プロダクト進化の“起点”になるーー顧客に正面から向きあう「board」が考えるCS

2014年8月にスタートした中小企業のためのクラウドサービス「board」は、2016年に2周年を迎えました。おかげさまで多くのユーザーのみなさまにご利用いただき、“即レス”による手厚いサポートに高評価をいただいています。今回は、代表の田向祐介が考える「CS」についてお伝えします。
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問い合わせへの連絡には即レス! マニュアルなしの個別対応が高評価

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▲回答時間の中央値を毎月の実績として公開(毎月5〜10分程度)
board」は見積・請求書を起点として、経営をサポートするクラウドサービスです。2010年末に創業したヴェルク株式会社が、2014年8月にスタートしました。2016年現在、有料サービスの利用企業は590社以上。さらにその継続率は、99%を維持しています。

現在、主にCS(カスタマーサクセス)を担当しているのは、代表である田向祐介自身です。「board」では、電話や訪問によるサポートを行っていません。普段はチャットをメインに利用しており、基本は“即レス”。会議などでどうしても返信ができない場合を除き、5~10分で問い合わせにレスポンスしています。

田向「私としては、ごく普通に行っていたサポートなんです。でもレスポンスの早さが功を奏したのか、いつの間にか『boardのサポートがすごい!』と評価をいただいていたようです」
この“即レス”によるCSが生まれた土壌は、ヴェルクがこれまでに取り組んできた受託業務の中にありました。受託開発に社内で取り組む場合、誰かひとりの手元でボールを止めてしまうと、ほかの人の作業が止まってしまいます。そうすると業務全体が滞り、作業効率が落ちてしまうため、「レスはすぐに返す」という姿勢が基本中の基本でした。

田向としては、そうしたスタンスを自社サービスでも継続したにすぎなかったのです。

田向「メールではなく電話でのサポートの要望を頂くことがたびたびあり、なぜかと聞いてみると『メールだといつ返ってくるのかわからないから』と言われたことがありました。それなら、つながるかどうかわからない電話より、チャットのほうが便利なんですよね。 “即レス”を評価いただいたこともあり、boardではチャットによるサポートを大々的に告知することにしました」

チャットによって顧客の課題を引き出し、いかに成功に導くか

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チャットでのやり取りをする際に、もうひとつ、お客さまに喜んでいただいているのが個別対応です。boardでは、質問に回答する際のマニュアルやテンプレートなどを用意していません。対応する人によって、言い回しや説明の丁寧さなどを臨機応変に変えているのです。

田向「チャットで会話をしていると、何となくどんな会社の人なのかわかります。経理の方なのか、それとも役員の方なのか、そうした雰囲気も判断できます」
近年では、「CS=カスタマーサポート」ではなく、「CS=カスタマーサクセス」と捉えることが増えており、boardもそれを重要視して取り組んでいます。私たちのCSが目指すのは、顧客の事業を成功に導くことーー。お客さまがつまずいていることに対する操作方法を教えるだけでなく、相手の悩みを解決し、目的を達成するための手助けをする必要があります。

ユーザーの方々は、何かしらの目的を達するためにboardの操作をし、どこかでつまずいてサポートに連絡してきます。しかし実は、その操作を理解しただけでは本来の目的を達成できない、ということがよくあるのです。

相手が本当は何をしたいのか、どんなことをboardで実現しようとしているのか……。そうしたニーズを相手から引き出し、作業のずっと前の“一歩目”からサポートしていく必要があります。

完全なサポート未経験で、今でも自分のことを「サポートには向いていない」と思っていた田向ですが、実は「カスタマーサクセス」に近いバックグラウンドをすでに持っていました。

田向「私が最初に働いていた会社では、クライアントにがっちり入り込むスタイルでシステム開発を行っていました。システム開発の仕事で大切なのは、相手が抱える悩みを聞き取り、それを解決するお手伝いをすること。だからboardのサポートスタイルも、私にとってはごく当たり前の対応だったんです。“ユーザー”というよりは、“クライアント”ですね」

