社員の成長こそ利益の源泉。そう信じ、真剣に向き合うーソウルドアウト、組織のあゆみ

創業者の荻原猛は、根っからのひと好き。それは社内外を問いません。熱い志とともに立ち上がった組織だからこそ、社内のメンバーに対する想いには深いものがあります。2010年創業から現在(※2017年)に至るまで組織がどのように拡大したか、今回は“ひと”に焦点をあて、成長の足取りを追います。

辛く苦しいことがあっても、この道を選ぶのは志を共にしているからこそ

▲当時のメンバーたちと

———地方拠点拡大のなかで、もっとも辛かったのは何か。

この質問に、荻原は一瞬考えながらも「やはり初期に地方拠点を任せていたメンバーが辞めたいといったときは、さすがにきつかった」といいます。赤字や業績以上に荻原に打撃を与えるのは“ひと”なのです。

ソウルドアウトは、オプトの社内でのエントリー制度をへて立ち上がりました。当時、株式会社電通との業務提携により、オプトは事業の柱を大手企業への支援へと大きく舵をきったばかり。そのさなかに中小企業を事業の柱にした、まったく逆方向の道へすすむ会社を創る。そんな突拍子もない事業計画に、むしろ荻原の進退を心配するがゆえの反対の声もありました。

広告業界では、より大きな企業や案件を獲得することを目指し、また、それが成長の証となる空気が少なからずあります。そんな環境のなかにあって、社外からは「オプトに残って幹部を目指したほうがいいのでは?」「その先に何があるんだ?」という言葉さえあったほど……。

荻原 「感覚的には100人いれば、そのうち90人が反対派。そんな状況でも『僕も一緒にやる!』といってくれた仲間には、鉄の結束といっていいほどの強いつながりがあった。一歩外にでれば外の水は冷たいけど、仲間内ではやる気がみなぎり熱くなっているーー。そんな感じでしたね」

それだけの想いでつながっている仲間だったからこそ、地方拠点拡大初期に「辞めたい」といわれたとき、荻原はまるで心をえぐられたように感じました。

荻原 「地方拠点の立上げメンバーは、将来の幹部候補です。未来に向け、地方展開は戦略の柱となる施策。立上げメンバーはその経験を経て、みんなを引っ張っていく役目を担ってほしい。そう思っていたから……。彼らが離れていくことを想像すると辛かったですね」

荻原はそう思いながらも、地方拠点を任され、獅子奮迅ひとりで戦っている彼らの辛さも、身にしみるほど感じていました。だからこそ密な話し合いを重ね、お互いに志を確認することで、彼らはもう一度ソウルドアウトに残る道を選んでくれました。

ソウルドアウトの成長過程は、けっして平坦な道だけではなかったため、そうした場面は幾度となくありました。私たちはその都度みんなで話し合い、志、そしてミッションを確認し……。その際、ともに残る道を選ぶメンバーがほとんどでしたが、違う道を選んだものたちもいました。それは中途採用のメンバーだったのです。

痛みの伴うメンバーとの別れ、でもそれを原資にスケールする

▲2016年度納会

地方拠点が増え続けていくと、東京本社も人材不足になりました。荻原は、中途採用を試みます。創業間もない、知名度の低いソウルドアウト。できるだけ門戸を広げようと、さまざまな方法で採用活動を実施。いわゆる転職エージェントも活用しました。

荻原 「ほとんど名前の知られていない会社に、まさか入社希望をもってくれるとは思っていなかったです。だから“ネット広告で、がんばりたい!”“未経験だけれど、がんばります!”なんて言葉が返ってくると、単純にうれしくて。よし一緒にがんばろう!と」

当時、転職エージェントへの謝礼は、採用した社員の年収の30〜40%。1人採用すると少なくとも百万円以上を支払うことになります。立ち上がったばかりのソウルドアウトにとっては、非常に大きな投資です。

ところが、そうして熱い気持ちで入社した社員も、全員が半年から1年で辞めていきました。つまり自己成長のためにひとつの企業にとどまらずキャリアアップしていったのです。

荻原 「みんなの足で稼いだ血と汗と涙の結晶であるキャッシュが消えていく、そんな気持ちになりました。やはり、長く一緒に働きたいと思って彼らを採用したわけだし……。そこで思ったんですね。採用で重要なのは、マーケティングやネット広告への興味や関心ではなく、地方支援という『理念』に共感してくれること。ここに共感する一部の“熱狂的な”メンバーをそろえないといけないんだなと」

あらためて、荻原は「自分たちの組織は、地方の中小企業を元気にしたいというミッションによってつながっているのだ」と認識します。そして、そのミッションを達成するためにも、ソウルドアウトという組織そのものが大きくなっていく必要性をあらためて感じました。

荻原は「会社が大きくなることは、そこで働く社員個人の幸せにもつながる」ということを、オプトで働いていたときに学びました。会社が大きくなれば、自分のステータスも上がり、出来る仕事の幅も広がる。会社が大きくなるためには、もちろんお客さまへの成果が上がり、喜ばれてこそ。

つまり、会社が大きくなるということは、社内と社外の幸せが連動して拡大していくということーー。だから、大きくなっていこうとする組織でありたいし、そういう経営をしたい。

中途採用では、荻原は失敗しました。しかし、ここで二の足を踏んでいては、荻原の理想は遠のくだけ。企業が大きくなるためには、人材不足は致命的です。少しでも多く、志に共感する、熱狂的なメンバーをーー。荻原はその想いを新卒採用にかけることになります。

ソウルドアウトに新しい風。会社の未来を語る、未来を担う新人たち

▲2013年卒の新卒たち

2012年、創業から2年。ソウルドアウトはとんでもない業績を打ち出します。東日本大震災という苦境も社員一丸となって乗り越えました。株式会社サーチライフをグループに迎え、営業面と運用面の両輪を備えた強靭な体制も整いました。

