子どもたちの“生きる力”を育むShoProの保育事業の矜持

小学館集英社プロダクション(以下、ShoPro)では、「小学館アカデミー保育園」の運営をはじめとする保育事業を行っています。そのトップに立つのが小林英好。現場で活躍する先生方と子どもたちを見つめるまなざしの奥には、彼の幼少期の原体験からShoProでの経験を通して培った保育事業への情熱がありました。

年下の子たちに囲まれて育ち、 “子ども好き”が高じて選んだ道

▲幼少期の小林(左)

総合保育事業部の責任者を務める小林は、幼少期を東京都港区で、小学校3年生からは千葉県柏市のニュータウンで過ごしました。

小林 「引っ越してきたのは、1981年の春のことです。新たに開発されたいわゆるニュータウンで、住宅地が開かれるとともに小学校ができ、居住者が増え……といった環境でした。ご近所さんがどんどん増えていくなかで、周りには自分より幼い子たちが多くなっていきました」

当時はまだ近所の子どもたちの面倒を見る風景が当たり前だった時代。年長の子どもが幼い子の世話をしたり遊び相手になったりする光景が、あちこちで見られました。

小林 「周りが小さい子たちばかりだったので、なんの違和感もなくいつも面倒を見ていました。早い段階から子どもが好きだと自覚していたので、大学時代は学習塾で 4年間アルバイトしていました。子どもたちとかかわる(好きな)ことでお金を稼げるなんてラッキー!と感じていました」

アルバイトながらも真剣に、真摯に子どもたちと向き合っていた小林。担任として子どもや保護者の進路相談を受けたり、志望校選びのサポートや受験指導をしたり、講師仲間と太宰府にお守りを買いに行ったり、受験当日に付き添ったり、合格発表を見に行ったり、かなり深い領域まで踏み込んで教育に携わっていました。

やがて、小林自身の進路を選ぶ時期が訪れます。アルバイト先からは社員登用を勧められたものの、小林は自力での就職活動を決意。アルバイト優先の日々のなかで、「自分の好きなもの4つだけ受けてみよう」と指針を設定します。

小林 「旅行が好きだから旅行会社、から揚げが好きだから揚げ粉の(製粉)会社、アイスが好きだからアイスクリームの会社(笑)。そして、子どもが好きだから ShoProを受けました。
就職氷河期でしたので、全部ダメならバイト先にそのまま入ろうと思っていました。幸いにも、最初に内定が出た ShoProに入社して現在に至ります」

これまで小林が歩んできた道を照らしていたのは、「子どもとかかわることが好き」という純粋な想いでした。同時に、さまざまな経験を積むなかで、小林はShoProでの仕事にそれ以上の価値と誇りがあると確信するようになったのです。

大人の投げかけによってこそ 子どもの未来や可能性のドアは開かれる

▲左:父と息子(小林本人)と電車‐思い出の写真 右:塾講師時代

実は、幼いころの小林は落ち着きがなく、集団行動が苦手な子どもでした。

小林 「両親はずいぶん子育てに苦労して悩んでいたそうです。友だちの家に頭を下げに行ったことや、母親が泣きながら叱ってくれたこともかすかに覚えています。でもあるとき、父親が電車の時刻表を買ってきてくれて。それを読んでいる時だけは、集中して落ち着いていられました。
時刻表を読みながら、行き先を決め、電車の接続を考えて、ひとりで想像の旅行を楽しんでいたんです。言葉や数字を覚えたのも、地理や旅行好きもこの時刻表がきっかけですね」

父にすれば、電車好きな息子に何気なく買っただけだったのかもしれません。でも、これこそが、小林がShoProで働くうえで最も大切にしている発想の原体験。

小林 「つまり、子どもが自分から興味を広げるきっかけを与えるのは、その周りの環境、大人だということです。それによって子どもの人生の可能性や生きる力は、大きく変わっていくと思うんです」

子どもは、興味のあることを楽しみながらたくさんの喜びや学びを自ら育んでいきます。しかし、幼さゆえにそのきっかけを自力で見つけ出すのは容易ではありません。だからこそ、親をはじめ周囲の大人が最初の投げかけを与える必要があるのだと、小林は考えています。そして、小林には父親とは別にもうひとり、楽しさの扉を開いてくれた大人がいました。

小林 「幼稚園の年長クラスの担任の先生が、手に負えない私に寄り添ってくれました。詳しいエピソードを覚えているわけではないんですけど、よき理解者だと子どもながらに感じていたんでしょうね、単純にその先生のことが大好きでした。
年中クラスのころは周囲の子たちや幼稚園のルールに従えず、困らせてばかりだったんですが、その先生のおかげで幼稚園の生活を楽しめるようになったんです。真っ暗な場所に光を見せてくれたような存在ですね」

保育園をはじめ、多くの子どもをお預かりする今の事業も、子どもたちの興味の扉を開くきっかけを生み出す誇り高き仕事――。小林は自らの原体験と結びつけ、そう自負しています。

小林 「子どもたちは次世代社会を担う存在です。彼らのまなびや興味を育む第一歩となり、生きる力のベースをつくる仕事だと考えれば、大きな責任があるし、その分やりがいも大きい。迷いなくすばらしい仕事だと思っています」

