「好き」が紡いだキャリア──DEAN&DELUCAの販売員になるまで

▲品川店ワイン売り場にて(1)

大学卒業後にコーヒーショップ、ワインショップで勤務をしていた二見がDEAN&DELUCAに出会ったのは、DEAN&DELUCA品川店がOPENした2003年。 当時、同じ品川にあるワインショップで働いていた二見は、先輩社員とのワイン勉強会で使用するアペタイザーを求めてDEAN&DELUCA品川店を訪れます。

二見 「『NY発祥のすごい食のブランドが品川にできた』という評判だけを聞いていたんです。そもそもNYのカルチャーが好きだったこともあって『NYの評判の店ならのぞいてみるか』くらいの軽い気持ちで訪れたのですが、行ってビックリ。
洗練された空間と充実した商品ラインナップにとても驚きました。『うわー、かっこいい!そしておいしそうなものがたくさん!』って。その気持ちが『ここで働きたい』に変わるまで時間はかかりませんでした」

その後、晴れて入社試験をクリアし、ワイン担当販売員第一号としてDEAN&DELUCAに入社します。

二見 「当時のDEAN&DELUCAには全社を見てもワインを担当しているメンバーはMDしかいなかったんです。それもあって、入社したころからある程度自由に仕事をさせてもらえました。前職とはそこが一番大きな違いだったと思います。
自身のつながりのあるワインのインポーターさんを呼んでの店頭試飲イベントを企画させてもらったり、自身のセレクトでいくつかのワインを発注させてもらったり。とてもやりがいを感じていたのを覚えています。2020年現在の今もそうですが、自分で考えて提案できる環境が僕には合っていたのだと思いますね」

こうして二見のDEAN&DELUCAのワイン担当としてのキャリアはスタートします。

食べて学んで、評価につなげる──初代認定フードマスター

▲店舗休館日の旧品川店メンバー

ワイン担当としてキャリアをスタートした二見ですが、ワインだけに限らず食全般について公私分け隔てなく貪欲な姿勢で学び続けます。

二見 「見たことのない商品がたくさん並んでいる店内にいつもワクワクしていました。だからお客様用の試食はもちろん、試食できるものはなんでも試食していました(笑)。新しい商品が出れば担当者に頼んで試食させてもらったり、時にはシェフに頼んで開発中の新商品を試食させてもらったりもしました。
そんなことをしている内に、ほとんどの店舗の商品のことがわかるようになっていました。休みの日は休みの日で気になる飲食店や食料品店を回っていたので、いつも食のことばかり考えていたんですね。カラダを見てもらったらわかると思いますが、ただの食いしん坊です(笑)」

そうして日々食の知識を増やし続けていた二見は、DEAN&DELUCAに新たに導入された社内認定制度である「フードマスター」試験に見事合格し、初代フードマスターに認定されます。

二見 「フードマスターとは、簡単にいうと『お店の商品のことをなんでも気持ち良く丁寧に教えてくれる人』なんです。だから商品に関して聞かれたらなんでも答えられなきゃいけない知識が必要だし、ホスピタリティも問われます。そのために試験は3次試験まであるんです。
1次試験は食全般に関する座学の試験。2次試験はいろいろな食材のブラインドテイスティング。3次試験はロールプレイングによる接客提案の試験です。合格率は4%だったのでかなりの狭き門だったみたいですが、日ごろからの試食が功を奏したのか(笑)。無事に試験に合格しフードマスターとして認定されました。おかげでNY出張にも行かせてもらえたし、とても貴重な経験でしたね」

こうして二見は社内でも指折りの食通としての評価を得ることになります。

販売員としての成長──行動の変化が結果につながる

▲趣味のDJをしている二見

こうして食の知識を増やし続けた二見ですが、当時は優秀な販売員ではありませんでした。試飲イベントなどは定期的に実施していたものの、「自身の顧客」と言えるお客様も多くなく、売り上げ目標達成に苦労する日が続きました。

