人の縁を逃さず、結びつけていく人事のプロになった原点

▲ウイングアーク1st株式会社 People Success部 Organization Developmentグループ 高柳 裕一

2020年2月現在、社歴わずか1年半で、データ活用のテクノロジー企業であるウイングアーク1st株式会社の採用全般の取りまとめを担う高柳。会社の顔とも言える人事部門は彼にとって念願だった。簡単に手に入れたポジションではない。人事の仕事をしたいと願いながらも異業界で6年間の営業経験を積み、ようやくここにたどり着いたのだ。

高柳 「2012年に大学卒業後、新卒で入った化粧品会社の営業からキャリアをスタートし、人材紹介会社で中途領域の企業担当営業を経て、今は念願だった人事の仕事をやらせてもらっています。

人事の仕事に就きたいと真剣に考え始めたのは、ある転職エージェントのアドバイザーから言われた言葉がきっかけです。『人事の仕事をなめてもらっちゃ困る。人事はそんなに簡単な仕事じゃない。人員計画は時に会社全体の事業計画をも狂わす責任の重い仕事。だからこそ、本当に働きたい会社じゃないと人事は務まらない』とその人から教わりました。そのときから業界にこだわらず、自分が働きたいと思える会社を探し始めました」

“人”の言葉によって導かれ、そしてウイングアーク1stを知ったのも“人”を通じて。人の縁を逃さず、結びつけていく、それこそが人事担当者としての高柳の使命だ。

高柳 「人材紹介会社を務めていたときにお世話になった教育係の転職先が実はウイングアーク1stでした。その方から人事担当者採用の募集がかかっていることを知りました。そのとき初めてウイングアークのことを知ったわけですが、よくよく調べると、ビジネスモデルが優れている会社であることがわかりました。

人材紹介会社でさまざまな企業をみていく中で思ったのは、優良企業の定義は知名度や従業員数、売上高といったわかりやすいものだけでないということ。本業でどのように稼いでいるのかということに目を向けていたので、迷いなく入社に至りました」

企業の本質、人の言葉の本質を見抜く力は高柳の強みと言えるだろう。どのように養っていったのだろうか。

高柳 「大学入学を機に出身地の宮崎から東京に出てきたころはネクラなタイプでした。『人に嫌われたら死んでしまう』と思っていたほどです。友だちがいない自分を追い込んでいくうちに、今のポジティブキャラクターが形成されていきました。

社会人になっても、そのキャラで自信をつけていったのですが、突如打ちのめされる出来事がありました。前職時代の尊敬するマネージャーに『コミュニケーション能力が高いと思っているだろうけど、一歩踏み込んで、人の話を聞こうとしない。だから上っ面の情報しかとれず、売り上げが上がらないのだよ』と言われてしまったのです。

これが挫折体験となり、目が覚めました。本質に忠実に、人にどう思われようが、“ありがとう”に向けてがんばることを大事にしていくようになりました」

自身の強みと弱みを客観的に知る経験が、高柳が人をつなぐ職を選ぶことになったきっかけとなった。

隠れた優良企業を知ってもらうための施策とは

▲インターンシップ中のクリエイティブワークショップの様子

主な業務は応募者の書類選考や面接の日程調整管理、転職エージェントとの打ち合わせ、そして面接。中途採用は通年行われ、忙しさのピークは新卒採用に関わる春から夏の期間。その中で、大切にしていることがあると言う。それは応募者がどのように感じているのかを常に考えること。「不安や懸念があればそれを払拭していくのが自分の役割」と語る。

高柳 「正直なところ、会社の知名度はそれほど高くないので、求人広告を出しただけでは応募者が集まりにくいのは事実です。転職エージェントの担当者と協力しながら、“ウイングアーク1stは隠れた優良企業”であることを知ってもらうために手を打っていく必要があります。

現場部門から求職者にアプローチしやすい情報を集め、提供していくことも施策のひとつ。 その作業は例えるなら、恋愛のようなもの。好きになってもらいたい人の理解を深め、好きになってもらうために自分のことも徹底的に知ってもらう。だから、接点をもてる情報提供がカギなんですよね」

