真の事業開発会社へ、発想力と技術力を武器に疾風怒濤で挑む

目まぐるしい技術革新により、業界の垣根を越えて熾烈な競争が繰り広げられるデジタルマーケティング業界。「トップダウン型の経営には限界があります。社員一人ひとりが自分で考えて行動することが重要だと確信しました」ーーソネット・メディア・ネットワークス社長の石井は、若手社員たちのチャレンジを促します。
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ソネットグループの社長を歴任して芽生えた気づき

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▲ソネット台湾時代の石井

ソネット台湾、ソネット(注)の経営者を経て、2017年1月にソネット・メディア・ネットワークスの代表取締役社長に就任した石井隆一。実は、まったくの異業種からIT業界へと飛び込み、デジタルマーケティング企業の社長になったのです。

石井 「新卒で入社したタイヤメーカーでは、一貫して海外畑で仕事をしていました。約10年間在籍し、最後の4年は子会社にあたるアメリカの事業会社でマーケティングの仕事に従事していました。この会社は、本体のタイヤメーカーが巨額の資金を投じ、買収した企業です。徹底的な合理化を進めることで、業績が悪化した会社を立て直していくのを間近で見ることができたのは良い経験でした」

そんな石井が、ソニーに転職後、ソネットの台湾法人の経営を打診されました。

石井「2008年の話ですね。アメリカにいた私に、昔の上司から台湾法人の社長をやらないかと声がかかったんです。台湾法人は5年連続の減収減益で、手元の資金も少なく厳しい状態でしたが、やりがいや面白みはありました。

今思うと、タイヤメーカー時代に徹底的な合理化による企業再建を間近で見ていて、自分でも『経営再建』をやってみたいと思うようになったのです。台湾法人では、タイヤメーカーで経験した再建を自分が実行する側となり取り組みました」

3年8ヶ月という短期間で台湾法人の経営を軌道にのせた石井。その後、東京に戻りソネットのプロバイダー事業の役員を経て、2014年にソネットの社長に就任します。

石井 「セールス、マーケティング、経営を、顧客や商材がまったく違う事業領域で幾度も経験したことで、見えてきたものがあります。それは、タイヤメーカーであろうが、プロバイダーであろうが、組織は人が動かしているということ。人が動かすものだからこそ、コミュニケーションが重要なのです」

コミュニケーション総量の最大化。懐に飛び込まなければ人は動かない

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▲石井が定期的に行うタウンホールミーティングの様子

石井がソネット・メディア・ネットワークスの社長に就任して、最初に号令を掛けたのは、コミュニケーション総量の最大化でした。

石井 「ソネット台湾の執行長をはじめ、各社での役員や社長を務めた経験から言えるのは、トラブルが起こった原因を突きつめると、コミュニケーション不足に行き着くことがほとんどでした」

石井が社長に就任した当時のソネット・メディア・ネットワークスは、部署、社員同士の横のコミュニケーション、上司部下の間の縦のコミュニケーション、この両方が不足していました。そのため、対処すべき課題が埋もれ、業務の進捗が遅れるといったことが発生。結果、競合に商品ラインアップで劣後したり、新商品が売れないまま放置されたりしていました。

石井 「日本企業の場合、会議の場で摩擦を嫌がり議論を避けたり、自分の意見を控えたりする傾向が強いように思います。社長も新入社員も、人としては対等な関係なので、事実をベースに社員と自由闊達に議論することを心掛けています」

石井にとって「社員との衝突」は、目標を達成するための手段のひとつ。また、会議以外の場でも社員たちとのコミュニケーションを怠りません。

石井 「私が考えていることをブログで定期的に発信することをはじめました。また日頃からちょっとしたスキマ時間を見つけては、オフィス内をぶらぶら歩き、社員たちに声をかけていきます。日常の雑談の中から、仕事の課題や問題点が見つかることも多いのです」

さらに石井は、現場の社員たちの本音を引き出すため、少数の社員と膝詰めで、会社のビジョンや事業の課題、自らの夢をざっくばらんに話す『タウンホールミーティング』を定期的に開催することに。

石井「こちらの真剣度が伝われば、最初は反応が薄かった社員たちも徐々に打ち解けていきます」

こうした取り組みの結果、発言がなく形骸化していた会議が活発化、社内全体のコミュニケーションの総量も徐々に増加し、業務の円滑化も進みました。

石井 「役職に関わらず自由に意見ができて、提案が出来る土壌ができつつあると実感していますが、実はこうしたカルチャーや雰囲気は意外と脆く、ちょっとしたキッカケで後退してしまうことがあるんです」