荻原 「あるとき、入浴中にふと思ったんです。ここまで業績を伸ばせたんなら事業拡張もできる。事業拡張できるなら、新卒採用もできる。新卒は、今以上に会社にいい風を吹かせてくれる可能性にもなるはず。さらに、ある程度の人数を採用すれば、一緒に教育もできるし、同期のつながりがあれば、仕事を続ける励みにもなるだろう」

思いついたのは、いわゆる5月の大型連休が明けたころ。すでに世間の就活はピークを過ぎていました。

荻原 「ところが意外に、とてもいい人材が集まりました。とがった人物が多くて、そこもよかったし、入社したらしたで新しい風を社内に吹かせて……なんかやっぱり新卒ってすごいなって(笑)。みんな将来の幹部候補になれる人材ばかりでした」

初の新卒採用は、2013年20人、2014年には40人採用しました。実は2014年当時、ソウルドアウトの社員数は80人。3人にひとりが新入社員という計算になります。

これに驚いたのは、株主をはじめとしたステークホルダーの面々。しかし、荻原は一人ひとり説得します。そのときに引き合いに出したのが、荻原が経営者として敬愛する、ホンダの藤沢武夫氏の教えでした。

藤沢氏は、本田宗一郎氏とともにホンダを大きくした人物。本田氏が“つくる”ひとなら、管理・販売・資金調達・組織づくりなど、ものづくり以外の経営面すべてを担ったのが藤沢氏です。藤沢氏は人事に関しても大胆でした。社員が40人しかいないときに、3年かけて一気に2,000人の社員を採用したのです。この大胆さに、荻原は心を打たれます。

荻原 「僕らはいろんな本を読んだり、周囲の意見もきいたり、失敗のないやり方を選ぼうとするんですが、昭和のベンチャー企業はやっぱりすごいですよ。ホンダに比べたら、40人採用なんて小さなことだって話してまわりました(笑)」

こうして、一気にソウルドアウトの社内に新風が舞い込みます。荻原は、新卒社員のよさは、その“ピュア“な部分にあるといいます。

荻原 「たとえば、『こういうことやりたいです』とか『こんな革新をしたいですね』とか、遠慮なしに会社の理想について語れるのがいいですね。やはり自分がはじめて入った会社だからこそ、そういう言葉がピュアに出てくる。これはうれしいです。新卒が無邪気に言っているのを聞いていると、やっぱり幸せだなと思いますよ。それに同期同士で助け合っている姿もいいですよね」

こうした新卒入社の社員たちのハツラツとした姿、会社の理想を語る姿を見るたびに、荻原は“未来の明るさ”を感じるともいいます。中途採用での失敗を経験したからこそ、今があるともーー。

荻原にとって、新卒社員は自分の“子ども”のようなもの。彼らが自分たちの能力を最大限に活かし、成長できる環境をつくることも荻原は、自分の役目だと考えています。

ジョブローテーションでお互いの“のりしろ”をつくる。それがチームワーク

▲代表の荻原猛

30歳までは、やりたいことをひとつに決めなくていいーー。これがソウルドアウトの社員教育で一貫していることです。

社内では、定期的にジョブローテーションが行なわれ、ほとんどの社員がさまざまな業務にも挑戦できるよう工夫をしています。

荻原 「30歳までは、とにかく得手不得手関係なく、いろいろ経験してみろといっています。30歳になったときに『これがやりたい』といえば、僕が必ずそこに配属にしてやるから安心しろと。いろんな職場で、悔しい思いをしたり、得意なものに出会ったり、チームで仕事したり、そういう経験をたくさん積むほうが絶対いい、焦らなくていいと考えています」

ジョブローテーションに荻原がこだわる理由は、それだけではありません。それは業務の“のりしろ”にあります。

荻原 「異動したことがない人間は、自分の業務領域はここまでと決めてしまいがち。でも、たとえば、運用経験のある営業担当がお客さま対応をすると、『運用をする人はこうやると困るだろうな』と運用の領域までわかって仕事を進めることができるんです。相手の業務を知っていると、お互いに乗り入れることができる。これが“のりしろ”。つまりチームワークなんですね」

オプトにいたころの荻原は、20代でトップ営業ばかりのチームを任されました。一人ひとりが優秀だったからこそ、各自が個人行動に陥り、結果チームとしては機能しなかった苦い経験があります。

けれどその後、キャリアの浅いメンバーだけのチームを任されたとき、今度は助け合うしかなかった。だからこそ、チームとしての好成績を残せた。お互いに助け合う、“のりしろ”を持ち合うーー。これがソウルドアウトのチームワークなのです。

こうした社員たちの動きは、週報という形で全社発信されます。また、荻原は社長自ら日報を書いているのです。

会社がいまどこにいて、次はどこに向かっているのか、何に触れ、何を感じているのか……など、開示できる情報はすべて。さらに、個人的な日常の出来事も。これはもちろん、社員との距離を近づけるという意図もあります。いわば、日報が、荻原と社員たちのコミュニケーションでもあるのです。

荻原 「週報はぜんぶ読みます。楽しいですよ。本当に面白い。読んでいると、彼らがどんどん新たな知識を得て、成長しているのがわかります。僕自身も勉強になるし、彼らの成長が、そのまま組織の成長につながっているのを肌で感じることができるんです」

2013年の新卒採用以来、未来のソウルドアウトを担う人材が、着々と育っています。順調に大きくなりはじめたソウルドアウト。地方の中小企業を、支援の形をもっともっと拡大し、社外にも同志をもっともっと増やすために、さらなる新しい試みに荻原は着手します。

私たちの新たなる目標、“市場を創造する”というステージに向けてーー。

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