子どもたちが、心から楽しめる場を目指そう。一歩ずつ耕したプログラミング教室の土壌

埼玉県深谷市にある「深谷パソコン教室・サポート まならく」で、プログラミング教室を担当する真下ユキ(ましも ゆき)さん。サポートを担当するご主人と、二人三脚で「まならく」を運営しています。「自分のやりたいことを追求し続けた」真下さんが育んだのは、誰もがパソコンを好きになれる教室でした。
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“機械好き”が、“人好き”に変わった理由

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▲真下さん(写真左)とご家族

埼玉県深谷市にある「深谷パソコン教室・サポート まならく(以下、まならく)」。真下さんはここで、子どもから大人まで、どんな年齢の人でも学べるパソコン教室と、プログラミング教室を運営しています。

根っからの理系で、機械が好きだった真下さんが人と向き合い、子どもに関心を持つようになったのは、「自分の心に嘘をつかず、本当にやりたいと感じることに取り組む」という道の先に待っていた、思いがけない出会いの積み重ねでした。

将来は、時間的な拘束の少ない仕事を選びたいと感じていた真下さん。そんな彼女が最初に選んだ仕事は、「プログラマー」でした。

真下さん「大学で学んだ機械工学をいかしてプログラマーを選んだ理由は、パソコンひとつで『いつでもどこでも』仕事ができるからです。

理系の科目や機械いじりはなんとなくわかる自信もあって、未経験でもプログラマーはできそうな気がしたんです。設計や開発には興味があったので、ビデオデッキやカーナビの開発に携わりました」

システムをパズルゲームのように組んでいく仕事は楽しく、真下さんはやりがいを感じました。

転機が訪れたのは2004年。家族の都合で実家に戻ったときのことです。

真下さん「家族と一緒に住むことになったので、帰りが遅くなるプログラマーの仕事は探しませんでした。そのため、今まで培ったパソコンの知識をいかして、日中、大人を対象としたパソコン教室で働くことにしたんです」

その後、系列の学習塾での業務を打診され、昼は大人向けにパソコン教室、夜は子ども向けに学習塾で講師をすることになります。

以前から、教える仕事は自分に向いていないと感じていた真下さん。 ところが、少しずつ、子どもたちと接するうちに変化が訪れます。

真下さん「子どもに勉強を教えるなんて考えてもいませんでしたが、実際にやってみると、わかりやすい反応が返ってくることがおもしろかったんです」

子どもの反応をつぶさに観察し、年齢による違いや理解度を知りながら、真下さんは子どもと関わることの楽しさに魅かれていったのです。

映像授業に見出した、プログラミング教育の可能性

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▲プログラミング教室開講当初の様子

深谷市での生活が落ち着いた2015年、ご主人がパソコンの購入相談や販売、設置や設定、トラブル対応など、すべてをサポートする会社を立ち上げることになりました。真下さんも学習塾を退職し、ご主人の事務所に併設したパソコン教室 で、使い方などを教えるサービスを開始します。

真下さん「『まならく』の名前には、『パソコンをラクして楽しく学んでもらいたい』という気持ちがこめられています。せっかくおうちにパソコンがあるなら、便利な使い方を学んで、しっかり役立てて欲しいと考えていました。『まならく』全体で、パソコンを使いこなすためのトータルサポートを目標としています」

「困っている人に来てほしい、困ったときに頼れる場所にしたい」。真下さん夫婦の願いが伝わり、教室へは、仕事でパソコンが必要になった会社員の方や、シニアの方が増えはじめました。

真下さん「レッスンの内容はそれぞれが必要なパソコンの使い方を学ぶもので、年齢に制限はありません。一方で、子どもも対象にしていましたが、受講生は増えなかったんです」

真下さんにも子どもがいて、パソコンに慣れることや、使い方を学ぶことの重要性を感じていました。「子どもたちにもパソコンにふれてもらいたい」。その思いをどのように伝えようかと模索していた2017年、子ども向けプログラミング教育の映像教材を開発していたTech For Elementary(以下、TFE)との出会いが訪れます。

