未知の世界だったモバイル通信の黎明期

▲採用責任者を務める杉原 倫子

私の学生時代は“超就職氷河期”。経済学部の同級生は揃って金融機関を受けていましたが、私が惹かれたのは当時「新電電」と呼ばれた情報通信の世界。

それはインターネットがさほどポピュラーではない、ましてや携帯電話を持っている人もほとんどいない時代に何か新しいことが始まる予感がしたこと、それと皆とは違う分野で自分の力を試してみたかったという思いからでした。

そんな私に初めて内定を出してくれたのが日本テレコムで、私は迷わず入社を決めました。

入社後、最初に配属されたのは、保険代理店事業部門でした。周囲からはノンコア事業をあえて希望することを不思議がられていましたが、通信会社にいながら保険の次に担当したのは音声認識を使った新規事業開発でした。音声認識の技術に全く知識の無いところからコンシューマ向けの音声ポータルサイトの企画やコンテンツ開発、法人のお客さま向けの音声ソリューション提案まで何でもやらせてもらいました。

当時の技術としては先進的でモチベーションは高かったのですが、知識と経験不足からお客さまの課題解決にフィットした提案ができない自分にモヤモヤしたり、ハードルの高い事業計画に対しどう頑張ってもその通りに進まない現実に落ち込んだのもこの時期でした。

それまでは目の前の仕事にとにかく全力でがむしゃらに取り組んでいたし、愚直にやりさえすれば必ず結果がついてくると信じて疑わなかったのですが、いい意味でいろんな状況が重なり、ようやく自分自身のキャリアについて立ち止まって考える機会ができたのだと思います。

そんなとき、自ら希望のキャリアに挑戦できる「ジョブポスティング制度(社内公募制度)」で人事部門のポジションを見つけました。たくさんのポジションがある中、自分の直感と、ここでなら価値を発揮できるという思いがあり、手を挙げることにしました。

知識も得られるなんて一粒で二度おいしいとポジティブに捉えていたので、当時から常に人とは違う道で勝負をしたいと考えていたのだと思います。

2003年に私が人事へ異動した後、すぐに日本テレコムがソフトバンク傘下へ。ソフトバンクBBから毎月100名規模で出向社員を受け入れる日々が始まりました。当時の社員数を考えたらありえないスピードで、ありえない数の出向社員が毎月増えていくのです。

慌ただしい毎日で、それはもういろんなことが起こるわけですが、人事が事業を止めるわけにいかない。過去の慣習にとらわれ過ぎず、瞬発的に最適解を選択する志向が身についたのもこの頃かもしれません。そのくらい、ソフトバンクの事業スピードは凄まじかった。リアルにソフトバンクのスピードを体感したのはこのときからでした。

新しいことに挑戦する社員を後押しするソフトバンクの人事ポリシー

1年間の育児休業を経て復職したのは、2007年。ソフトバンクBB、日本テレコム、ボーダフォンの3社が実質一体となって事業を行うようになった頃です。それに伴い、3社の人事制度の統合が行われました。

事業統合とそれに伴う人事制度の統合で、すっかり会社の雰囲気は変わりました。それまでは各社それぞれ異なる人事制度やポリシーがあり、評価基準や仕組みが混在している状況。それが私が休んでいるたった1年の間に、ものすごいスピードで新たな人事制度に生まれ変わっていたのです。

新たな制度の根幹は、「ミッショングレード制度」。この制度では、出身会社や勤続年数、性別などにかかわらず実力・実績を適正に評価し、それに応じた活躍の場が与えられます。

当時はiPhoneの日本上陸など、事業も大きく変革していた時代。勝ち続ける組織を作ることが大命題でした。それを人事の側面で支えたのが、ミッショングレード制度だったと思います。

また人事制度の統合と並行して、社員自らがチャレンジできる機会・仕組みがいくつも立ち上がり始めたのもこの頃からでした。ソフトバンクアカデミア(※1)、ソフトバンクイノベンチャー(※2)、ソフトバンクユニバーシティ(※3)、またジョブポスティングやフリーエージェントといった社員が自ら手を挙げてチャレンジできる施策は、今も継続して打ち出しています。

こういった制度や施策の背景にある人事の思いを形にしたのが「勝ち続ける組織の実現」「挑戦する人にチャンスを」「成果に正しく報いる」という現在のソフトバンクの人事ポリシーです。

2016年、9年間所属した人事企画部から人材開発部へ異動し、社内起業制度であるソフトバンクイノベンチャーを運営するSBイノベンチャーも兼務し、2019年には人材採用部へ異動。現在は、未来の事業を担う人材の採用を主に担当しています。

※1 ソフトバンクグループの後継者およびAI群戦略を担う事業家を発掘・育成することを目的に2010年開校。孫 正義直伝の経営学を学ぶほか、さまざまなプログラムを通じて社内外から約300名のソフトバンクアカデミア生が集まり、切磋琢磨し、学び合っている。

※2 ソフトバンクグループの社内起業制度。戦略的シナジーグループの実現に向け2011年から開始。独創性・革新性に富んだアイデア(新規事業)を社内外から幅広く募集。事業化検討の後、正式に事業化が決定した際には会社を設立、提案者自らが経営責任者としてその事業を推進する。

