チョコレートを添えて応援!「本命」の思いを届けるバレンタイン

▲写真左より土屋鞄の前田 由夏、丸山 哲生、Minimal代表の山下 貴嗣さん

革製品のブランドとチョコレートメーカーが、なぜコラボレーションをすることになったのか。実は2020年のバレンタインに向けたコラボレーションが決まり、最初に打ち合わせをしたのは2018年12月でした。

丸山 「もともと山下さんとは知り合いで、『いつか何かの形でコラボレーションができたらいいね』という話をしていたんです。

Minimalさんは、チョコレートの素材となるカカオを厳選して調達し、素材本来の個性を生かしつつ、日本ならではの繊細な味を追求しています。

土屋鞄でも素材から開発し、素材の個性を生かした鞄づくりをしているので、Minimalさんのものづくりには、われわれと近い価値観があると思っています」
山下 「僕たちも、土屋鞄さんが持つものづくりの価値観や、手仕事の温もりを伝えたいという思い、お客様との信頼関係の築き方に、とても共感しています」

今回は、こうした両社のお互いのものづくりへの共感から、共通の価値観を一緒に広めていこうと、コラボレーションが行われました。

丸山 「土屋鞄では、毎年バレンタインシーズンに、デザイン・素材・パッケージのすべてにチョコレートギフトの世界観を織り交ぜた革小物を、バレンタイン限定製品として展開しています。

バレンタインといえばチョコレート。なので、Minimalさんとは、ぜひバレンタインにコラボレーションをしたいと思っていました」

今回のコラボレーションによって実現した企画はふたつ。土屋鞄のバレンタイン限定製品の購入特典としてのMinimal特製チョコレートのプレゼントと、合同ワークショップの開催です。

前田 「今年は土屋鞄として、“本命”を贈るバレンタインにしたいという軸がありました。ここでいう“本命”は、“好き”に限定した意味ではありません。

いわゆる“義理チョコ”のコミュニケーションでも、『ありがとう』や『これからもよろしくね』の気持ちが込められていることが多いと思います。こういう本当に伝えたい大切な思いを“本命”と位置づけ、応援することにしたのです」

思い出も手づくりで。体験の場で深まった共感

▲Minimalさんと土屋鞄が合同で開催したワークショップの様子

そんな“本命”への贈り物として登場した今年の限定アイテムは、「キーケース」。革や金具をチョコレートカラーでそろえ、濃厚なチョコレートを思わせる風合い。シンプルな財布機能を備え、愛用の時間を重ねるたびに味わいを深めていくアイテムです。

前田 「感謝を伝える間柄というと、これから始まるというよりも、すでに関係性が築かれていることの方が多いですよね。ですので、限定アイテムでは、大切な人の日常に長く寄り添えるよう、経年変化を楽しめる素材と高い機能性を大切にしました。

そして、さらに本物のチョコレートを添えることで、よりいっそう“本命”を贈るお手伝いをしたいとMinimalさんにご相談。その結果、ノベルティ用に特製チョコレートをつくっていただけることになりました」

完成したのは、“鍵型”の特製チョコレート。今回は特別にキーケースと対になる、鍵の形でつくられました。

前田 「『愛の南京錠』とか、恋愛のテーマで鍵が関連することもあるので、そういうロマンチックな意味を含めて、ちょっとした遊び心も入っています」
山下 「チョコレートの中身は、『NUTTY』というMinimal定番で人気のチョコレートです。“本命”にふさわしく、奇をてらうのはやめようと、ベーシックな味を選びました」

Minimalさんと土屋鞄が合同で行うワークショップの開催は、土屋鞄からの提案でした。

前田 「大切な思いを伝えるのは、プレゼントを贈るだけでなく、一緒に楽しい時間を過ごし、思い出を重ねることでもかなうと思ったんです」

ワークショップは、ペアでの参加を条件に参加者を募集。2020年1月末、東京・渋谷区富ヶ谷にあるMinimal本店で開催されました。前半は、カカオ豆からチョコレートをつくる体験。後半が革のコースターづくりと、ふたつの制作を楽しめる特別なワークショップとなりました。

前田 「ワークショップに参加されたお客様は、『土屋鞄とMinimalのことはそれぞれ好きだったけど、ブランド同士がつながっていたとは知らなかった!』と、このつながりをおもしろいと感じてくださっていましたね。

実際にお客様が楽しんでいる様子を目の当たりにして、価値観に共感できるブランド同士のコラボレーションには、単純な足し算にとどまらない、想像以上の相乗効果があることを実感しました」

