3年の鍛錬の果てに見た、3つの流儀

モバイルクラウドを利用した教育アプリ事業を手がけるTANRENは、2017年10月で、創業から3年が経ちました。代表取締役CEOの佐藤勝彦は、「鍛錬を積み重ねてきたこの3年を振り返ると、見えてきた“3つの流儀”がある」と語ります。創業から今日までの歩みを佐藤自身が振り返りながら、この“流儀”をひも解きます。
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明治維新を成し遂げた武士のように、“念い(おもい)”を掲げて取り組む

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▲TANREN代表取締役CEO 佐藤勝彦

2014年10月、私はTANREN株式会社を創業しました。私たちが手がけるのは、クラウドを利用し、動画によるナレッジの投稿や共有、評価を行なうことのできるアプリ「TANREN」です。 (プロダクト誕生秘話はこちら

2018年1月現在、店舗を営む方や大手通信会社の法人営業の方など、100社ほどの企業様にご活用いただいています。

アプリを使うと、接客中の動画やトーク事例、マニュアルなどを共有できることから、「入社したてのスタッフも早い段階で戦力になる」と好評をいただくまでに成長することができました。

創業から足掛け3年。振り返ると、考えうるすべての経験と情熱をつぎ込み、数々の課題をクリアしてきました。

起業の準備段階にあたるシード期は、前職の取引先の担当で、TANRENの立ち上げに賛同した現・取締役兼営業本部長の目野健一と、当社の創業株主も交えて毎晩議論を重ねる日々。

特に印象深いのは、創業前夜です。明治維新を成し遂げた志士たちがそうであったように、私たちも崇高なる“念い(おもい)”を掲げて取り組んでいこうーー。そう決意し、「坂本龍馬巡礼の旅」へ出ることに。1泊2日の日程で高知へ向かい、ギリギリまでTANRENの企画を練りました。

当時、希望に満ちあふれていた私たちは、「経験値システムを取り入れて、RPGゲームのような形にしたい」「なんならゲームに振り切って、『すごろくUI』にしてみては?」など、プロダクトの話をしだすと止まりませんでした。 

あれこれ議論はしたものの最終的にまとまったのは、「営業現場の成功事例(ナレッジ)を、動画で共有(シェア)することに特化しよう」ということ。

「ナレッジそのものを動画で撮影し共有する」という至ってシンプルな機能に磨かれたプロダクト「ナレッジシェアアプリTANREN」は、創業から半年後の2015年04月15日に羽ばたきました。

1年目、鍛錬すべきは「チーム集め」

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▲地道なチームビルディングが会社を成長させる

まず私たちが大切だと考える1つ目の流儀は、「スキルレベルは最低限でいい、“全方位でフルコミットできる人材”を育成すること」。

創業1年目のメンバーは、代表である私と、取締役の目野、さらにはスタートアップの可能性と自由な働き方に魅力を感じジョインした喜田めぐみの3人。とにかく営業現場(運営本部ではなく実際の店舗)を回り、地道に切り開いてきました。

私は、携帯販売の研修講師だった経験を生かし、研修やコンサル案件を受託。また、大手メーカーの営業としてさまざまな店舗を見てきた目野は、その“眼力”を生かし、現場調査レポートをまとめる覆面調査をすることに。喜田も大手家電量販店の経験を生かして現場支援をし、売上を稼ぎ出してきました。

しかし私は、売上を上げることに必死になりすぎていたのです。

プロダクトの改善、PRの工夫、そういったことを後回しにして進めた結果、周りのスタートアップやベンチャーキャピタルから、「圧倒的な現場経験が生かせる営業経験値は突出しているのに、チーム構成がもったいない」と指摘を受けてしまいました。

座して構える代表、行動を起こす営業、その行動を受け止めるサポート。そして、事例を見出す広報に、バージョンアップを繰り返す開発——これが理想像といえるでしょう。

ですが、当時は外部の事業者に業務をお願いしたり、前職時代のサポートを受けたりして、業務をこなしていました。振り返ってみて感じるのは、たとえ経験がなくとも、「専任者」を採用しきちんと育成して4年目を迎えることができたならば、より強い組織になったであろうということ。

2018年1月現在は、バックオフィスをフル回転で回し、ときには営業からサポートまで行なえる喜田が、当社では一番の戦力に成長しました。彼女の成長を見ていると、チーム構成や人材育成の大切さを身に染みて感じます。