力強く語る小林には、子どもが好きな気持ちを胸に信じた道を突き進んできた自信が息づいています。とはいえ、小林は事業を統べる立場であり、当然ながら日々現場に立ち、子どもたちとふれあうわけではありません。

自らの、そしてShoProとしての想いを仲間一人ひとりに伝えるようにしているのです。

人と向き合う難しさに直面し 信頼関係の大切さを痛感した

ShoProに入社し、小林は多彩な経験を重ねてきました。ShoProの幼児教室事業をはじめ、大手子ども服メーカーとコラボレートした幼児教室事業、子ども向けイベントの企画運営、ポケモンの海外展開推進など多岐にわたる歩みは順風満帆のようにも見えますが、小林曰く「先生やスタッフのマネジメントはいつも失敗の連続」と振り返ります。

小林 「人を相手にする以上、そこにはお手本もマニュアルも、正解もありません。十人十色の対応が迫られるので本当に難しいです」

保育事業でいえば、私の目の前にいるのは各施設の園長や先生方です。先生方がShoProの理念のもとに気持ちよく働けなければ、結果的に子どもたちへのいい保育につながらなくなる。たとえ直接的ではないにせよ、自分の仕事は確実に子どもたちにつながっているのだと常に意識しています。

小林 「なにより大切なのは、ほどよい距離感を保ちながらも、ある程度の信頼関係を構築しておくこと。実際に施設でトラブルが発生した場合、私は中立的な立場から間を取り持ち、解決を図っていきますが、それも信頼関係があってこそ成立するものだと考えています」

とはいえ、互いの言い分を受け止めながら円満に解決するのは、容易なことではありません。奮闘もむなしく、先生やスタッフが退職してしまった苦い経験もあります。

小林 「一番の理想は、現場に立つ園長にチーム運営をすべて任せられることです。しかし、うまくいかない場合も往々にして起こりえるので、本部のスタッフには園長はじめ『現場の先生方に常に寄り添い、気にかけること』の徹底を伝えています。
それによってつくられた信頼関係のうえで、こちらの想いを伝えていくという順番が大切なんです」

気遣いは大切ですが、気を遣っているうちは真のマネジメントができる状態ではない、と小林は言います。本部の方針や施策に対し、現場の意見をとにかく聴く。本音をとことん言ってもらう。耳の痛い話も穏やかに受け止める、その積み重ねが信頼の空気感をつくるのだと小林は考えています。

子どもを大切にするのは先生。

先生を大切にするのは園長。

園長を大切にするのは会社。

どんな立場であろうとも、小林の見つめる先には必ず子どもたちの存在があるのです。

想いを束ね、巻き込みながら 「ShoPro保育事業」の未来を紡ぐ

▲小学館アカデミー保育園の子どもたちと

ビジネスとして事業を展開する以上、売上や利益を度外視することはできません。一方で、成果や結果の追求を前提とした保育が、子どもたちにとっていいこととは言い切れないのもまた事実です。

小林 「子どもたちってみんなバラバラ。保育もまた正解やマニュアルがないんです。特に最近はあらゆるシーンで多様な在り方を受け入れる重要性が高まっていますし、子どもたちも言われたことをきちんとやるだけでなく、自分で考えたり興味の幅を広げたりする力をつけていかねばならなくなってきました。時代の変化は保育のスタイルにも大きな影響を及ぼすと考えます」

だからこそ、小林は若いスタッフの意見に耳を傾けること、他事業者とのコミュニケーションなども通して視野を広げることを意識しています。

小林「地域に根差した保育力・運営力の強い組織をつくることはボトムアップで。理念や方針、リスクマネジメントなどブレてはいけないことはトップダウンで。ShoProの事業は絶対に誰かひとりの力でできるものではないので、チームワークと一体感のある組織づくりを目指しています」

こうした想いの裏側には、社会的にも叫ばれている通り、保育業界で働きつづける難しさという大きな課題がありました。

小林 「同じ会社で長く働きつづけるには、働きやすい環境と適切な待遇、そしてやりがいの 3つが必要です。それは ShoProでも言えることで、最近は “人材の多機能化 ”と銘打って、先生が活躍できるステージを拡大してきました。たとえば、社内だけではなく、地方や海外の保育事業者に向けた研修事業といった取り組みなども始めました」

仕事にやりがいを感じられれば、おのずとそれは働きつづける理由になります。ここでも小林は「先生が自分の価値を広げ、発揮できるきっかけをつくるだけ」と言い、どんな可能性を広げていくのかは本人に委ねています。

それはまさしく、子どもたちの可能性を拓くきっかけを与えるという信念の通り。この一貫した姿勢こそが小林の強さであり、一方で柔軟さの表れでもあり、保育事業を率いる立場としての基盤になっていると言えるでしょう。

目の前の先生やスタッフを、その先の子どもたちを、そして保育事業が紡いでいく未来を見据えて、小林の想いはまだまだ大きく広がっていきます。

小林 「子どもや人を大切にできる人間性と、自分の価値を広げ発揮できる専門性。このふたつを両立できる仲間を増やし、より一層の事業成長を目指していきたいです」

小林の大いなる夢はさらなる輝きを秘めて、果てることなくつづいていきます。

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