※3 経営理念の実現に貢献する人材の育成機関として2010年に設立。集合研修のほか、マルチデバイスで受講できるeラーニング、研修のオンライン中継、さらにアーカイブの動画配信など、さまざまな学習スタイルを提供。

学生と本気で向き合うためなら、どんな施策も打ち出していく

▲韓国での採用のために出張した際、採用チームのメンバーと

採用を担当するようになって改めて感じるのは、学生の志向やキャリアパスが多様化しているということ、またそれに呼応する形で企業側もさまざまな方法で学生へアプローチし、お互いを知る機会を十分に設けることが必須だということです。

そこで私たちが採用活動を行う上で大切にしていることは、学生ファーストであること。

学生の皆さんに情報と機会を提供し、ソフトバンクが自分にとって成長の場になりえるかどうか、十分検討してもらいたいということです。

その1つとして、学生の皆さんにリアルな就労経験ができる機会を提供したいという思いから力を入れているのが「インターン」です。

ソフトバンクでは、春と夏の「就労型インターン」、ICTを活用して地方自治体が抱える課題の解決策を考える地方創生インターン「TURE-TECH」を実施しています。

「就労型インターン」は今夏460名を超える規模で実施しました。学生の皆さんは、ソフトバンクの社員と肩を並べて仕事をすることで、ソフトバンク流の仕事のやり方だけでなく社内の雰囲気や社員の人柄に触れることができます。

参加した学生から「想像以上にフラットで意見を言いやすい雰囲気がある」「先輩社員の姿を見て、意思があればやりたいことにチャレンジできると感じた」という声をもらいます。結果として、仕事内容だけでなく企業風土も含めた本質的なジョブマッチができているなぁと、改めて実感しますね。インターンを通じて「働くことの意味」と「ソフトバンクという会社の無限の可能性」を体感してもらえたらとてもうれしいです。

2016年から始めた地方創生インターン「TURE-TECH」は、今夏は応募総数が2,000名を超え、うち60名が実際に自治体に赴き、現地のリアルな課題に全力で取り組みました。

限られた時間の中で、メンバー同士で意見がぶつかり合ったり、課題の本質を見い出せずに自分の無力さを痛感したり。

うまくいかないことの連続ですが、最後は市長の前で学生らしい着眼点をもって解決策を提案する。たった1週間のインターンではありますが、最後は見事に強く成長した姿を見せてくれて、とても胸が熱くなります。

今後も学生の可能性を広げるようなインターンを提供していきたいと思います。

学生の皆さんへの情報提供のもう1つの方法として、オウンドメディアを使った社員の紹介にも注力しています。学生の皆さんにはできるだけ多くの社員に会ってさまざまな仕事や働き方を知ってもらいたいのですが、一度に10名の社員に会うことは物理的に不可能です。でもメディアであればたくさんの社員、さまざまな仕事を知ってもらうことができます。今後もオウンドメディアのメリットを最大限活用したいと思っています。

情報や機会の提供をするうえでは、学生の皆さんにソフトバンクのリアルを知ってもらうことをとても大事にしています。最先端テクノロジーから新たな事業を創り上げるワクワクな未来だけにフォーカスされがちですが、足元の通信事業を進化・牽引することこそが事業の基盤であり、「ワクワク」も「事業基盤の進化」も両方大事なんだよ、と伝えなければいけないなと。

なので社内の雰囲気や仕事の内容など、リアルを知ってもらうための機会であれば惜しむことなく提供していきたいと思います。

変化の波を恐れず、楽しめる人と共に“未来”をつくり出したい

ソフトバンクは今、「Beyond Carrier」戦略に掲げ、通信事業を基盤としてさまざまな新規事業を展開しています。生活基盤を支える通信インフラを持つソフトバンクだからこそ、自社のネットワークやプラットフォーム、顧客基盤を生かした新しいビジネスモデルを展開することができるのです。

目まぐるしく環境は変化していますが、新たにソフトバンクにジョインする皆さんには、この“変化”を楽しむことのできる人であってほしいと私は思います。目の前の環境が変わることをチャンスと捉えて挑戦し続けられる人であれば、ソフトバンクでその能力を開花させることができるに違いありません。

私自身、目の前の仕事に全力で邁進した若手時代、自ら手を挙げてチャレンジした人事への異動、ソフトバンクの変化の中で得た全ての経験が、今の自分につながっていると感じています。

ソフトバンクの経営理念は「情報革命で人々を幸せに」。これはこれから変わることはありませんが、成し遂げる手段や方法は無限です。そして新しいこと、未開の地に「正解」はありません。いくつもの道筋を描き、失敗しながらもとにかくゴールすることが求められるのです。

何も決まっていない未来だからこそ、未来は自分たちの手でつくることができる。ソフトバンクには、それを実現できる環境があります。だからこそ、想像を超えるような未来を描く発想力を持ち、どんな状況でも楽しみながらグイグイ前進する仲間と一緒に、この先のソフトバンクをつくっていきたいですね。