“レンガ運び”から脱却し、新たなフェーズへーー顧客管理システム「Synergy!」の改革

2014年にYahoo! JAPANグループとなったシナジーマーケティングが提供する「Synergy!」は2005年のサービス開始以来、お客様の課題解決にこだわり続け、CRM活動を支える製品に成長しました。CTOの中山一紀は、2014年の就任と同時にさらなる進化を求め改革の一歩を踏み出しました。
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新たな方向へ舵を切る——開発者出身としての判断

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▲2014年、ヤフーからシナジーマーケティングに来た当時の中山

「Synergy!」は、私たちシナジーマーケティングが提供するクラウドベースのCRMシステムです。

メール配信サービスとしてスタートし、現在では集客、顧客情報の統合・一元化、クロスチャネル・メッセージング、分析まであらゆるCRM活動を支える機能を有します。

海外のマーケティング支援製品が数多く市場に進出する中、「Synergy!」は機能もデザインも“国産ならでは”の、お客様に寄り添った使いやすさと課題解決にこだわってきました。 私たちはこの姿勢を「密着軸」と呼んでいます。 

「Synergy!」だけでお客様の課題を解決できない場合には、コンサルティングやお客様の業務に合わせたシステム構築なども行ってきました。そして、汎用的に使える機能については「Synergy!」の標準機能として搭載することも進めてきました。

しかし、創業から培ってきた「密着軸」の精神でお客様の期待に応え続けてきた一方、プロダクトの保守という観点では隠れた負債も生みだしてしまいました。

2014年に取締役兼CTOに就任した中山一紀は、当時の開発チームの課題を「全方位的に手を広げていたこと」だと考えました。

中山 「全方位的に要望に応えようとすると、お客様の業務や環境に特化した対応が増加します。その結果、クラウドの強みである汎用性を活かすことができず、さらに個別対応の積み重ねが汎用機能の追加を難しくしてしまう、という悪循環が生まれていました。」

 さらに中山は、取り扱う製品の増加や、お客様の業務に合わせたシステム構築案件の増加が、主力製品である「Synergy!」の成長を停滞させる一因となっていると考えました。

中山 「従来弊社の経営層は『お客様にとって何が一番大切か』という視点で判断を行ってきました。だからこそ、たくさんの信頼の声をいただくことができているのだと思います。 しかし、経営層はプロダクトの専門家ではなかったため、機能追加や仕様変更に関するコストの認識が開発者とは異なっていました。
スタートアップ企業のシステムと、『Synergy!』のようにリリースから長い年月が経過し、機能追加や改善を重ねたシステムでは、機能追加や仕様変更に対応するスピード感が異なります。 スタートアップ企業のスピード感で『お客様のために対応してほしい』と要望された開発者は、その対応に追われ、余裕をなくしていたと思います。 
そこに開発者出身の私が入ることにより、密着軸に加えプロダクトの保守と中長期的な成長を見据えた判断を取り入れることが出来るようになりました」

開発者出身の中山が経営に入ることで、「Synergy!」は新たな方向へ大きく舵を切ったのです 。

コミュニケーションの質を高め、不要なものは削ぎ落とす

私たちが提供しているCRMシステム「Synergy!」の強みは、企業とその先にいるお客様とのコミュニケーションが蓄積されるデータベースです。
このデータベースを活用すれば、より効果的なマーケティングができると考えています。 

「Synergy!」には、フォームやメールを通じて企業にとって重要な顧客データが蓄積されますが、その量は多くありません。これを補うのが2014年にシナジーマーケティングがグループインしたYahoo! JAPANのマルチビッグデータです。

これらが補完し合あいコミュニケーションの質を高めることができる。それが、私たちシナジーマーケティングがYahoo! JAPANグループに入ることを決めた理由の一つです。

中山 「このデータを資産として企業が活用できるようになれば、お客様のマーケティングROIを必ず高めることができます。開発メンバーが一丸となり、その方向にプロダクトを進化させてゆくよう、目標を浸透させてゆきました」

データを活用し、質の高いコミュニケーションを目指すこと。
そして、不要なものは削ぎ落とすこと。中山が開発のトップに入ることで「Synergy!」の方向性が明確に打ち出されました。