そんな二見は、自身の接客スタイルを見直すきっかけを当時の上司からもらいます。

二見 「そのときに言われたことは、『お客様にはいろんな方がいらっしゃって、放って置いてほしい方もいらっしゃるけど、実はコミュニケーションを望んでいる方も多い。そんなお客様には販売員として線を引き過ぎずに、一個人として積極的にアプローチすると良いのでは。
まずはお客様のことをしっかり観察して“この方はコミュニケーションを取っていい方だ”と思ったら、お客様の話を聞くだけではなくて、自分のことも知ってもらったらどうだろう。二見は食の知識が豊富なだけじゃなくて、カルチャー全般に精通していている、人としての魅力があるのだから、きっとコミュニケーションを喜んでくれるお客さんが多いよ』というような内容でした。
当時その上司を訪ねてくるお客様が多くいらっしゃったので、素直に心に刺さったんですよね。そこから自分の接客のスタイルを変えてみるようにしたんです。もちろんワインの提案をするのがメインですけど、会話の中で共通点を見つけたら、食に関すること以外も積極的にお話しするようにしました。
音楽の話、旅行の話、ファッションの話、アートの話。そうしたら自分でも驚くほど自分のお客様が増えていったんです。あらためて接客の楽しさと大切さを痛感しました」

この二見の変化をきっかけに二見の顧客は大きく増え、二見とのコミュニケーションを楽しみにいろいろなお客様が来店されるようになります。

音楽が好きでDJとしての活動もしていた二見との、音楽の話を楽しみに来店されるお客様。アートや映画の話をきっかけに定期的に社用で高額なワインを購入されるようになった、美術関連の企業で働かれているお客様。ワインのみならずシャルキュトリーや惣菜のメニューまですべてのセレクトを二見に任せるお客様。

そんな二見が個人としてつくったお客様との関係性はとても強く、「二見が店舗異動をするとお客様も一緒に異動してしまう」という話が店長会議で話されるようにまでなります。

現場でしかできない体験をつくり続ける

▲品川店ワイン売り場にて(2)

そんな二見が入社してから今までで一番嬉しかったエピソードを語りました。

二見 「品川店でキャリアをスタートしたのですが、その後に六本木に異動してから2017年に品川店に戻ってくるまで8年間のブランクがありました。戻ってきて間もなくして、当時の顧客様がたまたま売り場にいらっしゃってくれたんです。
8年分お年を召されていたので、以前よりだいぶワインを飲む量が減ったとのことだったのですが、この再会をきっかけに『おいしいお酒が飲みたくなったから』とたまに来店してくださるようになりました。
するとある日、そのお客様からお店に電話があって『ワインを届けてほしい。ついでに家のセラーにあるワインの鑑定をしてほしい』と言われました。頼っていただいて嬉しかったので『もちろんです』と返答をしてお客様のお宅にお伺いしました。お客様のワインセラーは個人邸にしては大きく、50本くらい入るものだったのですが、中をみて震えて、声が出てしまいました……。
そのワインセラーには8年前に僕が品川にいたときにおススメをした高価なワインばかりがギッシリ入っていたんです。僕の説明を受けて買ってくださったワインを特別な日に飲もうと大切にとっておいてくれていると伺って、本当に涙が流れてきてしまって……。こんな大きなカラダの僕が気持ち悪いですよね(笑)」

感極まって涙してしまったという二見。そんな彼は、今後挑戦してみたいことについてこう語る。

二見「今はネットでなんでも買える時代で、ここでしか買えない商品というものはあまりないですよね。だからこそ、顔の見える自分が選んだワインを、自分の言葉で伝え、ここに来ないと体験できない魅力ある売り場をつくっていきたいと思っています。現場にいながらMD/バイヤーをして、販売員も続けるってことですかね。ちょっと欲張りですけど、それも僕っぽいなと思っています」

長年にわたって売り場に立ち続け、「DEAN&DELUCAの二見」としてお客様の信頼を得続けている二見。

どんなに時代が流れても、現場で体感してもらうことを大切にしている彼の存在を誇りに思うと同時に、彼のように現場を大切にするメンバーをひとりでも多く増やすことが私たちのお客様に対する使命だとも思います。