山中理恵「価値観を何度ぶち壊されても、自分と向き合って積み重ねていくしかない。それが人生だから」

世界伝統武術大会で銅メダルを獲得し、2019年現在フリーランス太極拳講師として活躍する山中理恵(38)。彼女は、ビューティーテック企業で株式会社SpartyのCSスタッフとしての顔も持つ。唯一無二のキャリアを歩んだ道のりは、葛藤や期待に揺れ動きながらも、自分を信じてしなやかに生きた証だった。
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人生を変えた太極拳との出会いは、好奇心で行った中国観光がきっかけ

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最初は、太極拳なんて、全然興味なかったんですよ。太極拳を知った当時の私は、28歳くらい。

社会人としてある程度の経験を積んではいたけど、先が見えなくてもがいている時期だった。その時には、何かこの状態から抜け出すきっかけを得ようと、情報を求めていました。

その過程で、参加したあるセミナーの講師と仲良くなって。その方が「今度中国の山奥で太極拳の修行に行くんだ」って言うんです。そんなところひとりなら絶対行けないから、「一緒に連れてってください」ってついて行ったのがきっかけ。

ほんとはみんなが修行しているあいだに観光するつもりだったのに、着いたら本当に山奥。観光なんてとんでもない!ってくらいに何もなかった。

だから、私も修行に参加することなったんです。ほとんど、その場の流れでね。

ただ辛いだけの修行だったはずなのに、帰国しても衝撃が忘れられなかった

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中国での1週間は辛かったなぁ。朝は5時起きだし、シャワーは糸みたいな水しか出ないし、ご飯も無言でかきこむだけ。

もちろん修行自体も、すごくしんどくて。太極拳は自分自身を見つめることを求められるので、精神的にも肉体的にも疲労しました。

帰ってきたら変な感覚に襲われたんです。

せわしないはずの東京の街の動きが、とってもゆっくりに見えたんです。人もノロノロ動いてるみたい。中国の山の奥って、ゆっくりとして穏やかなようで、実はすごく速いスピードで動いている。

その初めての感覚に、ものすごくショックでした。でも、この衝撃が気になって仕方がなくて、日本でも太極拳を続けることになったんです。

たったそれだけのことで、今となってはもう10年も続けて、先生をしているなんて不思議ですよね。

目の前に来たものを積み重ねてきた。それが今の私

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実は案外受け身なんですよ。

来たもの、来たものを積み重ねていたら、今に辿り着いた。太極拳の講師としてフリーランスになったのも、もしかしたら受け身の選択だったかもしれない。

所属していたスクールで授業の枠がなくなってしまって、それでも生徒さんは続けたいと思ってくれているから、その気持ちを大切にしたくて。

だから、個人的に開講することにしたんです。

スタートアップのSpartyへ職場を変えたのも、太極拳にもっと力を入れたかったから、融通の効く会社を探していたんです。会社や事業に強いこだわりがあったわけではなかったんです。

でも、Spartyでの仕事も、衝撃がたくさんあったし、すごく影響を受けました。みんな、意欲的で行動的で、これまで接して来た人とは、また違う人。

いろんな価値観に触れて、今まで信じたものを失うこともある。それでも自分と向き合うしかない

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人生には、それまでの価値観をぶち壊されるタイミングがいくつかあると思うんです。

私の場合、1回目は30歳前後。太極拳に出会った頃ですね。

20代後半は、仕事でできることも増えて、勢いもあって、無敵な感覚だった。でも、30歳に差し掛かった頃にハッとするんです。

いつの間にか自分におおい重なってる責任だったり、求められる変化だったりに気づいてしまう。
そこで「自分が信じてたものが間違ってるかもしれない」って、足元がぐらつく。

それを乗り越えた時には「こうやって大人になるんだな」って思ってたんです。これで落ち着くんだろうな、と。

でも、またその時が来ました。それが今。

周囲の環境が大きく変わって、いろんな価値観に触れて、また自分の信じてたものに疑問が湧いて来る。

だから、結構今色々考えてますよ(笑)。
でも、人生でこんなタイミングがいくつかあるんだろうなと思う、きっとね。

グラグラもするけど、その度に自分と向き合って選択して行くしかないんですよね。

<profile>
「色気のある時代を創ろう」をミッションに掲げるビューティテックカンパニー株式会社 Spartyのカスタマーサポートスタッフ。
ラグジュアリーホテルの電話応対から、チャットシステムを使用するセールストークなど多岐に渡るコンタクトセンター業務を経験。累計およそ4万人のお客様の対応により“相手の顔が見えない接客”を極める。一方で、2007年中国の湖北省にある武当山で初めて太極拳を学ぶ。その後は武当山と日本で中国武術を深めていく。2010年 第4回世界伝統武術大会 太極拳部門銀メダル取得。

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