家族の次に大切な存在といえる関係を――従業員専用アプリ「amily」が高める関係の質

一般的に、会社が大きくなり、組織が複雑になるほど、社員同士の関係性は薄くなりがちです。そこで増してくるのが社内でのコミュニケーションの重要性。株式会社ストライプインターナショナルでは、スタッフ同士のやり取りを活性化させるアプリ「amily」を開発。その背景には、会社としてのある信念がありました。

全国の従業員3,000人以上、一人ひとりをつなぐコミュニケーションアプリ

▲取締役兼CHO、人事本部長の神田充教

転職サイトなどで調査される、転職・退職理由には必ず「人間関係」が上位に入ってきます。思っている以上に、社内の人間関係が社員の帰属意識や仕事への意欲につながっているということです。

創業以来、アパレル事業を中心に成長し続けてきた株式会社ストライプインターナショナルでは、さらなる事業拡大を見据えて、従業員同士の関係の質を高めたいと考えていました。インナーコミュニケーションのプロジェクトを率いる神田充教は、「関係の質が、結果の質に繋がる」と強く信じています。

神田 「代表の石川康晴の経験則になりますが、いろんなお店を見る中で、スタッフの誕生日を祝う店長がいる店舗の業績が良かったんです。誕生日をお祝いする店舗だとスタッフ同士が親しく関わっているということが伺えます」

そのような視点から、店舗内だけでなく、あらゆる部署のスタッフ同士の関係の質を高めることで、結果すなわち売上や利益にも貢献できるのではないかと考えました。

しかし、2017年現在で3,000人以上の従業員を抱え、さらに全国に店舗展開している当社。どうしても店舗スタッフはコミュニケーションが店舗内で完結してしまうのが現状です。

神田 「物理的な壁をどうにかしたいと思いました。全国に900店舗もあって、意識しないと連絡も取りづらい環境ですし、本社との関係もそうです。

店舗スタッフが個人アドレスを持っているわけではないので、コミュニケーションをとるためには、店舗にある1台のPCを通じてメールを書くことぐらいしかできませんでした。それでは業務上のものですし、堅苦しいと。そこで、気軽につながるようなきっかけを作りたいと思ったんです」

本部と各店舗だけでなく、スタッフ一人ひとりがつながるような仕掛けが必要だと感じた神田。そこで、発案したのが、従業員専用の社内向けアプリ「amily」(アミリー)でした。

プロ野球選手名鑑を参考に“世界一楽しい社員名簿”を作成

▲プロフィール画面とパチパチ機能

当社は平均年齢も26歳と若い会社で、女性も多いことから、ネーミングも可愛らしいものにしようと会議を実施。言葉の響きや経営理念との関連から、「amily(アミリー)」と決まりました。コンセプトは「世界一楽しい社員名簿」です。

神田 「amilyができる前に店舗スタッフがよく言っていたのが、『本社の方に電話をかけるのは緊張する』ということでした。そこで電話をかける前にアプリでプロフィールを見て、人となりがわかるようになればいいなと思いました」

プロフィールにはアルバイトも含めた従業員の顔写真と詳細情報が載っており、全員分の閲覧が可能。最初に誕生日がありますが、その後の内容は所属や特技といったありきたりな硬い内容だけではありません。

プロ野球選手名鑑を参考に、こんな人になりたい、旅行したい場所、ストレス解消法、こんな特殊能力がほしい、などその人のカラーが出るように工夫してあります。

また、「パチパチ」というメッセージ機能で社内の誰とでもメッセージを送り合えます。やりとりはすべてオーブンなので、自然とポジティブなコミュニケーションが生まれるようになっています。この「パチパチ」は代表の石川が率先して活用することで、すぐに社内へ浸透しました。

神田 「普段は誕生日おめでとうというのがメジャーですね。あとは、久々に会えてうれしかったねとか。店舗のヘルプに来てくれてありがとうございました、などいろいろです。基本的におめでとう、ありがとうなどのポジティブなメッセージが流れてくるので、タイムラインを見るだけで幸せな気持ちになるのが良いところですね」

他にも、全国のスタッフを紹介する「TODAY’S SNAP」、自由に意見を投稿できる「アミリー POST」など、スタッフ一人ひとりにフォーカスできる機能を設計。社内の最新情報も常に確認でき、「ストライプTV」という動画を週1回配信するなど、社内報の役割も担っています。