コラボレーションの根底にあったブランド価値の本質

コラボレーションの実施に向けて企画を進める中で、お互いに「学びがあった」と、両社は振り返りました。

山下さんは土屋鞄が「バレンタインに土屋鞄らしい表現をするには、何が大事なのか」を、真剣に考えていたのが印象的だったと語ります。

山下 「“本命”のコンセプトにたどり着くまでの思考のプロセスが勉強になりました。正直、もっと簡単に企画を通せた気がするんですけどね(笑)。

でも逆に、それがすばらしいと思いました。『バレンタインイベントに乗っかろう』みたいな気持ちはなくて、土屋鞄さんがバレンタイン向けのアイテムをつくる意義は何か、お客様にどんな価値を提供できるのかを考え抜いていた。

ブランドの哲学とアイデンティティを感じましたよ。それを好きなファンの皆さんがいるからこそ、企画が成り立つんですよね。

しかも、今回の“本命”という言葉は、強い言葉です。セグメントを切る力がある言葉。それをストレートに使う決断をした背景には、自分たちの確固たる軸があるからだと思います」

また、丸山は他社と一緒に何かに取り組む場合、“ただ、ものをつくっただけ”で終わらないようにしているといいます。

丸山 「ものづくりやブランドの価値に共感した相手とコラボレーションすることを大切にして、お互いの価値観から新しいものを生み出すことを目指しています。

今回のMinimalさんとのコラボレーションでは、お互いの大事にしている価値観への理解が深まったと思いますね。相乗効果ですばらしい企画が実施でき、お客様にブランド価値の本質を伝えるいい機会にもなりました。

今後また、Minimalさんともっと密度の濃いコラボレーションをするとしたら、『土屋鞄味のチョコレート』をつくっていただくとか(笑)」
山下 「実現できたらおもしろいですね。職人同士が良い相乗効果を生む可能性もあると思います。土屋鞄さんの歴史や、これまで大事にしてきたものを教えてもらって、それをチョコレートに込める。

チョコレートに土屋鞄さんのアイデンティティが入っていることを示せれば、ブランドコミュニケーションを豊かにするアイテムになると思います。

そういうものづくりが一番おもしろいし、僕らの技術力を上げるいい挑戦にもなりますね」

日本を豊かにする、世界に届けたいものづくり

今回のコラボレーションによって、ものづくりへの共感がいっそう深まった両社。今後、どのようなブランドを目指していくか。そこにもまた“共通の思い”がありました。

山下 「僕は、2100年を迎えたときに、日本が豊かであることがすごく大事だと思っています。あと数百年程度で、世界経済の過度な発展はある程度行き着くと予想しているんです。

そうなったときに日本はどんな価値を提供して生き残っていくのかというと、そのひとつに、日本人ならではの繊細で、きめ細やかな感性を生かしたものづくりのクオリティがあると思っています。

本当に良いものをつくれば、日本のすばらしい技術が世界で認められ、職人さんが胸を張ってものづくりに取り組める。そういう社会になったら、この国がずっと幸せである気がするんです。

2100年に僕は生きていないですけど、そういう日本発のブランドがあふれることを願っています。土屋鞄さんは、すでにそういうポジションにいますが、僕たちもそのひとつになりたい。

Minimalの職人が、おいしいものをつくることだけに集中できる環境をつくりたいです。それが、カカオ豆の生産者を豊かにすることにもつながりますよね」

丸山はもっとものづくりに注力して、土屋鞄の製品のデザインや質を高めていく必要があると言います。

丸山 「いいものをつくれないと、世界とは戦えないと思います。それにブランドが栄えるだけではなく、もう少し広い範囲で盛り上げることもできたらいいですよね。

土屋鞄も『日本のものづくり全体を変えていきたい』という思いがあります。土屋鞄以外も含めて、日本でものづくりに携わっている人々を幸せにできるといいなと」

さらに、多くの職人さんが技術研鑽を続け残っていくためには、独立という選択だけでなく、企業がしっかりとものづくりに取り組んでいくことが大事です。

山下 「技術力の高い職人さんが企業に属し、企業を通して、製品を届ける。良いものをつくりながら、世の中に価値を還元して、自分の生活も豊かにしていく。

個人の時代は、結局チームの時代。個と個が有機的につながって、チームでどうアウトプットを高めていくか、という時代だと思っています。企業で、高いクオリティのものをつくり、世の中を幸せにする。

規模を拡大しながら、成長していく。それを土屋鞄さんが実現していることは、僕らにとって勇気と希望でしかない。僕らもそうなりたいと思っています」

土屋鞄とMinimal。どちらも日本のものづくりを世界に伝えていきたいという思いは変わりません。これからも、本当に良いものをつくるためにそれぞれ挑戦していきます。