生化学に興味を持った大学時代──現在への布石

2020年5月現在、戸板女子短期大学で教授をしている私ですが、生まれたのは大阪でした。小学1年生まで大阪で過ごし、父親の転勤にともない新潟へ。大阪弁をしゃべっていたので、言葉が全然違うのに驚いた記憶があります。当時の私は、新潟の周りの言葉に早く合わせようとしていました。

高校までは新潟におり、大学は北海道大学に入りました。両親が北海道出身で、子どものころは、夏休みによく遊びに行き、北海道にはなじみがありました。

北海道大学では、化学が好きなこともあり、工学部に入りました。社会で直接役に立つ化学の知識や技術を学び、就職に生かそうと考えていました。しかし、学部説明会で理学部の先生の基礎研究の重要性と魅力の話を聞き、影響を受け、理学部に入り研究者になろうと思いました。

理学部では、化学の中でも生化学にとくに興味を持つようになり、筋肉の収縮のしくみを研究している研究室に入りました。大学卒業後は、博士号を取ろうと思い、大学院に進学しました。

実験がうまくいかないことも多く、研究が進まなかったりして辞めようと思ったこともあります。しかし、なんとか博士号を取ることができました。終盤の、博士論文作成や、口頭発表の準備が大変で徹夜しながら必死になって取り組みました。

大学院修了後、北大の医学部の研究室で研究員をしばらくやっていたのですが、契約が切れる年、今後について悩んでいたときに聞いたのが、函館短期大学教員の後任を探している話でした。

オープンキャンパスで見た活気ある生徒の姿──戸板女子短期大学との出会い

▲北大の研究室にて右端が私です。理系大学院らしく、研究に明け暮れた毎日でした

函館短期大学は定員60名程度の小規模な短大。さまざまな仕事をしなければなりません。これまで主に大学、大学院で研究だけをしていたので、教員の仕事は色々なタスクがありとても大変でしたが。今の戸板女子短期大学で勤務することにもつながっていると思います。

函館は魅力的な市町村ランキングでたびたび1位を取るようないい街です。しかし、正直なところ人口は減少しており、元気がなく、短大での将来に不安もありました。なので、機会があれば、これまでの経験を活生かし、別な地域での教育に挑戦したいと思ってました。そのときに見つけたのが、東京の戸板女子短期大学の公募でした。

HPを見て短大とは思えない「派手」なイメージがあり、学園祭、地域貢献、企業とのコラボなど学生が色々な活動に積極的に取り組んでいることを知りました。とくに、学生が自分の学校のアピールのために、オープンキャンパスなど頑張っていることが印象的でした。

とにかく、戸板女子短期大学は、活気がある短大という印象を受けました。

楽しみながら理解してもらうために──戸板女子短期大学で工夫した授業

▲大学院時代も北海道にいました。戸板女子短期大学は、東京で恵まれた環境だと思います

戸板女子短期大学では、食物栄養科の生化学1、2と生化学実験を担当しています。生化学とは、人体のしくみを科学的に解明していくという学問分野です。栄養士という食・栄養・健康のスペシャリストを目指す学生には必須で、栄養学などの基礎となる重要な科目であり、同時に全国的に苦手な学生も多い科目です。

実際に戸板女子短期大学に赴任して感じたのが生徒数の多さ。函館短期大学は定員60名程度の小規模な短大でしたが、戸板女子短期大学では、大人数での講義や実習が多い短大。大人数での講義や実習と聞くと、一見、少人数の方が生徒の距離が近かったり、質問がしやすい環境にあったりすると思われるかもしれません。とはいえ、大人数と少人数の異なる体制ではそれぞれの良さはありつつもやはり異なるものです。実際に戸板女子短期大学で、教鞭を取って、生徒への接し方や授業の仕方についておのずと考えるようになりました。

私が心掛けていることは、講義の中で教科書の内容を読むだけではなく、理解してもらうためにはどうかみ砕くか?自分なりに考えて、人間のからだを知ってもらうと思います。短大で初めて生化学を学ぶ学生が、楽しみながら基礎知識を身につけられるように、日常生活に関する話題を盛り込みながら、生体のしくみを解説していきたいと思います。

さまざまな体験ができる環境──戸板女子短期大学でかなえてほしい夢

▲短大生活は2年と短いですが、積極的に取り組んで充実した学生生活を送ってほしいです

戸板女子短期大学に赴任してもう一年ほどたちましたが、私のミッションは、戸板女子短期大学の学生に、生化学のおもしろさを伝えることだと感じています。

現在、生化学の苦手な学生向けの教科書をつくる、ある出版社の企画にも編者として参加しています。実験の科目でわからないことを実験によって明らかにしていくおもしろさがあると思うので、私自身、教科書をつくるのは初めてなのですが、このような経験も生かせるのは嬉しいです。

そして、学生にとって、短大の2年間とはまさに短いキャンパスライフ。だから、何かに思いきり打ち込んでほしいと思います。自分の力を出し切った、やり切ったという体験をしてほしいです。それは、今後の人生においてきっと助けになってくれます。

たとえ社会で困難なことに直面しても、自分は短大のあのとき、大変だったが頑張ったという自信があれば乗り切れるはずですし、またそれがさらに自信になりその先の人生の力に変わると思います。戸板女子短期大学にはさまざまなことにチャレンジできる環境があるので、積極的に取り組んで充実した学生生活を送ってほしいです。

また、私自身は実は東京で暮らすのは初めての「東京ビギナー」で……(笑)。

週末になると神保町のおいしいカレー屋巡りをしたり、歴史的な建物を観て回ったり、明治神宮など東京の名所を巡ったり、東京ライフを楽しんでいます。今後、東京のお勧めスポットを学生から聞いていきたいと思っていますので、ぜひ教えてください。