「売る」だけが仕事の全てじゃない! アパレル企業女子が語る、本音のキャリアストーリー

アパレル大手・三陽商会。2015年に英バーバリー社とのライセンスを終了した事で巷をにぎわせましたが、もとは1943年創業という歴史の中で築いたモノ作りに定評があります。今回は人事で採用教育に携わる社歴14年(2017年時点)の山田菜月自身が、アパレルとの出会いから現在に至るストーリーをご紹介します。
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「中退の理由? 自分のやりたい事がはっきり見つかったからです」

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大阪支店受付にて 真っ白な入口です
アパレル業界に興味を持ったきっかけは、学生の時に通っていたショップの店員さん。着こなしのセンスの良さはもちろん、さりげない会話から「こういう物が欲しかった!」と思える1着を自然に提案してくれる方で、それまで全く知識のなかった私にとっては憧れの存在でした。

はじめは買い物をすることが目的でしたが、自分のセンスや話術を活かして人を笑顔にできる「販売」という仕事に魅力を感じ、「私もこういうことをやってみたい!」と強く思うように。

そうして学生アルバイトから飛び込んだアパレル業界ですが、まあ全然うまくいかない。思うように話せない、聞きだせない……人とコミュニケーションをとるのはこんなに難しいのかと毎日悩む日が続きました。

そんな中でも、少しずつ私のことを覚えて足を運んでくださるお客様ができたり、ショップで目標を達成することができたりとやりがいが見えてきた頃、私の頭の中は「この仕事で生きていきたい」という思いに変わっていきました。

もともと大学は「4年間で自分のやりたいことを明確にする場所」だと考えていたので、辞めることに躊躇はなかったですね。今振り返ると「そんな決断よくできたな……」と思いますが(笑)、当時は必死でした。

その後、アルバイトをしていたショップで社員に。販売の仕事をはじめて3年ほど経った頃、「もっと販売を極めたい」と思うようになりました。販売スキルはもちろん知識やマナー、自分の年齢と共にキャリアを高められるような、販売を職業として長く続けられる環境で働きたいーー。

そんなときに出会ったのが、三陽商会の求人でした。

扱うブランドの年齢層や数が幅広いこと、商品のクオリティの高さはもともと知っていたので、見つけたとき「ここだ!」と決めて、すぐに応募したんです。

「あなたと話しても分かってもらえないから、他の人に代わって!」

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ロールプレイングコンテスト 本選の様子
店頭での販売に携わったのは2003年から約8年、経験のないメンズブランドへの配属でした。新人からのスタートで、毎日勉強、勉強……接客経験はあるものの、改めて自分が見ていた世界がいかに狭かったかを痛感する日々でした。

その中で学んだのは「自分で知識を学びにいく姿勢」と「自分で仕事を取りに行く姿勢」。

忙しいショップだったので、何も考えずに1日を過ごしていたらあっという間に時間が経ってしまいます。結果を出すには今自分は何をすべきか? 計画性を持って働くことの大切さを知りました。

同じブランドに長く携わるとサイクルがわかってくるので、流れで過ごすことももちろんできます。でも、それでは面白くない。去年の自分と違う何かがしたい、去年の自分と違う結果を残したいという考えは常に持って動いていましたね。

新しい仕事に慣れてきた入社2年目から、配属店舗は毎月実績2ケタ増。ブランド内のコンクールでも個人実績で表彰をうけ副店長に昇格ーーと、「自分という存在を結果でどう認めてもらうか」に価値を感じ、実績を残すことが楽しくて仕方ない時期でした。

そんなスタンスなので、当然ミスやトラブルもたくさん経験しましたし、それが一番しんどい時期でしたね。一瞬の売上や結果にとらわれて、一人ひとりのお客様とのお約束を疎かにしてしまったり、後輩として入ってきた新人スタッフの小さな失敗を責めてしまったり……。

店頭でお客様に「あなたと話してもわかってもらえないから他の人に代わって!」と怒鳴られたこともありました。今思えば、すべて私の考え方や人とのコミュニケーションが相手のことを考えているようで、実は自分本位になっていたからだったのですが、その当時は気づけなかったんです。

