100万人にリーチ、で、どうなる?エンゲージメントまで追いかけるVintomの流儀

ポカリスウェットや牛角など、ダンスを軸にSNS、イベント、映像を駆使したブランドプロモーションを多数手がけるVintom。2017年現在はマイクロインフルエンサーという新しい概念に着目したプロモーション支援をスタートしています。この取り組みの詳細について今回、代表取締役社長の愛甲準が語ります。
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日本、そして世界チャンピオンですら、給与は新卒の“初任給”以下

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▲元ダンサーとして、俯瞰的な目線から業界を変えていく
まず、Vintomについて少しだけお話しをさせていただくと、僕がこの会社を設立したのは今から約2年前、2015年10月のこと。ダンサーのプロダクション事業を目的として始めました。

そこから、日本一の大学ダンスサークルを決める「Japan Dancers’ Championship(JDC)」や“ファッション×ダンス”をテーマにした「FASHION DANCE NIGHT」などの企画・運営を行うイベント事業に加え、ダンサーのネットワークを活用して企業の広告宣伝活動を支援するブランドPR事業も展開しています。

我々が展開している事業を見ると、「結局何がやりたいの?」と思うかもしれませんが、事業を通じて“やりたいこと”はシンプルかつ明確です。

ダンサーの生きる道を作りたい——この想いのもと、ダンスを軸とした複数の事業を展開しています。多くの人はご存知ないかもしれませんが、ダンサーを取り巻く環境は極めて厳しく、仕事はすごく限られているのです。

アーティストの振り付けやバックダンサー、ダンススクールのインストラクターになるくらいしか仕事がないなど、単純にダンスのパフォーマンスだけで食ってはいけないのが現状です。

どんなに日本のコンテストで結果を残しても、世界の由緒あるコンペティションで優勝したダンサーでさえ、インストラクターの先生をしないと食べていけないというのがダンス界の現状なんですね。

もっとダンサーがダンサーとして活躍できる場をつくり、稼ぎ口を増やす。そのためにVintomを立ち上げましたし、新たに始めたブランドPR事業もその一環です。

この事業は、簡単にいうとダンサーを活用した企業のプロモーション支援なのですが、想像以上に反響が大きくて。これまでにウォルトディズニーやNIKE、大塚製薬、エステティックTBCといった、多くのナショナルクライアントのプロモーションを担当しました。

実際、焼肉レストランチェーン「牛角」を運営するレインズインターナショナルのプロモーションではWebサイトにアクセスが殺到。一時、サーバーがダウンするほど盛り上がりました。

そうした実績もあってか、2017年現在ではインバウンドで年間100件を超える案件を抱え、手が回らないぐらいの依頼を頂けるようになり、少しずつ需要が高まってきているのを感じています。

これからは、マイクロインフルエンサーが求められる時代へ

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▲手がけた牛角のプロモーションは一時、サーバーを落とすほどの集客
少し話を変えて。昨今、“インフルエンサーマーケティング”が一種のブームとなり、企業のプロモーションを支援するプレイヤーが増えています。が、果たして望んだ効果はもたらされているのでしょうか?

答えは、NOです。

多くの企業はリーチするのが難しい大学生へのリーチを狙い、若者のフォロワーをたくさん抱えたモデルやタレントを活用し、商品のプロモーションを行っています。ただ近頃、効果が出なくなってきている。それはなぜか?フォロワーがインフルエンサーの投稿を「広告」だと思い始めたからです。

実際、フォロワー数を重視していた企業は、我々のところに「効果が出なくなってきているが、どうすればいいか?」と相談してくるようになっています。たとえ100万人のフォロワーを抱えていたとしても、ユーザーが投稿に反応してくれなければ、広告効果はないわけなので。

じゃあ、どうすればいいのか?「本当に商品やサービスを愛してくれるユーザー」を巻き込めばいいのです。

Vintomの考えは、 “エンゲージメント率”の高さを重視すること。要は100万フォロワーを持つ人が1回投稿するよりも、ちゃんと商品やサービスを愛してくれる1000人のフォロワーを持つ人が1,000回投稿した方が広告効果は高く、価値があると思っています。

そこで、Vintomはダンサーを中心に1,000人ほどのフォロワーを抱えた“マイクロインフルエンサー”のネットワークを形成しています。それを活用し、簡単に1,000回ほど投稿してもらえるような仕組みを作りました。ちなみに、エンゲージメント率もかなりの数字を残しています。

