、急な用事などに対応できず、社員の多くがやむなく有給休暇を使っていました。ショート30を導入してフレックスを見直してからは、生活のスタイルや事情に合わせて、柔軟な働き方ができるようになったと思います」(川村)
ただひとつ、川村には気がかりがありました。それは、データセンターでシフト勤務をしているエンジニアたちのことでした。

「3交代制のシフトで働くエンジニアたちは、シフトに縛られ、ショート30の恩恵を受けられないのではないかという懸念がありました」(川村)
しかし、そんな川村の考えは杞憂に終わりました。データセンターで働く社員たちからも「やってみたらいいのでは?」という前向きな声が出たからです。

結果的にシフト勤務の社員たちも、シフトの引き継ぎを効率化するなど工夫して、「さぶりこ ショート30」を大いに活用しています。

給与アップと休暇制度の充実で、仕事と生活のムリない両立を可能に

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また「より効率よく働いてほしい」という人事部と、「残業の有無によって給与が大きく変化することを何とかしたい」という経営陣の希望から生まれたのが「さぶりこ タイムマネジメント」です。もともと当社の平均残業時間は1ヶ月8時間半程度。しかも残業代を1分単位で計算していたため、かなり煩雑な申請手続きが必要でした。

「それならば、最初から20時間分くらいの残業手当を先払いしてしまえばいいのではないか、と。そうすればいちいち残業の申請をしなくてすみますし、給料アップにもつながります」(川村)
さくらの平均残業時間は8時間半と、20時間よりもかなり短い時間であり、20時間を超えた分は従来どおり支給されるため、実質的に給与面の改善もされるという結果につながっています。

さらに、もともと充実していた各種休暇制度も「さぶりこ リフレッシュ」として内容を見直しました。当社では社員全員に、入社時から一律20日の有給休暇を付与しており、社員はそれを1時間単位で取得することが可能です。

それ以外にも任意の時期に年間で3日間休める「バカンス休暇」、家族の誕生日など記念日に取得できる「記念日休暇」、結婚・出産などのための「特別有給休暇」、年間で最大5日間、トータルして40日間まで有給休暇日数を繰り越せる「傷病介護積立有給休暇」制度などを設けています。さらに2日以上連続で有給休暇を取得すると、1日あたり5000円の手当が支給される「連続有給休暇」制度などユニークな取組をしています。

ただし、どれだけ制度が整っていても「休みが取りにくい」空気があっては意味がありません。その点、当社には以前から「休むときは休む」という共通認識ができていました。

たとえば育児休暇では、当社の男性社員の育児休暇取得率は3割以上と高い水準を保っています。また、女性社員の出産後の復職率も100%です。

「女性社員に加え、部門や役職を問わず、述べ十数人の男性社員が育児休暇を取得。男女問わず育休の取得が当たり前といった風土ができています。代表の田中邦裕を筆頭に、役員や上長も男性社員の育児休暇を推奨しています」(川村)
これから先、子育てはもちろんのこと、介護と仕事の両立を余儀なく社員も多くでてくるはず。そうしたメンバーがムリなく働ける環境が、人事部を中心としてきちんと整えられつつあります。

人としての“幅”を広げるために、自由になった時間を有効活用してほしい

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人事部・川村貴宏
「さぶりこ」パッケージに含まれる就業時間の柔軟性も、給与の改善も、休暇取得のしやすさも、すべては「社員にとって働きやすい環境を作るため」に必要なこと。しかし単に就業時間を短縮することが、最終的な目的ではありません。

制度によって得られる時間的な自由を最大限に活用し、さらに自分自身を成長させてほしい。私たちはそうして社員が成長することが、会社の成長につながると考えています。

「たとえば業務時間を短縮したいと考えることは、今まで当たり前にやってきた仕事の内容を見直すきっかけになります。会社としては、仕事する時間が短くなったから業績が下がりました、では困ってしまいますから。こうした制度を利用することで、社員全員に生産性を高める意識を持ってもらえたらと思っています」(川村)
また柔軟に在宅ワークができる「さぶりこ アットホーム」や、「さぶりこ パラレルキャリア」など、次なる制度づくりも続々と進んでいます。

「大切なのは、自由になった時間で“何をするか”。当社だけの仕事に縛られず、正社員として働きながら起業したり、ボランティア活動に携わったり、自分のスキルをアップさせたり、趣味を本格的に行ったり……。会社としては『人としての幅を広げてほしい』と願っています」(川村)
代表の田中自身が、さまざまな経営者など外部の人たちと関わることでインプットを繰り返し、新しい発想を得る体験をしてきました。だからこそ社員にも同様の経験を経て、現場でさらなるイノベーションを起こしてほしいと考えているのです。

当社の「さぶりこ」パッケージは、まだまだはじまったばかり。“Sakura Business and Life Co-Creation”――「仕事だけでなく社員自身の生活も共に創り上げていきたい」という会社からの願いを込めて、私たちはこれからも改善を続けていきます。

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