AYUMI TAKAHASHI「何をやりたいか毎朝自分に問い続けている。自分が信じるものをひとりでも多くの人に見せたいから」

中国に生まれ、日本で育ち、アメリカへ渡ること13年。「The New York Times」「Washington Post」などの挿絵や、コカコーラ、Uberなど大手企業とのコラボまで幅広い実績を持ち、4.4万人のInstagramフォロワーを抱えるアーティストAYUMI TAKAHASHI。国内外の様々なカルチャーとの出会いを通じてアーティストとしてのコアを確立させつつも、彼女は自分の気持ちに正直であり続けている。

ジョイフルな気持ちじゃないと、いい作品は生まれない

ポジティブで、カラフルで、見てて良い気分になれるもの。

それが私がつくるアート。

私は基本的に、醜かったり見ててショッキングになったりするようなアートは信じていないの。

アメリカにはメランコリックな自分じゃないと描けない人がたくさんいた。

でも、ジョイフルな気持ちじゃないといい作品は生まれないと思う。

自分が誰かに合わせるんじゃない。私が見せたい景色を見てほしい

両親共にデザインの世界で活躍していて、幼いころからアートに囲まれて育った私。その反発心から、もともとは「絶対アートはやらないぞ」って思ってた。

だけどやっぱりDNAには勝てなくて(笑)。

アートをやりたいなら、まず世界を見ろ!そう思って、英語も分からないままアメリカへ飛び込んだの。ロサンゼルスの名校アートセンターカレッジオブデザインに全額奨学金をもらい、五年かけて卒業したの。

その間、留学したり、働いたり、徹底的に勉強した。アーティスト人生のはじまりは、ポートランドから。穏やかな空気に囲まれながら、アートプロダクトブランドやギャラリー展示で生計を立てるファインアーティストとして活動を2年ほど。

でも、全然刺激がなくって。

それでニューヨークへ移ると、企業の依頼を受けたり有名な新聞や雑誌の挿絵を描くといったコマーシャルアーティストとして活動が主軸になっていったの。

アーティストとしての方向性は変わったし、描いているアートも振り返ると少しずつ変化してる。だけど、根本は昔から変わってない。アートは本心から自然と湧き出てくるもの。

誰のマネでもなく、いっぱい描いてるうちに絵が今のスタイルになった。

自分が誰かに合わせるんじゃない。私が見せたい景色を見てほしい。

日本ではみんな気づかないところで、身の回りのいろんなものに思いを寄せて生きている

今、私のアトリエは東京にある。

きっかけは、2月に一時帰国して、京都で伝統工芸の職人たちと出会ったこと。漆塗りや西陣織と私のアートをコラボさせて、新しい可能性を見つけた。その時に気づいたの。日本は、とても生活らしい生活をしているって。

みんな気づかないところで、身の回りのいろんなものに思いを寄せて生きているんだよね。彼らと接しているうちに、世界の美しさに気づく。優しい気持ちになれる。

だから、その素晴らしい気持ちと技術が詰まった伝統を無くしてはならない。

自分の西洋のバックグラウンドを活かして、伝統を新しい形で継承し続けることに使命感が湧いてきたの。そしたら途端に、常に新しいものを求めるアメリカのフィロソフィーに共感できなくなった自分もいた。

すべてが一時的なもの。気づいたときには何も残らない。ニューヨークでは、ものとの距離が近すぎて、ほかのことに目を向ける余裕なんてなかったんだよね。

仕事だけ、目の前のことだけ、自分のことだけ。20代はそれでよかったのかもしれない。

でも30代の私は、ゆっくり人生を考えていきたいな。人生は短いから、一生をかけて何かひとつのことをしたい!

毎朝自分に聞いているの。「本当に自分がやりたいことは何か」って

「日本に拠点を移そう」。

そう決意して、ニューヨークへ帰ったその日に、荷造りをはじめた。もちろん、簡単な決断じゃなかった。自分のコンフォートゾーンから出るんだから。

でも、これと思ったら、そう思ったときにその通りに行動していたい。悩んでる時間がもったいないから。

今の決断は、将来からみたら幼稚な決断かもしれないけど、今の私ができる一番良い決断だと信じてるから。今やっていることは正しいのかって「孤独な闘い」をすることはある。

そんなとき、唯一あてになるのは自分。自分を信じて、自分を応援して粘るしかない。

だから、大きな目標は持たないようにしている。その分、毎朝自分に聞いているの。

「本当に自分がやりたいことは何か」って。

そして少しずつそれに近づく。

Photo by Daniel Cochran

<Profile>
中国生まれ、日本育ち。カリフォルニア州のアートセンターカレッジオブデザイン(Art Center College of Design)でファインアート/イラストを専攻。中国、日本、アメリカのほかに、タイ、イギリスでも留学経験あり。現在、ニューヨークと東京でギャラリー展示、イラスト、絵本、テキスタイル、様々な分野で活動している。クライアントはニューヨークタイムズ(The New York Times)、コカコーラ(Coca Cola)、パラモンドピクチャーズ(Paramount Pictures)、SK-II、UBERなど。

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