この要因ですが、プロモーションにダンサーを活用しているというのが、すごく大きいですね。ダンサーは下積みの時代が長く、苦労している。それでいて、稼ぎ口はバックダンサーや振付師、インストラクターくらいしか選択肢がないんです。

なかなか表舞台でパフォーマンスする機会がないからこそ、企業からパフォーマンスの機会を与えてもらったときはすごく感謝するし、全身全霊で表現する。

その結果、ブランド・商品のことを心から好きになるため、「積極的にこのブランドを広めたい」というモチベーションで投稿を行なってくれる。するとその投稿は広告ではなく、あくまで“いちファン”の投稿になるので、エンゲージメント率も高い数値になるわけです。

熱量は数を凌駕する

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▲109前でのプロモーションに人が殺到。今、ダンスの熱を感じる
実際、こんな事例があります。2017年、渋谷109の前でとある商品のプロモーションイベントを開催したのですが、偶然、その商品を開発した人の子どもがパフォーマンスしたダンサーの友達だったみたいで。

学校で、商品やこのイベントのことを、とても嬉しそうに友達に話してたみたいなんです。それを聞いたイベント担当者から後日、「すごく良い取り組みだったね。感謝しています」と言ってもらいました。

単にプロモーションとして拡散するだけでなく、関わったダンサー達が場を提供してくれた商品に心から感謝し、実際に商品のファンになってくれる。

これは単にお金を払って、商品のことを投稿しているだけでは創出されない価値。この経験から改めて、ダンスには人の心を動かす力があるんだな、と思いました。

だからこそ、いくらお金を積まれたとしてもVintomでは、ダンサーにとって意味のある案件しか受けません。「何となくダンサーを使ってみればいいんじゃないの」という考えの案件を、目先の売上欲しさに受けてしまっては、ダンサーからの信用もなくなってしまいますし、それこそ企業とダンサー、双方のためにならない。

そういう意味では、僕自身、学生時代にダンサーとして活動し、今、ビジネスマンとして中立的な立場に身を置いていることが活きているな、と思います。

ダンサーならここをこだわるけど、一般の人やクライアントから見ると、こうだからこうしてほしいと言える。ダンスの良し悪しも判断しながら、とことんクオリティを追求できるわけです。

これも他の企業にはない、Vintomのプロモーション支援ならではの強さかもしれません。

ダンサーにファンをつけ、稼げるように。そして憧れの職業へ

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▲一流と呼ばれるダンサーすら、レッスンなしでは食べていけない厳しい世界
このダンサーを活用した企業のプロモーション支援を通じて、ダンスの魅力を伝えつつ、ダンサーの生きる道を作っていくこともそうですが、Vintomは今後、ライブ・イベントに力を入れていきたいと思っています。

昨今、「CDが売れない時代になった」という言葉をよく耳にしますが、ライブビジネスの収益は増え続けている。みんな、そこでしか味わえない“体験”を求めるようになってきている。

だからこそ、ダンサーの単独ライブやイベントを強めていきたいと思っています。これまではダンサーはファンを生み出し、構築していくということが出来ていなかった。だから、どんなに実績のあるチームがSHOWをしても集客は見込めない。

ただ、1万人のファンを持つダンサーが生まれれば、彼ら彼女らだけで武道館でライブをすることができるわけです。この“ファンづくり”の部分をVintomでは全面的にサポートし、ダンサーでも単独でライブを開催できるようにしていきたいな、と思います。

ファンビジネスはダンサーだけでは絶対に出来ない。だからそのダンサーだけでは出来ない部分をVintomが全面的にサポート、協力をし、ダンサーと寄り添って一緒にその未来を作っていきたいと思っています。

僕らの事業を通じて、今後、CMやイベントでダンサーを活用する企業、したいと思う企業が増えていってほしいですね。

ダンサーの生きる道が作っていけるのであれば、映像を作ったり、ウェブサイトを作ったり、特に制限を設けずにさまざまなことに取り組みたい。世の中に“ダンス”が持つ魅力を、広めていきたいと思っています。

そして、いまダンスに夢中で取り組んでいる若い世代のダンサーたちが将来、「ダンスをこのまま続けていいのか分からない。どうしたらいいですか?」と言うことがないようになればいい。

ずっとダンサーが憧れの職業であり続けられるように、子供達の未来の夢を叶えられる世の中を作るためにも、まずは今の事業で成果を出し、ダンサーの価値を世の中に提供していくつもりです。

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