日本でまだ誰も取り組んでいない仕事をしたいーー公認会計士&弁理士・瀧田証の模索

2016年に正林国際特許商標事務所のメンバーとなった弁理士・瀧田証は、なんと公認会計士として十数年のキャリアを積んできた人物です。そんな彼がなぜ弁理士の資格を取り、正林事務所に入ることを選んだのか、そしてふたつの専門資格をどのように活かしていきたいと考えているのか……その背景にある想いをお伝えします
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取得者はまだ日本で数名……独立開業系の難関資格を、ふたつ取得した理由

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弁理士が知的財産の専門家なら、公認会計士は会計・財務のプロフェッショナルです。一見、接点がないように思えるこのふたつの資格。その双方を取得したうえで、正林国際特許商標事務所(以下、正林事務所)に入所したのが、所員のひとりである瀧田証です。

彼が最初に取得したのは、公認会計士の資格でした。

「会計士を目指していた友人からいろいろ話を聞いて、単純におもしろそうだと感じたんです。正直なところ、何か資格が取れればいいかなという程度で、当時はまだ、将来のビジョンまで細かくは考えていなかったんですけどね」(瀧田)
やがて大学の経済学部に入った瀧田は、本格的に公認会計士を目指して勉強をはじめます。無事に資格が取れたのは大学卒業の1年後。その後、監査法人に入って公認会計士としての実務に携わるようになりました。

しかし瀧田の興味は、そこからさらに広がっていくことになります。次に彼が目を留めたのが、ほかでもない弁理士の資格でした。

「当時住んでいたマンションの同じフロアに、高校の同級生が住んでいたんです。その友人が、たまたま弁理士を目指していて。彼からいろいろと話を聞いているうちに、知的財産の世界にも興味がわいてきました。会計士の業務で知的財産に触れる機会もあったので、弁理士の専門性と融合できるんじゃないかと思ったんです」(瀧田)
とはいえ公認会計士も弁理士も、ともに合格するのが難しいハイレベルな資格です。ようやく公認会計士として働き出した時期に、なぜ弁理士の資格にもチャレンジしようと考えたのか……? 

「とにかく、人と違うことがしたかったんですよね。今もそうですが、弁理士と公認会計士、両方の資格を持っている人はほとんどいません。他の人が挑戦していないことを、あえてやってみたいという気持ちがありました」(瀧田)
瀧田は監査法人で忙しく働きながら、2014年に弁理士の資格を取得。公認会計士かつ弁理士でもあるという希有な人材として活躍しはじめました。

日本ではまだ確立されていない「無形資産」の価値評価を深めていくために

瀧田がふたつの資格を取得し、その両方の専門性を活かして取り組んでみたいと考えていた理由のひとつに、公認会計士の業務として行なうことがあった「無形資産」への評価がありました。

「無形資産」とはその呼称の通り、実体のない資産のこと。たとえば土地や建物などは「有形」で、その資産価値も評価しやすいものです。しかし特許権や商標権などのように、目に見えないものを評価するのは大変難しいのです。

無形資産に関する評価方法や基準は、欧米ではそれなりに浸透しています。しかし、日本ではまだまだ立ち後れているのが現状です。そしてこれまで、その課題が本格的に追求されることもありませんでした。

「無形資産の評価について、その必要性が高まっているのは、企業のM&A(合併・買収)や相続、贈与を行なう場面などです。これまではあまりクローズアップされることもありませんでしたが、将来的に重要視される分野として、個人的にも大変注目していたんです」(瀧田)
まだ誰も足を踏み入れていない領域に挑戦していく気概を持ち、弁理士資格の取得というふたつ目の難関を突破した瀧田。しかしその後すぐに、その想いを叶えられたわけではありませんでした。弁理士としてはまったく実務経験がなかったため、なかなか弁理士事務所に入所することができなかったのです。また一方で、彼がチャレンジしようとしている分野をカバーしている事務所も決して多くはありませんでした。

そんななか、瀧田がようやく出会ったのが正林事務所でした。

当事務所は、新規事業として知的財産の価値評価や調査・分析などにも取り組んでいました。それを知った彼は、「ここなら自分ができることを活かせる」と感じ、10年以上勤めた監査法人を辞して弁理士の世界に飛び込むことにしたのです。