さらに、質の高いコミュニケーションを実現するため、価値観マーケティングにも力を入れています。以前から活用されていた性別や年齢などの属性情報に加え、お客様の価値観を理解し、価値観に沿ったメッセージを届けることを目的としています。これは、慶應義塾大学大学院の井上哲浩教授の監修のもとで組み立てた、私たち独自の手法です。

中山 「こうした一連の取り組みの中心にあるのは、お客様のマーケティングROIに貢献したい、という想いです」

創業から培ってきた密着軸、そこに根ざすシナジーマーケティングらしい精神は、新しい軸を得た現在も生き続けています。

”レンガ運び”から脱却し、メンバー全員が同じ想いで同じ方向へ

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▲レンガ運びからの脱却(イメージ)(Visual Generation / Shutterstock.com)

開発組織変革を進めるために、中山は現場の社員たちによく声をかけています。
そのとき、繰り返し伝えているのは「大勢でやるからこそ、レンガ運びからは脱却しよう」ということ。 

”レンガ運び”とは、有名なたとえ話です。
レンガを運ぶ職人に何をしているのかを問うと、1人目は「レンガを運んでいる」、2人目は「教会をつくっている」、3人目は「みんなにやすらぎを届けている」と答えたという話--。

中山 「この3人目のマインドセットを持とうというのが、私たちのスローガンです。
最終目的にフォーカスして、なぜそれを作るのかを徹底的に議論してほしい。そして社内のコミュニケーションの質と量を向上させたい。そんな風に考えています」

2017年4月現在の「Synergy!」チームは、企画、開発、インフラなどのすべてのメンバーを入れると、70名以上からなる大きな組織です。

そのメンバーが目的や背景を意識した開発が出来るか否かは、最終的に出来上がるものの品質やスピードに大きな影響を与えます。

最近では、現場の開発者から「開発の背景はなにか」という質問が出てくるようになりました。

最終的になにが求められているのかを理解すること。 そして、それに向かって良質なコミュニケーションをとれる組織に成長していくこと。 

現在、私たちはまさにその成長過程にいます。

コミュニケーションプラットフォームを目指して

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▲画面の前で議論するエンジニアたち

”レンガ運びからの脱却”という言葉を胸に、開発者の意識は大きく変わりつつあります。

そして、開発者出身ではない経営陣もこの状況を理解し、開発組織の声に今まで以上に耳を傾けるようになりました。

中山 「進化を目指すからこそ、まずはそれを支える部分への投資を考えました。具体的には、システムの基盤となる部分の強化です。お客様の大切なデータを安全にお預かりするためにも、今後お客様の課題解決に直結するような機能を追加していくためにも、土台の強化というのは重要です。 
結果、保守を気にしている開発者の悩みも解消し、今後の事業の期待にも応えてゆける準備が出来たと確信しています」(※1)

中山が新たに加えた判断軸。
この軸で方向性が明確になった「Synergy!」は、企業と顧客をつなぐNo.1のコミュニケーションプラットフォームを目指し進化を続けています。こうした中山のリーダーシップのもと、開発者はさらなる結束で一丸となり、よりよいサービスをお客様に提供することを考え続けています。

しかし、まだまだやるべきことは山積みです。

中山 「私たちは『お客様はなぜ必要としてくれたのか』、その理由ばかりを考え続けてきました。ですが、結果的に契約に至らなかったお客様の理由について、もっと考えなければならないと思っています。そうでなければ、コミュニケーションのレベルは上がりません。自己採点しても、まだまだ及第点には至っていません。」

中山がCTOとして参画したことで、新たな可能性を見出したシナジーマーケティング。
今後もお客様の課題解決のため、さらなる成長を続けていきます。 

※1 システムの土台強化について、取り組みの一端を技術ブログで公開しています。
ご興味のある方はぜひご覧ください。 

http://www.techscore.com/blog/2015/12/10/story_of_our_build_system/
 
http://www.techscore.com/blog/2016/07/08/legacy-saas-system-revolution/ 

 

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