リーダー最盛期に育休取得

菱谷は、新卒として綜合キャリアに入社し、刈谷支店に配属。1年目から大手自動車系企業からの受注を多数獲得し、3年目にはエリアリーダー、5年目には全国から刈谷エリアでの就業を促す「圏外プロジェクト」のリーダーとして活躍してきました。

そして入社して6年目の冬、菱谷は育児休業を取得します。

菱谷 「女性だけが育児をするという風潮に違和感がありました。結婚して、子どもを意識し出したころから育児ってどんなんだろうと具体的に想像するようになって。

いろいろ調べていくうちに、女性は産後の身体を休めるために産後休業が義務づけられていますが、その続きで育児休業に入り、当たり前のように女性だけが育児をするのははたしてどうなのか?と疑問に思いました」

男性の育児休業はまだまだ一般的ではなく、綜合キャリアグループでも前例のないことでした。しかし、菱谷が上司へ育児休業を申し出ると、驚きながらも理解を示し、具体的なスケジュールや調整をどうするか一緒に考えようと受け入れてくれたと言います。

菱谷 「私の知る限り男性の育休取得者がいなかったので、言い出すことへの怖さはありました。ただ、人生に何度もない経験を大切にしたいという気持ちの方が大きかったです。

絶対に人間としての成長につながると思ったし、仕事にも生かせる何かがあるはずだ、と。それに加えて新卒で入社して以来私を育ててくれた上司は、一時的な業務都合よりも、長い目で私の成長を期待してくれて……」

しかし、菱谷は、当時チームで目標に向けて動いており、支店の2番手としてプロジェクトリーダーを務めていました。上司と仕事の調整をしながらも自分の抜ける穴をどうするかと悩みました。

菱谷 「忙しい時期にメンバーに悪いなという気持ちも正直ありました。でも、刈谷支店のメンバーは、『必ず成長した父の姿で戻ってきてね』と温かく送り出してくれたんです」

育休中に改めて感じた、綜合キャリアで実現したいこと

育休中は当然育児が中心の生活を送ります。ミルクや離乳食づくり、おむつ替え、お風呂、寝かしつけなどの育児です。もちろん、掃除、洗濯、料理などの家事も出産間もない妻の代わりに積極的に行いました。

菱谷 「育児は、予測不能なことの連続です。泣き止まない、寝ない、食べない、出かけようと思った矢先におむつ替え……。こちらの思い通りになんて全然ならないことばかりです。それが難しくもありおもしろくもありました。

仕事ではスタッフさんの悩みを聞いて一緒に改善策を考えたり、企業様の困りごとに対して提案をしたりしていたので、そこで培った柔軟な対応力は育児に生かせたとも思っています。仕事も子育てと同じように、思い通りにならないことがたくさんあったので(笑)」

子どもの首が座り、昼夜の睡眠リズムも安定してきた3~4カ月ごろからは、キャリアコンサルタントの資格取得のために勉強をしたり、ベンチャーマインドを持つ人たちが集まるイベントにも参加したり、HR系の登壇者が出るセミナーを聞いたり、異業種の方との交流会で情報交換をしたりと育児の合間を縫って自己投資の時間を設けました。

菱谷 「そのときに、自分で起業することも、他の会社で働くことも、その気になればいつだってできると思いました。しかし、ふと、足元を見ると、先輩たちや自分が一丸となって築き上げてきた取引実績や信頼関係があるなと気付いたんです。

そこから、それらの実績や信頼を生かしたことが綜合キャリアグループでまだまだできるんじゃないかと思いました」

こうして菱谷は1年間の育休期間を経て、ふたたび刈谷支店に復帰を果たしました。復帰後は、仕事に対する姿勢が180度変化したと言います。

菱谷 「育休取得前は、主体的に取り組んでいたようである意味、与えられていた仕事をこなすことに注力していたというか、まだまだ視野が狭かったなと感じています。

以前は人材業界の中だけで他社に勝つことを考えていましたが、育休取得中に他の業界や規模が違う会社を見て良いサービスや取り組みがたくさんあることに気付いたんです。たとえば、インサイドセールスなど新しい営業手法なんかがいい例です。

実際に支店に取り入れたことで売り上げが伸びるなど結果が出ています。そのようなこともあり、今年からは愛知ブロック全体にも展開を始めました」

復帰後はチームマネジメントで成果を出す

復帰後、菱谷は以前にも増して意欲的に仕事に取り組んでいます。また、復帰後の業務の中で休業期間中のインプットが役立つ場面もあったと言います。休業期間中に描いていた新しい事業のアイデアや構想の一部が実際に具現化されたのです。

