スキルの幅を広げる。梅華会の考える真の働き方改革

▲梅華会のスタッフは、医療事務以外の仕事に積極的にチャレンジしている

「医療事務」──そう聞くと、病院の受付や診療報酬に関わる書類の作成などが中心、というイメージを持つ人も少なくないかもしれません。

しかし、梅華会では、医療事務スタッフの9割がマーケティングや人事、イベント企画などの業務に挑戦しています。その上、自分が身に付けたいスキルに応じて、マーケティングや一流ホテルのスタッフなど、その道のプロの研修を受けることもできるのです。

医療事務スタッフに成長の機会を与え、多様なキャリアパスを用意する。これこそが、梅華会が進める「働き方改革」です。

具体的には、医療事務以外の職種に挑戦できる「総合職制度」、一流のスキルを持った人たちの研修を受けられる「外部研修制度」、医療事務以外の仕事を在宅で行う「在宅勤務制度」を実施。3つの制度で、スタッフの成長をバックアップします。

なぜ、成長の機会を与えたり、キャリアの門戸を広げたりすることが、働き方改革につながるのでしょうか。人事部の杢尾辰徳はこう考えています。

杢尾 「医療事務の仕事は、患者さんが仕事終わりに来院しやすい夕方以降に仕事が集中するため、時短勤務などを活用して早く帰ることは難しい状況です。そのため、子育てと両立できないと判断し、辞めてしまうスタッフが後を絶ちませんでした。

そこで、スタッフ自身の仕事の幅を広げ、時短勤務が可能な仕事もできるようになれば、スタッフが退職という道を選ばずに済むのではないかと考えたんです。

さらに医療事務の仕事は、近い将来 AIなどにより自動化されるとも言われています。もし、医療事務の仕事がなくなってしまったとしても、活躍できる力を身に付けてほしいという想いもありましたね」

スタッフ自身のスキルの幅を広げることで、ライフステージが変化しても働き続けられる環境をつくろう──。そんな想いから始まった働き方改革は、梅華会にどんな変化をもたらしたのでしょうか。それぞれの制度ごとに見ていきます。

求めているのは、患者さんの満足度を上げるために、課題を解決する人

▲制度の企画・運用を行う人事部の杢尾辰徳

医療事務にとどまらない、幅広い仕事が経験できる「総合職制度」。医療事務の業務と兼任する形で、マーケティングや人事、イベント企画などを行います。

2019年現在では、医療事務スタッフの9割がこの制度を活用していますが、導入当初は1割程度しか挑戦をしていませんでした。

杢尾 「当初は、『自分にできるか不安だ』という声がスタッフから上がりました。どうすればこの制度を使ってもらえるのか……とにかく考えましたね。

でも、スタッフと何度も話をしているうちに、仕事内容をよく知らないから不安に感じているだけだと気づいたんです。そこで、総合職制度を活用している社員に、社内チャットで日々の仕事の様子や会議の内容をシェアしてもらうことにしました」

それ以来、社内チャットには「広報としてあるスタッフが入職してから今までの軌跡などを記した社内報をつくりました」「先日外部クリニックの50名ほどの医療事務スタッフに向けて、セミナーを開催しました」など、総合職制度を活用する社員からの日々の報告が並びました。その様子を目の当たりにするうちに、少しずつ総合職制度を活用するスタッフが増えていったのです。

杢尾 「興味を持ってもらえるように、当事者に発信してもらうってことはすごく大切だと、この変化を見て感じました。それこそ、旅行のパンフレットを見たら旅行に行きたくなるような……その感覚と似ているかもしれませんね」

そして、ほとんどのスタッフが総合職制度を活用している現状を踏まえ、梅華会はスタッフ採用の方針も変えました。

杢尾 「もはやうちは、『医療事務』としてスタッフの採用をしないようになりました。『医療事務』という職種で縛るのではなく、『患者さんの満足度を上げるために、課題を解決するスタッフ』という形で採用しているんです。だからこそ、患者さんの満足度を上げるために自分は何ができるのかを考え、自ら行動を起こせる人材が求められています。

採用の方針を変えてから、応募してくる人のタイプが明らかに変わりましたね。『事務職の仕事をしたい』というタイプの人ではなく、『患者さんのために自分で考えて、さまざまな経験を積みたい』というタイプの人が応募してくるようになりました」

