セールスフォース・ドットコム独自のモデルから生まれた「カスタマーサクセス」

サブスクリプションモデルの普及とともに、注目を集める「カスタマーサクセス」。このモデルを2000年初頭からいち早く提唱し、日本では2004年にカスタマーサクセス部門を立ち上げ、その重要性を訴え続けてきたのがセールスフォース・ドットコムです。そこには、革新的なビジネスモデルで成功するための熱い想いがありました。

カスタマー“サポート”ではなく、“サクセス”にこだわるわけ

▲セールスフォース・ドットコム 専務執行役員 カスタマーサクセス統括本部 本部長 宮田要(写真右)とカスタマーサクセス統括本部 サクセスプログラム部長 坂内明子(写真左)

サブスクリプションモデルのクラウドサービスが増えるとともに、「カスタマーサクセス」という言葉が注目を浴びるようになりました。そして、今やさまざまな企業がカスタマーサクセス担当部門を構えるまでになりました。その反面、カスタマーサクセスという同じ言葉を使いながらも、その定義や担当部門の業務は各社で異なるようです。

セールスフォース・ドットコムは、米国で2000年代初頭からカスタマーサクセスのコンセプトを提唱し、2004年には日本でいち早くカスタマーサクセスを専門に担当する部門を立ち上げました。そして2019年現在に至るまで、コアバリューのひとつとして重視しています。

カスタマーサクセスの元祖とも言えるセールスフォース・ドットコムで、カスタマーサクセス統括本部を率いる専務執行役員の宮田要。そして、同本部サクセスプログラム部長である坂内明子が、セールスフォース・ドットコムの実践する「カスタマーサクセス」について次のように語ります。

宮田 「カスタマーサクセス統括本部が担うのはポストセールスの部分です。つまり、ご契約いただいたお客様にSalesforceを十分に活用いただき、ビジネスの成果を出していただくことが目標です」

「ビジネスの成果を出していただく」という言葉の中には、セールスフォース・ドットコムの顧客への向き合い方の哲学が隠されています。

宮田 「お客様の要望に単純に応えるだけではなく、さらにイノベーションを起こす手助けをすることが重要です。それがカスタマー “サポート ”ではなく、カスタマー “ サクセス ”を掲げるゆえんです」
坂内 「弊社にはカスタマーサクセスマネージャーという役割を担う社員がいます。Salesforceのサービスを導入いただいた後に成功事例などをご紹介しながら、より弊社の製品を活用していただけるよう、お客様に寄り添ってアドバイスを提供しています。お客様が真に達成したい目標とはなんなのかを、お客様と一緒になって考えていきます。お客様のビジネスの伴走者といったところでしょうか」

セールスフォース・ドットコムには、この「お客様の真の目標を一緒に考える」という文化が根付いています。電話やメールで、操作方法や故障などの技術的な問題に関してお答えするテクニカルサポート部門も、単に問い合わせに応えるだけではありません。問い合わせの原因を探るという意識で、能動的にカスタマーサクセスマネージャーと連携。カスタマー“サポート”ではなく、セールスフォース・ドットコムの考える真のカスタマー“サクセス”を全社一丸となって実現しています。

セールスフォース・ドットコムの革新的ビジネスモデルが生んだ「カスタマーサクセス」

▲Salesforce World Tourのパネルディスカッションに登壇する宮田

世界に先駆けてカスタマーサクセスという強固な考え方がセールスフォース・ドットコムに生まれた背景には、創業以来のビジネスモデルの在り方が深く関わっています。

宮田 「セールスフォース・ドットコムは、 1999年の創業以来、一貫してクラウドのサブスクリプション型サービスを展開しています。当時のソフトウェア業界の主流が、売り切り型のビジネスモデルだったことを考えると、これは画期的なビジネスモデルでした」

サブスクリプションモデルは、顧客のサービス導入ハードルは下がるものの、サービス提供側にとってはいつでも解約されるというリスクが付きまといます。

宮田 「お客様に向き合う姿勢を転換する必要がありました。サブスクリプションモデルは、お客様にライセンス契約を継続していただかないと成り立ちません。では、どうしたらお客様に契約を継続していただけるか。

やはり、セールスフォース・ドットコムのプロダクトを使って、お客様のビジネスが伸びたという実感が必要です。それを達成するには私たちも積極的にお客様を支援し、一緒になってビジネスの成功に取り組むべきです」


顧客が事業で成果を出すために積極的に貢献することが、サブスクリプションモデルの事業で成功する鍵になる。これをいち早く見抜いたセールスフォース・ドットコム創業者のマーク・ベニオフは、創業初期には自らカスタマーサクセスマネージャーの業務を担当していました。このようにして、企業のDNAに「カスタマーサクセス」が深く刻み込まれることになったのです。

顧客同士が成功を分かち合う、企業の枠を越えた「カスタマーサクセス」の姿

▲Salesforce World Tour keynoteのプリショーに登壇する坂内

今やカスタマーサクセスは、セールスフォース・ドットコムの代名詞とも言える理念として、社内外で定着しています。その過程には、カスタマーサクセスに寄与する手法を模索する努力の積み重ねがあります。

現在、カスタマーサクセスを実現する手段としてユーザー同士が集まる場「ユーザーコミュニティ」を立ち上げる企業が増えつつあります。セールスフォース・ドットコムはユーザーコミュニティの構築にもいち早く取り組んでいました。