真下さん「プログラミング必修化を受けて、保護者のなかにもプログラミングに対する意識が生まれはじめていました。パソコンはある、教えることにも慣れている。『まならく』のプログラミング教室なら、子どもたちが学べる環境を提供できるのではないか、と考えました。
ただ教材がない。一から作る時間もない。そんなとき、TFEに出会ったんです」

子どもたちがパソコンに触れる機会を増やしたい

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▲「まならく」でプログラミングを学ぶ子どもたち

2017年10月現在、「まならく」のプログラミング教室では、小学校2年生から6年生まで18人の子どもたちが、それぞれのペースでカリキュラムを進めています。

真下さん「TFEは映像教材なので、得意な子はどんどん進められて、時間のかかる子はマイペースに学ぶことができます。一斉授業ではないので途中入会も自由にできますし、講師が自分ひとりでもやっていけるところがメリットです」

一方で、「自分で進める映像授業」ならではのむずかしさを感じることもあります。

真下さん「小学 2年生くらいだと、自分で動画を見ながらマウスやキーボードを操作するのがむずかしい子もいます。見ながら操作をするというふたつの作業を同時に進めることができない。逆に一斉授業なら、マウスやキーボードの操作に集中できることから、付いてこられることが多いんです 」

学習塾で幅広い学年を教え、年齢による違いを分析してきた経験が、低学年の子どもたちへのスムーズな対応を支えています。

あれほどむずかしかった「子どもの集客」が順調に進みはじめた今、真下さんには気がかりなことがひとつあります。

真下さん「ここへ来る子どもたちは、どこで知ったんだろう?と思うくらい、プログラミングに積極的です。『まならく』が参加した地元のイベントやチラシを見て興味を持った子や、なかにはYouTubeを見てプログラミングを知った子もいます。

ところが、保護者にはまだまだプログラミングが浸透していない現実があります。プログラミングどころか、パソコンが一切さわれない、という人も少なくありません」

プログラミングは必修科目になるほど、子どもたちにとって有意義であると考えられているにもかかわらず、パソコンにふれる環境がない。真下さんは「まならく」が今以上に、地元に密着する必要性を感じています。

一緒にいるからわかること、関わってみたからできたこと

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▲地元の商工会が主催する「えん旅」でワークショップを出展

真下さんは、プログラミング教室のあり方については、わが子と同じくらいの年齢の子どもたちが通うことを想定し、お母さんの目線で厳しく条件を吟味します。

そのため、コスト面や受講時間などを含めた「通いやすさ」も重視しています。

自らの運営する教室がその条件に適っているか、基準は明確です。学習塾で子どもに出会ったこと、自身が親となったこと。子どもとの出会いは、ダイレクトに教室のあり方に反映されています。

真下さんがもうひとつ重視しているのは、地域や関係者との連携です。

真下さん「地域にはしっかり密着していきたくて、教室の名前には地名の『深谷』を入れ、イメージキャラクターには深谷市の公式キャラクター『ふっかちゃん』を採用しました。地元の商工会主催のイベント『えん旅』にもプログラミングのワークショップを出店しています」

また、TFEに関わる人とのつながりも大切にしている真下さん。カリキュラム導入の際には代表の尾市に会うため、都内で開催されていたイベントに出向きました。

真下さん「それまでも親身に相談にのってもらっていましたが、お会いしたことで本部をより身近に感じるようになりました。教室を増やすときや、広告の素材がほしいときなど、導入以降もいろいろなことを相談しています。実際会ってみたら、電話やインターネットでお話していた感じ、そのままのアットホームな方でした」

「なんとなくできる気がする」そんな勘を頼りに、人生を決めてきた真下さん。ここと決めた土壌にしっかりと根を下ろし、人とのつながりを育んできました。

真下さん「ほかの加盟教室の方とはSNSでつながっていて、宣伝の方法やイベントの告知など、参考になるアイデアは取り入れて教室の向上につなげています」

自らの感性を信じ、取捨選択を続けた結果、子ども・地域・教室がつながり、子どもたちの将来を育む土壌が整いつつあります。「まならく」は、「子どもたちがリラックスして楽しく学べる場所」として、これからの教育に深く関わっていきます。

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