どうしてこんなにがんばっているのにわかってくれないのーー? はじめて、「辞めたい、きっと向いていないんだ」と挫折した瞬間でした。

そんなとき、私を助けてくれたのは当時の店長と一緒に働いていたスタッフたちです。私のために厳しいことでもたくさん言ってくれたり、声をかけてくれたり……。その心遣いが本当にうれしくて。仕事に対する考え方が大きく変わってきたのは、その経験を乗り越えた3年目でした。

「ひとりで出す結果には限りがある。チームならもっとたくさんのモノを生み出せる」

たくさんの失敗を経てやっとそう考えられるようになりました。そこからは誰かのために自分の持っているスキルを活かして何ができるかを考えるのが楽しくなりました。

入社4年目に、関西で一番大きい店舗へ副店長として異動。自身の接客力を試したいという思いでロールプレイングのコンテストにもチャレンジし、表彰も二度経験しました。

やっと接客の本当の楽しさが分かり、「お客様のために自分はどこまでできるか?」を常に考えて仕事をしてきた中での表彰は自信にもつながりましたし、何より諦めずに続けてきて良かったと思えた瞬間でした。

一方で、アパレル業界に憧れて入社しても、接客の楽しさ・やりがいを見いだすまでの短い期間のうちに辞めてしまうスタッフを数多く目の当たりにしてきました。

そのような中で考えはじめたのが、「どうしたら、仕事のやりがいや接客の魅力を感じてもらえる、次の世代を育てられるか?」ということ。

当時30歳、キャリア7年目を迎え、先輩より後輩が多くなった私に新たな課題が見えてきました。

スタッフ指導に携わるために “社内に入る” という選択肢

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社内でのブランド研修 座学から接客演習まで色々なジャンルを扱います
その頃の私は、大阪市内でも小型店の店長。今後のキャリアを考えたとき、ふたつの選択肢がありました。

さらに自身の販売スキルを追求できる大型店での店長と、社内に入ってスタッフ指導に携わるトレーナー。2011年春、私が選んだのはエリア全体のスタッフに関わることのできるトレーナーの道でした。

店頭という現場での社会人経験はそれなりにあったものの、社内に入るとそこは別世界。基本的なビジネスマナーをイチから覚えながら、「新たに学べる事がたくさんある!」と毎日新鮮な気持ちでした。

その一方で「販売のキャリアはあっても社会人としては、全くの素人だ」と気づかされ、転職当初のようなカルチャーショックを再び受けました。

京阪神の全店舗へ目的を決めて指導に行ったり、社内で研修を開いたり……と、今までと働き方が大きく変わった中、うまく自己管理ができず大切な会議中に正面を向いたまま寝てしまったこともあります(笑)。

トレーナーと言っても仕事は本当に幅広く、店頭への販売応援や社内で行う研修のほか、取引先との商談や人事交渉など営業職のような仕事までこなすので、本当に鍛えられましたね。

それでも気持ちが途切れなかったのは、日々スタッフの成長を感じられる小さなできごとの積み重ねでした。全く売れなかったスタッフがある日を境にぐっと成長したり、お客様から感謝のお手紙をいただいたり……。

さらに、自分が採用して育てたスタッフが店長や副店長になったりするたび、「ああ、やってきて良かったなあ」と。気づけば、仕事のやりがいや喜びを感じる瞬間が「自分の結果」ではなく「人の結果」に変わっていました。

「人と人とのつながりの大切さ」

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全国優秀店舗表彰式にて
前任のブランドで担当してきたトレーナーとしての経験がきっかけで、2015年7月に人事へ異動して約1年半(2017年時点)。まだまだ覚える仕事もたくさんあり一人前とはとても言えないですが、大勢の人に助けられながら毎日がとても充実しています。

この会社に入って学んだのは「人と人とのつながりの大切さ」。まさか入社時に自分が人事の仕事に携わるなんて思ってもみませんでしたから。

それもすべて、周りの方々の理解や応援があればこそ。そのとき、その瞬間の目の前の仕事に一生懸命取り組んだからこそ。そんながんばりにしっかり応えてくれるこの会社に入って本当によかったと感じています。

将来の目標は、「店頭から社内に上がってくる女子をもっと増やすこと!」。

特にアパレルは女性が活躍できる業界ですが、まだまだ「社内」という枠の中ではどのメーカーも女性が少ないのが現状です。女性が働きやすい職場を作るためにも、これからもっと力を持った女子に進出してきてほしいですね。

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