他社でも他業界でも活躍できる人財を輩出する――梅華会がめざす成長できる職場づくり

医療事務の仕事は、待遇や労働環境などの理由で、女性が長く働きつづけられないことがあります。医療法人社団梅華会では、一人ひとりが少しでも長く働ける制度やキャリアステップを用意。多くのスタッフに成長をうながす仕組みをつくり、運用してきた梅華会の取り組みを紹介します。
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将来AIに取って代わられない価値を一人ひとりが身につけてほしい

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▲人事部の小野美華(左)と杢尾辰徳(右)。女性スタッフが働きやすい環境づくりに取り組んでいる

梅華会は、兵庫県内に耳鼻咽喉科と小児科クリニックを合わせて7院展開していますが、全スタッフの約8割が医療事務スタッフです。

医療事務の仕事は、ほぼ全員が1年半ほどでこなせるようになります。そのため、キャリアを描きにくかったり、成長意欲を高めにくかったりしていました。

人事部の杢尾辰徳は、医療事務の仕事は、続けていくのが難しいだけでなく、続けていくリスクもあると考えています。

杢尾 「医療事務の仕事は、近い将来なくなるといわれている職業のひとつです。AIに取って代わられる可能性があると。
だから医療事務だけではなく、経営企画や人事、マーケティングなど、別の仕事を通していろいろな経験が積むことが大切です。そうすることで、給与水準も上がりますし、働き方の融通もききやすくなると思っています」

そして、理事長である梅岡比俊の「女性が成長し、活躍できる環境をつくりたい。働くうえで不安を少しでもなくしたい」という想いがきっかけとなり、「女性の働き方改革プロジェクト」が発足しました。

人事部共育担当(※梅華会では「共に育つ」と書いて共育課としています。)の小野美華は、チームの一員であり、2018年11月現在は育児休業中でもあります。

小野 「今、法人内でも、職員の結婚や出産が続いています。私自身も以前でしたら、退職した方がいいのかなと考えていました。出産後に復帰している先例がなかったので。
しかしそうした中で、『みんなが長く働けるような職場にしたい』という想いをもつ人たちがいることを知りました。そこで、チームとしての活動をはじめたんです」

女性たちがキャリアプランを描きやすく、産休・育休後も働きやすい職場を目指して、梅華会は付加価値のある人財育成の取り組みをスタートさせました。

キャリアプランや働きやすさを考え、外部研修・総合職・在宅勤務を導入

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▲リッツカールトンでの研修。“一流”のサービスを学んでもらおうと、外部研修を実施している

もともと梅華会は、医療業界以外の世界に触れる重要性を意識し、「外部研修」を行なっていました。たとえば、ディズニーランドやリッツカールトンから一流のサービスを学び、マニュアルを越えた対応などを肌で感じられる研修があります。

杢尾 「とにかく“一流”であることを大事にしています。研修の費用は決して安くはありません。しかし、研修を受けた人が後輩たちにその経験をシェアすることで、その人自身も学びを定着させることができます。
そして、業界内にとどまらない広い世界を感じた後輩たちは、自分ももっと視野を広げたいと思ってくれる。そういう相乗効果が生まれている気がします」

また、2016年から医療事務以外の職種にも挑戦できるよう、「総合職制度」を設置しました。医療事務との兼務という形ではありますが、本人の希望や適性を考慮してマーケティング・人事・経営企画などの部署に配属していきます。

この制度を活用して、一人ひとりが業務の幅を広げているのです。

小野 「最初は医療事務以外の職種の経験者がいなかったので、本当に手探りでした。たとえばマーケティングをはじめたスタッフは、セミナーを受けに行ったり、本を読んだりして、自分で切り拓いていったんです。『はじめはなかなか成果が出なくて、すごく苦しかった』と言っていましたね」

当初は、医療事務の仕事の合間をぬったり、残業をしたりしながら知識や技術を習得していきましたが、現在は医療事務以外の仕事に専念できる時間を業務時間内に取れるようになっています。

ふたつの取り組みに加えて、「在宅勤務制度」も採用。医療事務の仕事は基本的にクリニックの中で行なわれるものですが、マーケティングなどの他職種の仕事であれば、在宅でもこなすことができます。

