着想は実体験から——経営者と従業員を想いで繋ぐ “ホットライン”

私たち株式会社ホットエージーは、経営者と従業員を繋ぐホットラインツール「スマイルスコア」の企画開発を行っています。このサービスは、代表の樋口健介が会社員時代に感じた違和感や実体験から生まれました。今回は、私たちが「スマイルスコア」によって実現したい世界についてお伝えします。
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経営者と従業員を繋ぐホットラインツール「スマイルスコア」

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▲ホットラインツール「スマイルスコア」

私たちが開発している「スマイルスコア」は、経営者と従業員を繋ぐホットライン型のコミュニケーションツールです。2016年にテスト版をローンチして以来、利用企業様からのフィードバックをいただきながら、2017年2月に製品版を販売開始いたしました。現在(※2017年6月現在)では、東京証券取引所マザーズ市場、および福岡証券取引所Q-Board市場にて上場した株式会社ホープ様や、東京で規模を拡大中のベンチャー企業様等、20名〜200名規模の企業様に導入いただいています。

従業員の気持ちになぜ寄り添うのか--少しイメージをしてみてください。もし、あなたのそばにいる社員が人に言えない悩みを抱えていて、実は退職を考えていたとしたら?

なぜ退職を考えているのか、その原因や悩みに気づくことができれば、転職せずに済むかもしれない。しかし多くの場合、経営者は「あのとき、気づいてあげることができていれば……」と退職してしまったあとに後悔をするしかありません。

「スマイルスコア」は従業員の毎日の気持ちに寄り添うことで、従業員にとってはホットラインツールとして、経営者にとっては後悔をなくすためのツールです。

具体的な使い方は、1日1回「今日の体調や気分はどうですか?」という質問に対して、従業員に11段階のスコアで回答してもらいます。その際に気軽にコメントを加えることができるため、今悩んでいることや生じている問題をリアルタイムに経営者に伝えることができるのです。

一方、経営者はそのスコアをチェックすることで、急激な気持ちの変化や体調不良を訴える従業員を把握することが可能です。部署ごとの平均スコアや変遷も確認しながら、さまざまな視点からキャッチしきれていない悩みや目に見えていない問題に気づくことができます。

これらの機能は、すべて当社代表の樋口健介の実体験から生まれています。「自分の人生を生きてほしい」——。彼がそのように考えるに至った、ホットエージー創業前のエピソードをご覧ください。

自分は大丈夫だと思っていたのに……笑顔を失った日

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樋口 「今、入社1年目を思い返してみても毎日が本当に楽しかった。人にも環境にも恵まれていたと思います。特に嬉しかったことは、同僚と一緒に仕事の成果を出せたことで、経営者の方から気にかけていただいたことでした。話す機会も多く、10年後になりたい自分のイメージを描けていましたね」

大学卒業後、広告やマーケティングの専門出版社である株式会社宣伝会議に入社した樋口。人を動かすことができる広告に興味があった彼にとっては、期待と楽しみ、やりがいが揃った環境でした。上司や同僚と一緒に前向きに仕事に取り組んだことが業績にも繋がり、毎日ワクワクしながら会社に行っていたのを覚えています。だからこそ当時、東京本社に勤務していた樋口にとって、同じ通勤電車に乗る周囲の人々の暗い表情は、自分とは無関係な“異世界”のものでした。

樋口 「電車の中って、みんなすごくイライラしてるんですよね。ちょっとしたことで喧嘩をはじめたり、『会社に行きたくない』って暗い顔をしている人や、うなだれている人がいたり……。正直、『自分はこうはなりたくない、こんな風にはならないだろう』って思っていました」

自分は大丈夫——。しかし、異動をきっかけにした環境の変化、樋口は人間関係や仕事への悩みを抱えてしまいます。

樋口 「お客様に対しては、前向きで熱心な従来の私のままだったと思います。ただ、心の中は疲弊していました。私の至らなさですが、部内の関係が上手く行かず、お客様に提供すべき意識がそれに奪われている状態でした」

人間関係の悪化と比例するように気持ちも落ち込み、心の中で葛藤し続ける日々。ふと、電車の窓ガラスに映る自分の顔を見ると、以前電車の中で出会った人と同じ、“暗い顔”をしていました。

樋口 「まさか自分が、という気持ちでした。このままじゃダメだと思うものの、心配をかけたくなかったり、誰かを非難することになってしまう気がして、周りに相談することもできなかったんです」

そのような状況が変わるきっかけが訪れたのは、経営者に直接不安を打ち明けた翌日でした。きっと経営者が働きかけをしてくれたのでしょう。それまで悩んでいた現場の誤解や関係が改善されていきました。

樋口 「何よりも嬉しかったことは、経営者が寄り添って理解してくれたこと。そしてそれをうやむやにせず、すぐに動いていただいたこと。今でも感謝しています。部内の関係がうまくいかなかったのも、元々は一つのボタンの掛け違いから始まったのかも知れません。今考えると、もっと早く言っていれば、相談していれば...会社を辞めていなかったのかも知れません」

もっと早く伝えることができていれば——。しかし、時すでに遅し。樋口はこのとき既に退社を決めていました。

人の働き方、組織のことについて興味が出てきたのもこの頃です。 人材系ベンチャーに携わった後、人材サービス会社の毎日コミュニケーションズ(現マイナビ)に入社。また、自費でキャリアカウンセリングの勉強をし、JCDA認定CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)の資格を取得しました。

これらキャリアコンサルタントとしての活動の中でも、前職時代の体験が彼の今後を左右することになります。経営者と従業員の双方に話を聞く機会が増えると、ある“違和感”に気づいたのです。