一人ひとりのお客さまと、もっと真正面から向き合っていきたい

そもそも、boardは、田向が自社の業務に必要だと考えて開発したシステムです。しかしそのニーズは他社でも同様だと感じ、多くの中小企業で役立ててもらうためにサービス化。少しずつユーザーのお客さまが増え、クラウドサービスとしての認知も上がりつつあります。

しかし田向は、ある課題を感じていました。それはお客さまとの関係性がまだまだ希薄であること。boardはまだ規模が小さいサービスであるため、丁寧に一人ひとりのお客さまと向き合い、じっくりとサポートしていく必要があると考えたのです。

田向「受託開発の場合は、少なくとも数ヶ月から数年にかけてお客さまとやり取りをするので、そこで信頼関係が生まれます。しかしboardのような自社サービスの場合、相手からコンタクトしてくれるケース以外にユーザーと関係性を築ける機会がありません。だからこそサポートの部分で、もっとがっつりユーザーと向き合っていきたいんです」
とにかくユーザーと正面から向き合い、コミュニケーションを取りたい。お客さまが抱える課題を、一つひとつ解決して本当の意味で“カスタマーサクセス”を実現したい――。田向はそうした思いを一層強くしています。

田向「boardは多数のユーザーを抱えるクラウドサービスですが、そのお客さまは受諾開発のクライアントと同じだと捉えているんです。冷静に考えれば、コストが合わないですけど(笑)でもカスタマーサクセスを目指すなら、重要なことだと思っています」
たとえば、地方のお客さまが東京にいらっしゃる際に「相談したい」とご連絡をいただき、お会いすることもあります。今後はユーザーとサービスの開発側が直接話せる機会として、ミートアップイベントなどの開催も視野に入れています。

「CS=カスタマーサクセス」を起点として、プロダクトの進化につなげる

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一人ひとりのお客さまと丁寧に向き合うこと――boardのサポートはそれを信条としていますが、ユーザーが増えれば増えるほど、田向だけでは手が足りなくなりつつあります。

CSといっても、当社の場合はコールセンターで働くわけではありません。あくまでも、目的は「カスタマーサポート」ではなく、「カスタマーサクセス」。CSを担当する社員には、ユーザーに近い立場で、「board」というサービスを拡大していくためのフロントになってほしいと考えてます。

田向「私たちのような小さな会社では、CSがサービスの生命線になります。顧客と接するその一瞬の印象が会社の評価につながるので、CSのレベルは絶対に落とせません」
CSはお客さまとダイレクトに接することができる唯一の窓口でもあります。だからこそ田向は、「CS=ブランディング」としても過言ではないと考えているのです。

さらに、CSを起点としてさまざまなご意見やご要望を聞き、それを実践してきたことが、boardの進化にも大きな影響を及ぼしていきます。

田向「たとえば、現在board上で利用できる書類のデザインを調整できる機能は、お客さまからの顕在化したご要望ではなく、日々のやり取りの中で潜在的に感じていたニーズを形にしたものです。正直なところ、私自身はそこまで必要性を感じていませんでした。しかし実際にリリースしてみると、想像をはるかに超えるユーザーのみなさまにご利用いただくことができたんです。CSは本当に重要ですね」
高いレベルの対応力が求められるCSの仕事ですが、さまざまなメリットもあります。まず、ユーザーのみなさんを通して、とにかく多様な業界を見ることができる点。商習慣のまったく異なる世界に触れられるのはとても楽しいものです。さらにそうした知見を蓄積することが、自分自身の引き出しを増やすことにもつながるでしょう。

私たちは、「board」をサービスとして成長させ、中小企業のバックオフィス業務を効率化するという目標を掲げています。請求処理や管理業務の効率を上げ、経営に必要な数字を見える化し、経営者の時間的・心理的負担を減らしていく――それを実現するためにも、田向がひとりで貫き通してきた「カスタマーサクセス」の姿勢を、新たなメンバーへと受け継いでいきます。

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