つまり、「総合職制度」の浸透とともに、「在宅勤務」の活用も増え、さらに「時短勤務」など、働き方の多様化が進んでいくと私たちは考えているのです。

その結果、産休・育休後の復帰に対する不安が軽減。かつては妊娠によって全員が退職していたのですが、制度導入後は妊娠での退職者が0人となっています。

この取り組みによって、梅華会スタッフの働き方は変わりはじめています。

制度を導入したことで当事者意識が高まり、仕事に積極性が出てきた

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▲総合職制度を活用し、人事部として働くスタッフ。少しずつ総合職に挑戦するスタッフが増えている

産休・育休を取得するスタッフだけでなく、必要なときに在宅勤務を行なうケースも出てきました。

杢尾 「この前の台風(2018年9月)のときは、正社員のほぼ全員が在宅勤務をしていました。当法人では『閑散期にやることリスト』をつくっているので、それを在宅の仕事としてそれぞれ行なっていましたね。リーダーと連携をとりながら、冷静に対応できたと思います」

総合職制度が定着し、一人ひとりの業務の幅を広げることはできました。ですが、課題もいくつか発生しています。

そのひとつが、「勤務時間と仕事量のバランス」。医療事務の仕事をしながら別の業務も担うため、プレッシャーや体力的な厳しさを感じるスタッフが出てきます。

杢尾 「業務量自体は増えたと思います。診察の空き時間などができたときに、それまではひと息つけていたところを別職種の仕事に充てるようになり、体力的なきつさを感じる人もいたのではないでしょうか」
小野 「クリニックの受付業務などとは違って、たとえばマニュアル作成など、別職種の仕事は期限があります。普段、期限のある仕事を抱えることがなかった分、タスクに追われているように感じることもあって、慣れるまでは大変だったなと思います」

しかし、小野は社員の意識の変化を感じ取っていました。

小野 「導入当初より今の方が断然、雰囲気も取り組む姿勢も全然違うと感じています。少しずつ当事者意識が高まってきて、『手が空いた時にこれをやろう』というふうに、スタッフが自主的に考えて取り組めるようになったと思います」

「新たな仕事に挑戦できたことで、自己成長できた」「よりやりがいを感じることができるようになった」など、スタッフからは好意的な声が多く聞かれます。

また、ほかの職種を経験したことで、「医療事務の仕事に集中したい」というスタッフも出てくるなど、自らの仕事やキャリアについて考える機会になっています。

ホテルマンやCAと肩を並べる接遇を、医療業界全体につくっていく

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▲外部のクリニックスタッフに向け、セミナーを開催する機会も増えてきた

梅華会のビジョンは「日本一のモデルクリニックになること」です。そのための取り組みとして、3つの制度は大きな前進をもたらしたと考えています。梅華会のスタッフが、外部のクリニックスタッフ向けにセミナーを開催するなど、クリニック内にとどまらず、医療業界全体に寄与したいという姿勢もあらわれてきました。

杢尾 「他院や他企業にこの取り組みを伝えることで、少しでも働き方改革の参考にしてもらえると嬉しいですね。働き方の改善につながり、スタッフが明るくイキイキと働くことができれば、患者さんへのサービスも向上し、社会全体が活気づくことにつながると思います」

このように考えるのは、「梅華会でも他社でも活躍できる人財育成」を目指しているから。一人ひとりのスタッフと“人”として向き合い、考え方や物事のとらえ方を磨いてもらうようにしているのです。

小野 「就職は結婚と同じというような考えで、就職してくれたスタッフには、仕事のやり方だけではなくて、考え方や人としてのあり方も教育しています。梅華会で頑張って成長した人が、ほかの企業でも活躍できる人財になってほしいと思っているからです。
決してスタッフを入れ替えの利く“コマ”とは考えません。長い時間をともにするメンバーだからこそ、梅華会から離れても、その後の成長を願うことができるんです」

2018年現在も保育施設の設置や、フレックスタイム制、副業など、スタッフのための制度の導入を検討。今後は、ママさん旅行など、梅華会らしい取り組みも行ないながら、働きやすい環境を整えていきます。

私たちは近い将来、医療従事者の接遇がホテルマンやキャビンアテンダントなどと肩を並べられると確信しています。

そして梅華会は、気持ちから患者さまをサポートできるクリニックであり続けたいと願っています。

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