アスレティックトレーナーを目指した日々

吉開には、マラソン選手に憧れていた過去があります。しかし、膝を痛めて、余儀なく競技を断念。高校ではバスケットボール部のマネージャーとなり、競技を裏方で支えることにやりがいを覚えました。

そこで知ったのが、アスリートが負ったケガの応急処置から、負傷に対しての評価、復帰までのプロセスをトータルで考えるアスレティックトレーナーの存在でした。そして、この仕事に憧れ、体系的な教育制度やプログラムが整っているアメリカの大学へ進学することを決意します。

大学卒業後は日本に帰国してアスレティックトレーナーになる道を選択。大学院で栄養学を学びながら、現場を知るために社会人ラグビーやバスケットボールのアスレティックトレーナーとして経験を積みます。しかし、ここで吉開は日米の考え方の違いに気付きました。

吉開 「アメリカでは、アスレティックトレーナーはアスリートの健康を守り、より良いパフォーマンスへ導く専門職として立場が確立しています。しかし、日本では精神論が根強く、できることが限られてしまうと感じました」

吉開はこれまで目指してきたアスレティックトレーナーから離れるという大きな決断をします。ただ、「運動や健康に関する知見を生かして、人の役に立ちたい」という想いはどうしても譲れませんでした。そこで知ったのが、日本ストライカーです。

吉開 「傷んだ関節を人工関節に置き換える手術で使われる『 Mako』に引かれました。『 Mako』は、アメリカで広く使われており、これから日本でも普及することが期待されている医療機器です。
また、ストライカーにとっても新たな挑戦ともいえます。採用担当者とのメールのやり取りやインタビューを重ねるにつれて、これこそが自分の進みたい道だと感じました」

入社から4カ月で挑戦した試験、そして初めての試練

2019年4月に日本ストライカーのロボティックセールス&サポート部に入社した吉開。入社後はさっそく、MPS(Mako Product Specialist)という社内認定資格の取得に向けて準備をスタートさせました。

MPSは、日本の整形外科領域で初めて承認されたロボティックアーム手術支援システム「Mako」を技術面からサポートするスペシャリスト。すでにMakoによる手術が可能な「股関節全置換術」と「膝関節全置換術」の社内認定資格を取得する必要があります。

具体的には、それぞれ半年ほどの事前勉強や自主トレーニングを経て、海外で数週間に及ぶ専門講師による本格的なトレーニングや実機を使ったロールプレイングに臨むのです。帰国前に行われる試験では手術手技に関する知識と高い正答率が求められ、試験に合格してもなお、指導役社員の監視の下でしか「Mako」を用いる手術の立ち会いには参加できません。

指導役からの指摘がひと言も入らないようになるまで、この実地指導が何度も繰り返されます。安定的にひとりで手術のサポートができるようになって初めて、MPSになれるのです。

入社直後の吉開は、まずは知識を身につけるため、座学や積極的な手術への立ち会いをしました。実機を使ったロールプレイも行い、入社4カ月後には「膝関節」の試験を受けに香港へ。異国の環境への適応力や専門用語に強みを持つ吉開でしたが、極度の緊張とプレッシャーから、最終の実技のデモンストレーション審査で、単純なミスを犯してしまったのです。突きつけられたのは不合格という厳しい現実。失意の中、帰国の途につきました。

吉開 「 CTスキャンに基づく患者さんのデータから治療計画を立て、その計画通りに、『 Mako』を使って医師が執刀します。『 Mako』を技術面でサポートする私たちがしっかり安全確認をしなくてはならないのに、緊張のあまり、『 Mako』のディスプレイに表示された警告を見落としてしまったんです。
単純なミスではありますが、実際の手術ではあってはいけないことだけに、自分自身に腹が立って仕方がありませんでした。
不合格になったときは機会を与えてくれた会社や、根気よく教えてくれた先輩、ロールプレイに協力してくれたチームメンバーに申し訳ない気持ちが一杯で‥‥‥帰りの飛行機ではずっと謝罪のメールを打っていました」

失意からの再起を支えた、十人十色のチームメンバー

入社間もない彼女にとって、最初の試練。帰国後に出社して上司やチームメンバーへの報告に出向くと、驚くべき反応が待っていました。

吉開 「誰からも叱責やネガティブなコメントを言われることはありませんでした。それどころか、次の日には再試験の段取りを整えてくださったのです。
不合格という結果によってメンバーからの信頼を失ったと覚悟していた分、私を信じてくれる仲間や会社の姿勢に心を打たれ、次こそは期待に応えたいという想いが強くなりました」

翌月には「股関節」の試験で再度香港へ。「プレッシャーのないように」と随所で配慮してくれる温かなチームメンバーの応援もあり、前回の失敗を引きずることなく、見事試験を突破しました。最後は自分との闘い──短期間で気持ちを切り替え、合格を勝ち取った吉開のタフネスが垣間見えます。

MPSおよびMPSを目指すメンバーから成るチームは、国籍も社歴もバックグラウンドもさまざまで、ダイバーシティに富んでいます。見事に個性や強みがバラバラな10人は、まさに十人十色といえます。その中でも広い視野で物事を見分け、判断する、「全体を俯瞰で見る」力は彼女の強みです。

吉開 「考え方やバックグラウンドが異なる人が集まる、活気あふれるチームです。新しい組織なので、新たにルールをつくるような場面もあります。
ただ、それぞれの意見を共有することで、アプローチの引き出しが増えますし、新たな視点やその背景にある理由にも気づかされ、とても有意義だと感じますね。
また、尊敬できる先輩も多く、見守られている安心感と、自分の考えを発言しやすい環境とを両立できているんです」

最新の医療機器で医療の向上に貢献する

多様性のあるチームを一枚岩にしているのは、「医療の向上に貢献する」というストライカーのミッションへの深い共感です。

吉開 「最新の医療機器を支える私たちのチームは医療業界の最先端を走っていると自負しています。「Mako」を用いた手術に立ち会う私たちは、術前計画の段階から医師と密にコミュニケーションを取り、ロボティックアーム手術を行う医師を技術面から支えることで、医師と共に医療の向上に貢献できるのです」

入社以来、MPS資格の取得を目指して日々奔走している吉開ですが、日本ストライカーで学んでいることに確かな手応えを感じています。

吉開 「医療の向上には終着点はないと思っています。技術は更新され続け、そのたびに学び続けていかなくてはなりません。新たな技術を学ぶことが楽しいと思える人は、MPSの仕事に向いていると思います」

アスレティックトレーナーを夢見て、渡米した吉開。国境を越えて多くの経験を重ね、今、視線の先にあるのは、常に最先端医療を学び、医療の向上に貢献し続けたいという強い想いです。

2019年11月、吉開は、チームのサポートを受け、米国フロリダにて「膝関節」の試験に再挑戦し、晴れて合格。いよいよこれから「股関節」「膝関節」ともに実地試験に臨み、MPSとしてのスタートラインに立ちます。

チームにはすでに吉開の後に続く新人メンバーも加わり、共にMPSを目指し、切磋琢磨する姿が見られます。これまでチームと共に一歩一歩進んできた吉開だからこそ、後に続くメンバーに対しても同じように受け入れ、支え、そして同じミッションに向かってまい進していくことでしょう。