「まだまだ道半ば」と語る石井。気を緩めずに社員たちとのガチンコ勝負に挑みます。

「No Attack No Chance」若手の挑戦が会社を活性化する

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そして2017年現在、石井が取り組んでいるのが、若手社員たちが積極的にチャレンジする会社のカルチャーの形成です。

石井 「新卒で入社した会社では入社直後に海外部に配属され、最初の仕事はオーストラリア(アデレード)にある自社工場に生産計画に応じて、部材や材料、機器などを手配し、現地に輸出(ほとんどは船積)する仕事でした。

当時はチューターなどという優しい制度もなく、1か月ほど引き継ぎを受けて独り立ちさせられました。きっと引き継ぎを受けるなかで、“分かってないのに分かったフリをしていたのだ”、と思います。独り立ちしてまもなく必要な機器の手配をしておらず、アデレードの工場の操業を止めかけたという失敗をやらかしました」

「若手社員の失敗程度では、会社が傾くようなことはない」自らも失敗を繰り返してきた石井はそう話します。若手社員たちには、失敗を気にせず、色々なことにチャレンジして欲しい。そう考えているのです。

石井 「インターネットのビジネスは、デジタルネイティブの世代が持つ、若い感性が重要になると考えています。たとえば、2017年4月に入社した新卒メンバーに会社紹介のPR動画作成を一任した結果、大変素晴らしいものが完成しました。この動画を株主総会で披露したところ、個人株主の皆様からお褒めの言葉を多数いただきました。

他にも、当社が配信したオンライン広告経由で商品を購入したユーザーが、商品購入に際して何を重視したのかなどを可視化できるシステムを20代のエンジニアが責任者となり開発しています。それが実際に商品化されるなど、若いメンバーが取り組み、形になっているものが続々と生まれています」

ソニー・スピリットの一文にある「開拓者ソニーは、限りなく人を生かし、人を信じ、その能力をたえず開拓して前進していく」。

これが平均年齢34歳というソネット・メディア・ネットワークスの若い組織にも浸透し、若手に積極的に任せる形でそのカルチャーが昇華されているのです。

発想力と技術力で、真の事業開発会社へ。CVCを設立

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「発想力と技術力で社会にダイナミズムをもたらすユニークな事業会社になる」というビジョンを体現するために、現在の主力事業の拡大はもちろん、新規事業へのチャレンジは当然、欠かせません。

石井 「その一手がコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)の設立です。ベンチャーキャピタル経験者たちを主体に、ソネットグループが培ってきたインキュベーションの実績・ノウハウを活かすことで、国内外における有力なスタートアップとの協業を促進して、新規事業領域の開拓に積極的に取り組んでいきます」

2017年9月1日に設立したコーポレートベンチャーキャピタル「ソネット・メディア・ベンチャーズ」。これはエムスリー、DeNA、エニグモ等、数々の投資育成実績を誇るソネットグループのインキュベーション機能を新たにソネット・メディア・ネットワークスのなかに立ち上げたものです。

石井 「実は、ソネット・メディア・ネットワークス自体がソネットグループによるインキュベーション実績そのものなのです。

2008年にソネットが買収した国内老舗のアドネットワークの会社を舞台として、広告業界出身者たちの経験やアイデアと、ソニー出身のエンジニア達が開発したAIとビッグデータ処理技術を掛け合わせることで、最先端の広告技術を持つマーケティングテクノロジーカンパニーへと飛躍することができました。

ソネット・メディア・ベンチャーズのインキュベーション機能を活かしながら、発想力と技術力を武器に、第2、第3のソネット・メディア・ネットワークスを立ち上げていきます」

発想力と技術力、そしてチャレンジできる環境をあわせ持ち、世の中に価値を提供する事業を複数創出する。それが、ソネット・メディア・ネットワークスが目指していく、『人』に軸を置いた未来像なのです。

注:文中のソネットは、2006年10月にソニーコミュニケーションネットワーク㈱からソネットエンタテインメント㈱に、2013年7月にソネット㈱に、2016年7月にソニーネットワークコミュニケーションズ㈱にそれぞれ商号変更しています。

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