知的財産と会計・財務分野、ふたつの専門性を活かして横断的な仕事を叶える

2016年の春、瀧田は正林事務所の一員になりました。現在、彼は自身が希望していた無形資産(知的財産)の価値評価をはじめ、その知見をもとにしたベンチャー企業に対するコンサルティングの分野などで力を発揮しています。

「特許や商標などは本来“取れたら終わり”ではなく、そこから会社の大事な資産として活用していくものなんです。そういったコンサルティングの分野まで踏み込んで、業務を行なっていますね。私たちにとっての最終的なゴールは、クライアントのビジネスを成功に導くことですから」(瀧田)
さらに瀧田が今、サポートしているのは、企業だけにとどまりません。特定の業界全体を活性化させていくための施策や、地域団体商標を活用した地域ブランドの確立など、幅広い業務に携わっています。

正林事務所の弁理士として、さまざまなクライアントと接していくなか、彼は「特許や商標をはじめとする知的財産は、あくまでも弁理士の仕事の“きっかけ”にすぎない」と感じているのです。

「ひとつの知的財産を中心として、その周辺には弁理士が関わることのできるあらゆる可能性が大きく広がっています。それなのにこれまでは弁理士自身が、その中心に近い業務にばかり目を向けていたのではないでしょうか。でもこの事務所には、そうした従来の枠を超えていこうとする姿勢があると思います」(瀧田)
事務所として掲げている「クライアントの事業を成功させる」というミッションが明確であるからこそ、公認会計士としての実績をもつ瀧田の視点も生きてきます。知的財産分野の価値評価やコンサルティングでも、企業そのものの経営を意識すれば、自ずと密接に関わる会計や税務の知識が必要とされるシーンが必ず出てくるためです。

「知的財産と会計、そして税務。すべてのフィールドをフォローできるのが、自分にとって最大の強みだと思っています。弁理士としての実績を積むのはまだまだこれからですが、公認会計士の専門性と合わせ、より総合的なサポートができるようになりたいですね」(瀧田)

「弁理士」「公認会計士」それぞれの枠組みを超えた、新たなビジネスを

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当然のことですが、企業経営のコンサルティングをするには広範な分野の知識が必要とされます。瀧田はそこからさらに、会計・財務と知的財産、ふたつの専門領域についての知見を現在進行形で積み重ねています。彼はその能力を存分に発揮する舞台として正林事務所を選び、日々試行錯誤を重ねながら新たな仕事に取り組んでいます。

「コンサルティングの仕事をするうえで、公認会計士と弁理士、双方の知識が活かせていると思います。このふたつの資格を取得しているのは珍しいので、クライアントに対する差別化や、信頼の獲得にもつながっていますね」(瀧田)
彼が正林事務所に入所して半年。本格的に活躍してくれるのはまだまだこれからになるでしょう。その先には、「弁理士の仕事」という枠組みを大きく超えた可能性が広がっています。

「所長からはよく、『リスクは避けるのではなくて、どういうふうに回避していくかを考えるものだ』といわれています。私自身がもつ専門知識をさまざまな企業様に役立ててもらうために、そうした視点に立つことが大切だ、と」(瀧田)
企業がリスクを完全に回避しようとすると、結局「やらない」という結論になり、新たなチャレンジは生まれず、イノベーションを起こすこともできません。だからといって、大きなリスクを残したまま一歩を踏み出すことも難しいものです。

しかし瀧田のようなコンサルタントの知見によって、そのリスクを最小限にする方法を提示することは十分可能なのです。

「ただし、今でも変わらず“弁理士の仕事はここからここまで”という従来のイメージが根強く残っていることもあります。それは業界の中でもそうですし、クライアント側からみても同じ。だからその壁を取り払っていきたいですね」(瀧田)
「誰も挑戦したことのないことに取り組みたい」――正林事務所での瀧田のチャレンジは、まだはじまったばかり。この先も高いハードルがいくつも待ち受けているかもしれません。しかし彼ならそれらを乗り越え、新たな道を切り拓いてくれると期待しています。

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