カスタマーサクセスとユーザーコミュニティの関係について、コミュニティの運営を担当する坂内は以下のように話します。

坂内 「ユーザーコミュニティは、多様な規模・業種のお客様に最適なノウハウを提供するために考え出されたものです。規模や業種の異なるお客様それぞれに合わせて、当社の社員だけでノウハウをタイムリーに提供するというのは簡単ではありません。

お客様同士で成功事例を共有し、わからない機能があればお客様同士で助け合うインフラも提供することで、よりお客様の課題解決につながることもあると考えています。そのようなプラットフォームが必要だと考え、ユーザーコミュニティを立ち上げました」


5つからスタートしたコミュニティは、現在では、業種や地域別、オンライン・オフラインを合わせて40を数えるまでになりました。そのうち約半分は完全にユーザーの手により運営されています。

坂内 「他社のカスタマーサクセス担当者から『ユーザー主導のコミュニティの立ち上げや運営に苦労している』という相談を多く受けます。お客様が自ら手を挙げてコミュニティを立ち上げ、運営をしていただける状態になれたのは、ご協力くださるユーザーの皆さまのお陰です」

セールスフォース・ドットコムには“Ohana”(「オハナ」ハワイ語で家族を意味する。思いやりや協力で社内の結束を強める、セールスフォース・ドットコムの理念)文化があり、社員同士が助け合いながらカスタマーサクセスに貢献しています。しかし、坂内は顧客によるコミュニティの運営も同様の「助け合いの文化」の表れだと考えています。

坂内 「ユーザーコミュニティはお客様相互のサクセスに寄与するためのものです。セールスフォース・ドットコムの社内で “カスタマーサクセス ”について考えるときと同じような仕組みをつくればいいのだと最近気付きました。

まずは、インタラクティブに交流できる “場の雰囲気 ”をつくることです。そして、コミュニティを主導していただくユーザーとして、 “自身のメリットありき ”ではなく、顧客同士で達成するサクセスの “理念 ”に共感してくれる人を見出すこと。さらに、そのユーザーを正当に称えることも重要です。振り返れば、どれも社内ではすでに実践していたことでした」


たとえば、コミュニティを主導するリーダーの中でも、特にコミュニティに貢献していただいている人を表彰する「アワード」。対象は、セールスフォース・ドットコムの社員も顧客もコミュニティに参加する人なら誰もが含まれます。

「コミュニティへの貢献度」という同じ価値観のもとに表彰することで、コミュニケーションを促進する場の空気づくりに役立つのです。

坂内 「お客様も含めて “セールスフォース・ドットコムに関係のある人 ”みんなが、お互いの成功に貢献しています。人々が助け合うカルチャーが根付いている場で働くのは、何ものにも代えがたい経験です」

カスタマーサクセスは、いまや社員をモチベートする精神的な柱に

サブスクリプション型という先駆的なビジネスモデルに起因して生まれたセールスフォース・ドットコムの「カスタマーサクセス」の思想は、いまや社員たちをモチベートする精神的な柱としても機能しています。

「お客様の成功を一番に考えて働く」ということ自体が、セールスフォース・ドットコムの社員を魅了しているのです。

宮田 「お客様のための挑戦なら、何でも許してくれる社風なのは本当にすごいことです。セールスフォース・ドットコムはダイバーシティーを重視していますから、さまざまなバックグラウンドを持つ社員が集まっており、社内会議などでも、これまでになかったような革新的な意見も出ます。

どんなにチャレンジングなアイデアであっても、どれも根本の発想は “お客様のため ”。いろいろな背景や発想を持つ社員が多数集まっていても、全社員が同じ方向を向いていて、カスタマーサクセスという点で意見が一致しています」


そう話す宮田は、大手外資系ITベンダーでキャリアをスタートさせ、その後も大手外資系企業で経験を積んできました。経験した職種も幅広く、エンジニアから出発し、マネジメントを任されるようになってからは顧客との接点ができたことで顧客との向き合い方についてより考えるようになったと言います。さらなる顧客志向を追求したいという想いから、「カスタマーサクセス」を掲げるセールスフォース・ドットコムに入社しました。

宮田 「セールスフォース・ドットコムは CRM( Customer Relationship Management・顧客関係管理)に関するプロダクトを扱っていますが、入社時点で CRMについての知識やスキルがあることは重要ではありません。それは後から身に付けることができるからです。何よりも、 “カスタマーサクセス ”の理念に共感して、お客様のために全力で挑戦したいという意欲が大切だと思います」

坂内は海外留学でCRMについて学んでいく中でセールスフォース・ドットコムを知り、日本に帰国後、セールスフォース・ドットコムの日本初の新卒社員となりました。

坂内 「入社時点で CRMの知識は多少ありましたので、製品自体の魅力はもちろん感じていましたが、創業当時から 1-1-1モデル(製品の 1%、株式の 1%、就業時間の 1%を活用する社会貢献活動)を取り入れ、ダイバーシティが当たり前のように根付いているセールスフォース・ドットコムのカルチャーに共感したのが入社を決めた大きな理由です」

坂内はセールスフォース・ドットコムのカルチャーを体現する上で重要なのは、平等性と透明性という価値観だと考えています。

坂内 「お客様のためにイノベーティブな提案をスピード感をもってするためには、平等性や透明性をもって、自分の意見をオープンに発言できることが必要です。その価値観があるからこそセールスフォース・ドットコムには社員同士が助け合うカルチャーが根付いたのだと思います」

セールスフォース・ドットコムの仲間たちはみんな、顧客やパートナー、コミュニティとのオープンかつ透明な関係を築くことで“信頼”を得て、カスタマーサクセスの飽くなき探求を続けていきます。

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