菱谷 「弊社では海外人材の活用については積極的に取り組んでいて。それを踏まえて、外国人がもっと活躍できる世界にするために、できることがあるんじゃないかと思ったんです。

たとえば、AIチャットを利用することで、今まで人でなければ難しかった工程を省く施策を行いました。ほかにも、育休期間に得た情報は、仕事にも生きていると感じます」

一方で、育児はまだまだ続いており、菱谷は休業前とは働き方を変える必要がありました。

菱谷 「以前は自分の都合ひとつで残業もできたし自由に時間を使えましたが、今は保育園への送り迎えの時間、子どもの発熱などで呼び出しが来ることもあります。

その中で、以前よりも成果を上げるにはどうしたらいいかを考え、私ひとりだけではなくメンバーの力を最大限に発揮できるチームづくりに注力しました」

そのためにランチミーティングや日常の雑談をするといった、一見遠回りに見えて重要な要素も大切にしたと言います。この人のために頑張りたい、一緒に仕事をしたいと思える関係づくりを行い、強固なチームを目指したのです。また、コミュニケーションの取り方にもある工夫が。

菱谷 「指示した内容に対して、『どうなっている? 大丈夫か?』と聞くと、何について聞かれているか抽象的すぎてついつい、『大丈夫です』と言ってしまいがちな気がして。お願いしたことについて『何か手伝えることはある?』と具体的に聞くようにしています。

そうすると、とくに若手のメンバーは、『自分は何がしてほしか』という自分で完遂するストーリーを話してくれますし、 本当に困っているときにはこういうことができないんだと相談してくれます。 声の掛け方ひとつで、課員の主体性を促すことができると感じているんです」

そんなチームマネジメントが評価され、菱谷は育休復帰から数カ月後、刈谷支店の責任者にならないかと打診を受けました。

菱谷 「復帰後の打診はありがたかったですね。ただ一方で、責任者をやるのなら自分しかいないとも思いました(笑)。それだけのことをしてきた自負があったんです。

そして、存分にチャレンジできる環境にわくわくしました。生産性が高く、幸福度の高い組織づくりを目指してやってみたいことがたくさんあったので」

インダストリーサポート事業の精鋭チームへ

刈谷支店の責任者に着任してから半年。菱谷にはある変化がありました。

菱谷 「一番変わったのは、社外に向けた発言の責任感です。 責任者同行をする機会が多く、私=弊社という目線で見られることを肌で感じています。

しかしこのことは裏を返せば、 知識やトーク、ふるまいなど、さらなるブラシュアップするチャンスだとも感じているんです。そして責任者として働く中で難しいのは、社内メンバーを目標達成に向け、モチベーションを高め、けん引していくこと。

今までは二番手として、責任者の指示に促していくフォローアップでしたが、今は自分が方向を示す立場です。時には私が、課員の納得を待たず、指示をし、課員に行動してもらう必要もあります。ただ、やったときの達成感を味わえる分、おもしろみにもなり得るんです」

そして今、綜合キャリアグループHR市場は、大きな変化点にきています。労働人口の減少、求人難、働き方改革、オートメーション化などの影響を受けているからです。

そんな中で刈谷支店は、日本を代表する自動車メーカーなど大手企業のひしめくエリアで、綜合キャリアグループのインダストリーサポート事業や製造業界向けのサービス展開において、重要な役目を担っています。

菱谷 「刈谷支店をはじめとする愛知エリアでは、外国人スタッフに向けたフォローやサービスを先陣切って開拓しています。

入国手続きからそれにともなう各種書類作成、配属先調整です。他にも就業フォロー、入寮の対応など、仕事に関することだけでなくライフサポートまで、綜合キャリアグループ各社が連携して行っています。

これから先も海外事業、HRTechのシステムなど、新サービスの成功事例をいち早くつくれる支店やエリアを目指し、グループの精鋭部隊をつくる気持ちでチーム育成していきます。

そのために、私自身が率先して成果を出すのは当然として、小さな枠にとらわれることなく、日本や世界の社会ニーズを敏感に感じ取った上で自分自身のビジョンを描くことが重要になります。当グループの資源をフル活用して、社会に価値を提供していける人材にならなくてはなりません」

父として、責任者として一回り大きく成長した菱谷。新たな道を踏み出した彼の挑戦は、まだ始まったばかりです。