2年目、鍛錬すべきは「ストロングポイント」

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▲各種AWARDを受賞
2つ目の流儀は、「全部プロじゃなくていい、“差別化できるスキル”を磨く」。

1年目からスタートアップ向けのピッチコンテストに出場していた私たち。ファイナルまで進出したことにより、メディア媒体などへの露出が増えました。そのイメージから「プレゼンがお上手ですね」「現場力で差がつきますね」など、外部からの評価が上がり、売上に結びつくような魅力的な案件の紹介や、資金調達へと繋がるお話も多数いただくようなったのです。

この経験から私が感じたのは、スタートアップと呼ばれるうちは、まさに“青春期間”だということ。起業してからの3年間には、ありとあらゆる“特典”がついてきます。

ピッチイベントへの参加のチャンスが多いことから、大手企業や著名エンジェル投資家、大手VCまでさまざまな領域の方へのリーチが可能。こんなに簡単にネームバリューある方々に、一度にお会いできるチャンスがあるなど、当時は“魅惑の果実”にしか感じなかったわけです。

この魅惑の果実を逃すまいと研さんを重ねた私たちは、1年目のみならず、2年目も3年目も毎年大規模なピッチコンテストでファイナリストに選ばれたうえ、AWARDを獲得することができました。その受賞を支えたのは「プレゼン資料作成スキル」。他社との差別化スキルとして、プロダクトの未熟さを存分に補完してくれたと感じています。

ただしこのスキルには、危険信号が点滅しています。百戦錬磨で実力を兼ね備えた「猛者」と呼ぶべき企業が自社プロダクトをどんどん切りこんできます。弱さが露呈しないようにと、下手にプレゼンで取り繕うと、見事に玉砕し、体制の脆さを痛感するわけです。

しかし私たちは、セールス講師歴17年の経験を生かし、扱う商材の「価値の提案」「需要喚起」「動機づけ」といった“一点突破の話術”を身につけていきました。この重要なフェーズで、TANRENの魅力的を伝えることができ、今日の成長につながっています。

3年目、鍛錬すべきは「潜在ニーズのキャチアップ」

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▲さまざまな導入事例

極めるべき3つの目の流儀は、「お客様の成功にコミット、“再現性にこだわった成功事例”を連発する」。

3年目を迎えると、これまでとは違うジャンルの企業様も、営業力を上げたいと、TANRENの利活用を希望されるようになってきました。

この時期になると、グロースの為の“魅惑のお誘い”が後をたちません。外資系企業や国内有数のVCからも多額の出資金オファーをいただきました。

出資金があれば開発も軌道に乗せられ、まさにスタートアップにとって理想的ともいえる成長曲線(T2D3)を描けます。視座と事業目標をさらに高くし、得意の「営業」を武器に臨みたいと、私自身も考えておりました。

しかし、営業力のみを売りにして大型調達をしてステージを上げたとしても、体制がまだ未熟な状態では、結果、お客様に迷惑がかかる。加えて当社の社是は「原石を磨き、宝石となす」。この経営ビジョンに際し、現場からボトムアップをする方法の成功事例はできているのか、まだまだ満足のレベルには程遠く、不安でした。

そこで私たちは、「原点回帰」を決意します。自分たちの強みと、プロダクトの課題に寄り添い、お客様の成功において“再現性”に徹底してこだわる。ここに注力すべく、当社は投資だけでなく、事業シナジーを生み出すことを目的としたCVCからの資金調達を決めました。(2017年6月、資金調達をしました

2018年1月現在、私たちは、得意なジャンルの「店舗系ビジネス」において、さまざまな企画を立ち上げ、その有用性や効能を検証しています。

AI連携させ、スタッフの理想的なセールストークの台本(トークスクリプト)を自動で可視化・分析するほか、IoTを活用して接客の最良の事例(ベストプラクティス)を見本動画化することもはじめています。さまざまな実証実験を繰り返し、当社にはお客様を成功に導くデータが蓄積されてきた段階です。

鍛錬を人よりも続けられる人は、必ず成功します。鍛錬の方法が分かっている人は、“大きく成功”します。なぜなら、ほとんどの人が鍛錬を続けられないからです。

鍛錬が続けられないのは、目的がないか、目標を見失っているからです。

“再現性ある成功事例”とは「目的をもって、目標を定め、どうやったら上手に出来るのか?を常に意識下に置くこと」。ナレッジシェアアプリTANRENは、その部分にこだわって開発しています。

“念い(おもい)”のある仲間たちと共に、信念をもって事業を成長させていきたい。私たちは、そう感じています。

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