自ら考え、目的を達成するために必要なキャリアを選び取っていく。その積み重ねが、AIでは代用できないスキルの取得につながっていくのです。

スタッフの「成長」のタイミングを見極める。リーダーとの連携の大切さ

▲スタッフは研修の内容やタイミングを自身で決めて参加する

医療業界以外の世界にも目を向け、視野を広げることで自らの成長につなげてほしい。

そんな想いから、梅華会の「外部研修制度」はスタートしました。

たとえば、知見を広げるために、鹿児島県の知覧特攻記念館を見学したり、目標を達成するためのマインドセットを学んだり、さまざまな研修があります。

しかし、制度を導入してみたものの「研修を受けたが、普段の業務にどう生かせばいいかわからない」という意見があがりました。

杢尾 「正直、当初は思っていたような効果を得られませんでしたね。自分の学びたいことと研修の内容がフィットしていた人は、研修で学んだことを業務に生かしていましたが、そうでない人にとっては、あまり意味のないものになってしまっていたんです。『ただでさえ業務が忙しいのに……』という声も聞かれました」

そこで考えたのが、「研修の内容や受けるタイミングを本人に決めてもらうこと」。

当初は、法人側で研修の内容や受けるタイミングを決めていました。しかし、スタッフ自身が「成長したい」と感じたタイミングで、そのときの興味に合った研修を受けてもらった方が、遥かに効果が大きいと考えたのです。

そこで、スタッフのタイミングを見逃さないように、毎月、各部署のリーダーとスタッフの面談を実施。リーダーはスタッフが感じている課題や興味を引き出し、適切な研修を提案していきます。その結果、スタッフの反応が少しずつ変わっていったのです。

その変化を見て、杢尾はある気づきを得ました。

杢尾 「スタッフが成長していくためには、リーダーがいかにスタッフを理解しているかが重要だと感じました。

やはり、面談を進める上でも、リーダーはスタッフの状態を見極め、本音を引き出していかないと適切な方向に導くことができません。事実、リーダーがスタッフの特性を見極めているチームは、研修を意欲的に受けていて、成長のスピードが速いですね」

そして、最後にご紹介する「在宅勤務制度」。こちらは、医療事務以外の仕事を自宅でできるようにすることで、育児中でも仕事と両立しやすいようにつくられたものです。

しかし、制度を使うスタッフの習熟度によって、仕事のスピードにバラツキが出てしまうという課題が生まれたのです。そこで、この制度を「許可制」にすることにしました。ひとりで業務を遂行するスキルがあるか、そのスタッフのスキルを見極めた上で、どんな仕事を在宅でやってもらうのかをチームのリーダーが見極めていきます。

許可制にしたことで、杢尾は外部研修制度と同じく「リーダーの力量」の重要性を感じました。

杢尾 「在宅勤務のデメリットとして、コミュニケーションを取りにくいことが挙げられます。たとえば、ちょっとした不明点があっても気軽に質問がしにくかったりしますよね。

だからこそ、リーダーがスタッフの力量やスキルを正確に把握していないと、仕事のスピードが落ちてしまったり、不安感が大きくなってしまったりします。仕事の生産性を上げて、スタッフに自信を持って仕事に取り組んでもらうためにも、リーダーがスタッフのことを的確に把握する力が求められるのだと感じましたね」

成長意欲のある人にチャンスを与え続けていく

▲クリニックセミナーフェスに出展したときの様子

働くスタッフのスキルと働き方の可能性を広げるべく行われた、梅華会の働き方改革。杢尾は、スタッフの成長を目にする中で、感じたことがあります。

杢尾 「人の成長は、尊いものだと日々実感しますね。仕事やスキルの幅が広がったことで以前よりやりがいを持って仕事に取り組めているという声や、自分がいる意義を感じられるようになったという声が上がっています。

単に仕事ができるようになっただけではなく、彼女たち自身が自分のいる意義ややりがいを見いだしたという、“気持ちの成長 ”が何より嬉しいです」

成長を遂げたスタッフが、やりがいを持って取り組める環境を整えていきたいと語る杢尾。その上で、今後取り組みたいことがあります。

杢尾 「スタッフがどんどん成長を遂げていくためにも、リーダーの力が必要だと感じます。梅華会の働き方改革は、働きやすさ改革ではなく、スタッフが成長し、自分の武器を身に付けていくことにあります。

だからこそ、スタッフの良さを見いだし、共に育つことのできるリーダーがひとりでも多く生まれるよう、今後はリーダーの育成プログラムなどをさらに良いものにしていきたいですね。先日はスタッフとの面談をより効果的に行うことができるようになるために、コーチングのプロに研修を行っていただきました。

リーダー同士でロープレを行い、どのように会話を進めていけば本音を引き出すことができるのか、実際にプロに見ていただきながら行ったことでかなり手ごたえを感じています」

梅華会で働き、成長できたことがスタッフの生きがいになるように──。

これからも梅華会は、スタッフの成長を後押しし、見守り続けます。