樋口 「経営者からは『家庭の事情で辞めてしまった従業員がすごく優秀だったので同じような方を紹介してほしい』という要望を受けます。しかし実際に従業員の方に辞めた理由について話を聞くと、『現場の人間関係や上司との関係に悩んでいた』、『将来が見出せなくなった』という話がとにかく多い……。このギャップに“違和感”を抱きました」

真面目で本質的な仕事をしようとするあまり、問題をうやむやにしたり、見て見ぬふりができず、経営者との“距離”を感じたまま、ジレンマを解消できずに辞めてしまう。そういった従業員の悩みや組織の問題、取り巻く人間関係のすべてを、経営者は把握することができません。

その原因に経営者が気づくことができれば、その従業員は今もいっしょに働いていたかもしれない。さらには会社ももっと良くなっていたかもしれない。ただ当時の樋口には、そんなミスマッチを目の前にしながらも、具体的な解決策は見出すことができず……。20代の頃から思い描いていた起業の道を選択することになります。

経営者の後悔をなくす——ようやくたどり着いた、ひとつのサービス

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▲小学校跡地のインキュベーション施設にあるオフィスにて

2011年11月、樋口は出身地である福岡を拠点に株式会社ホットエージーを創業しました。しかし、自身が納得する“やりたいこと”は見つかっていませんでした。

樋口 「30歳になり、20代の頃に抱いていた起業願望を叶えるには今踏み出すしかないと思ったんです。前職の経験を活かすことも考えたのですが、ありきたりなアイデアしか思いつかなくて……。自分がやったことがないことに挑戦することにしましたが、なかなかうまくいきませんでした」

創業して数年間、通販事業を手掛けていましたが、それは樋口にとって、実体験や特別な思い入れがない事業。起業家に必要な“熱量”が十分だったとはいえない状況でした。かくして樋口は、過去の自分を振り返りながら自分の強みや心の底からやりたいことを探しはじめます。そのとき、かつて抱いていた“あの違和感”を思い出したのです。

当時は具体的な解決策を見出せなかったものの、今なら挑戦できるかもしれない——。そう考えた樋口は一念発起し、サービスの構想をはじめます。それは、自分のやりたいことと事業が合致した瞬間でした。こうして生まれたのが、「スマイルスコア」です。

樋口「事業を通じて自分が実現したいこと。すなわち“軸”が出来ると、周りの方々からフィードバックをいただいたり、協力を頂けるようになりました。そして最高なのは、想いに共感し手伝ってくれる仲間ができることです」

当然、サービスをリリースするに至るまでには、賛否両論の意見もありました。しかし樋口は、「ようやくたどり着いたアイデアに対して反応をもらえることが嬉しい」と前向きにとらえ、サービスの改善に努めてきたのです。それに、企業へのヒアリングを通じて、予想以上に経営者の従業員に対する想いを感じることができました。

樋口 「とある導入企業の経営者様からお聞きしたのですが、例えば、社員と飲み会などで話すときに、ずれた声掛けをしてしまうと、『(心の中で)社長、分かっていない』と不安を与えてしまうと。だから、普段からその社員がどんな気持ちで働いているのか、しっかり理解しておきたいとのことでした」

それはとても手間が掛かるし、勇気がいることです。でもそれは「期待していた社員が離れていった痛み」を知っているから出来ることです。その経営者のように、本気で社員を大切にしたい、良い会社を作りたいという経営者の一助となりたい。そう願っています。

最近は若手社員からのフィードバックもいただいています。急拡大している会社の場合、はじめは経営者とのコミュニケーションがしっかり取れていても、だんだんと取れなくなってしまうケースも少なくありません。

樋口 「会社や仕事内容をみて入社する方もいれば、経営者に憧れを持って追いつきたい、近くにいたい一心で入社する方もいます。『会社の規模が大きくなると、経営者が遠い存在になる気がしていたが、このツールのおかげで社長とコミュニケーションが取れて嬉しい』という声もいただいています。かつての自分にも、こんなツールが必要でしたね」

スマイルスコアは「マネジメントツール」ではなく、「心を繋ぐホットラインツール」なのです。

自分の人生を生きる——スマイルスコアが掲げるビジョン

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▲台湾で行われたCOMPUTEX 2017 InnoVEXでのプレゼンテーション

2017年6月現在、スマイルスコアをローンチして約4ヶ月が経ちますが、おかげさまでご契約の企業様も徐々に増えてきています。また、5月に台湾で開催されたCOMPUTEX 2017に出展し、その中でのスタートアップイベントInnoVEXにてスマイルスコアを発表しました。

樋口「台湾、インド、マレーシア等の国外の経営者や参加者から、予想以上に共感をいただきました。組織で人が抱える悩みや笑顔で働くことの大切さは世界共通なんだと実感しました」

スマイルスコアでは、「自分の人生を生きる」というビジョンを掲げています。1日の1/3にあたる仕事の時間を、自分の人生の一部として有意義に過ごしてほしい——。そのためには、まずは経営者が従業員の気持ちに寄り添うことで変わるものがあると考えています。

樋口 「ほんの些細なことでも、経営者の意識が従業員の幸せにつながることを知っていただきたいです。電車の中で暗い表情だった人が、数人でも明るい人になっていけば、世の中全体の雰囲気が変わってくると思うんです」

私たちが目指しているのは、スマイルスコアを通じて、従業員一人ひとりが活き活きと働いてもらうこと。そして、自分の人生を楽しんでもらうこと。経営者の従業員への想いが、結果として会社だけでなく、世界を変えることに繋がると信じています。

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