トップが率先して活用し、所属や役職の関係ないフラットな関係を実現

▲神田の誕生日会

amilyは、構想から2015年2月の発表まで約半年というスピードで開発されました。社長判断も含めてスムーズに進んだのは、何よりも「コミュニケーションを大切にしたい」という共通認識があったからでした。

神田「社長の石川が一番マメに使っていますし、『いいものだから、率先して自分が使うんだ』と言っています。トップが率先して行動し、みんなでやろうよ、といったらみんなやりますね」

本部の社員や経営層と店舗スタッフが直接やりとりできることで、帰属意識やモチベーションを高める効果があります。ダイバーシティ推進室の二宮朋子は、amily導入前後の変化を強く感じています。

二宮 「私は店舗スタッフからすると先輩の年齢なので、メールで指示したり、依頼をすると怖い人と見られたり、不安を抱かせていたりしていました。でも、パチパチで気軽にやりとりができるようになって、『ダイバーシティ推進室長の二宮さん』というよりは、『一社員の二宮さん』ぐらいの感じで接してくれているなと感じられるようになりました(笑)」

スーパーバイザーや本部・本社スタッフが店舗に行く時は、amilyでプロフィールなどをチェック。異動が決まったスタッフは、amilyを見れば異動先のスタッフを知ることができ、不安を軽減することもできています。顔や趣味など、人となりが見えるおかげで、すぐにコミュニケーションを深めることができるようになりました。

二宮 「入社当初は、売上第一みたいなところがあって……。よくも悪くもピリッとした緊張感があったんですが、人にもっと関心を持つという方向に空気が変わったなと、店長などに接していると感じます」

多くの人のセカンドファミリーになるために――「amily」の可能性

▲社内で納涼祭も実施

当社は、2015年に経営理念を変更し、「セカンドファミリー」を掲げました。

ここに込められているのは、社員同士、スタッフとお客様、スタッフと取引先など、従業員だけではなく当社に関わる全ての人々と、“家族の次に大切な存在といえる関係を築きたい“という想い。そして、それを具現化する存在として、amilyはあります。

神田「amilyは “一文字足すとfamilyになれる関係”と謳っています。Fには『fun』や『favorite』など、新しい楽しみを共有したいというメッセージを込めました」

導入から3年近く経った2017年現在。社内のコミュケーションが活発になったことで、離職率が大幅に低下しました。これはamilyによってコミュニケーション量が増え、関係の質が高まった効果だと捉えています。

また、採用説明会などの際に実演しながら紹介すると、学生たちの食いつき度も高いものがあります。それをきっかけに関心を持ってもらい、結果として、業界紙の調査において「学生が選ぶ就職したい企業ランキング」のアパレル企業部門で1位を獲得。女性が多い企業は人間関係に不安があるというイメージを払拭する効果も感じています。

企業の中には、CMなどの広告に多額の投資をして、社内コストは切り詰めているところが珍しくありません。しかし、当社には、これほどインナーコミュニケーションに投資している企業はないという自負があります。

二宮 「産休、育休で離れている方も癒されると思っています。私もamilyのおかげで会社の情報をキャッチアップできましたし、パチパチが来たりするとうれしくて、助けられました。中途社員として入社したのですが、社内コミュニケーションをここまでケアしているというのが驚いたポイントで、自社が好きな理由でもありますね」

今後も、インナーコミュニケーションの活性化に向けた取り組みを続けていく予定です。現在は、ドライブ10(テン)という企画の中で、社内をワクワクさせるようなイベントを行えるように声をかけ、誕生日会やカフェ会などが自発的に生まれる仕組みづくりも進めています。

神田「リアルな接点も作ろうと、マネージャークラスの人間が全国86カ所を行脚するミッションを与えています。そこで『伝道師の会』といって、経営理念を伝えたりして、セカンドファミリーとしてリアルな繋がりをつくっています」

こうした生まれた社内の一体感は、売上や利益と違い、簡単に消えるものではありません。amilyはスタッフをつなげる媒介となり、さらなる業績の向上や、スタッフの幸福感を高めることに貢献していくでしょう。

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