ウイングアーク1stの社員数規模は2020年1月末現在、連結グループ企業を合わせて約600名。通常10%と言われる離職率は3~5%と低く、定着率の高い会社だと言える。人員計画は成長を促していくための核となる。会社の人材力を高めることにつながるのであれば、前例のないことにも躊躇なく取り組み、成功事例をつくり出している。

高柳 「少しでも真の就業体験をしてもらおうと、学生のメリット8割、当社は2割と振り切ったコンセプトで7日間のマーケティング職のインターンシップを企画しました。限られた時間の中で、できるだけリアルなマーケティング業務に取り組んでもらいたいと考え、ペルソナ設定やフレームワークに配慮したFacebookやインスタグラム向けの広告を学生が制作し、実際に配信まで行う、という思い切った取り組みを実践しました。

実践的なところが学生たちにも受け、30~40人いたインターンシップ学生のうち、3人が入社することになりました。約1割の学生が入社を決意してくれた、というのは大きな成果だったと感じています」

ファンづくりにもこだわりを持つ人事のプロとしての意識の高さ

高柳は、人事の仕事を通じて「ファンづくり」に徹することを常に意識していると言う。

高柳 「社内外をつなぐことが自分の最大の役割になります。人事の仕事は現場が求める人材と求職者をうまくマッチングさせることに尽きます。

その際に、求職者とのコミュニケーションを通して、当社のファンになってもらうことを常に目指しています。たとえ採用に結びつかなくても、回り回ってどこかでつながっていくような関係性を理想としています」

では、実際にウイングアークにはどのような人材が集まってくるのだろうか。応募者の傾向を高柳はこのように分析する。

高柳 「業界と企業の将来性を感じてもらって、応募してくださる方が多いです。自社製品をつくることができることも当社の強みです。エンジニア力を高めたいと考える技術者にとって、設計の部分から携わることができるのは大きな魅力ですから」

面接では業務上まだ課題があると考えられるマイナス面も伝え、できるだけミスマッチを防ぐことにも注力していると言う。では、ずばり、ウイングアーク1stが求める人材とは?

高柳 「苦難もむしろチャレンジと捉え、楽しんで仕事してくれる方を求めています。当社の社員はびっくりするぐらい優しいタイプが多いですよ。優しさをもった人間が集まっているので、仕事もしやすい。周囲を巻き込みながら仕事を進めるのも醍醐味のひとつですし、イノベーションを起こしてくれるような、リーダータイプの方も大歓迎です」

面接は会話形式で行い、「ここで働きたい!」「活躍してほしい!」とお互いに思える関係性がベストだと言い切る、そんなプロ意識の高さも高柳のこだわりだ。

人事制度転換期、今後のキャリアの大きな財産になる

何事も前向きに取り組む高柳だが、ウイングアーク1st入社後に得た新たな気づきとは。

高柳 「より会社視点で仕事を考えるようになりました。営業職のときは目の前の案件だけに目を向けることが多かったのですが、会社全体について考えるようになったのは人事がコスト部門だからかもしれません。給料泥棒になり得る存在ですから、与えられたタスクだけではなく、広い視野を持つことが求められるのではないかと気づかされました。

ありがたいことに、やりたいと思ったときにそれを受け入れてくれる土壌もあり、楽しく仕事をさせてもらっています」

これまでの経験を生かし、さらに今後、挑戦したい具合的な取り組みも明かしてくれた。

高柳 「社員のエンゲージメントを上げる施策が動き出したタイミングに入社しました。人事体制がガラッと変わり、ノーレイティングの人事評価制度が導入されました。すべての社員に対して行われる1on1ミーティングでは、社員の今後のキャリアについて話をする時間を設けるようになりました。

組織サーベイを通して、組織の健康診断も始まりました。転換期に当たるときに人事に配属され、それらの業務に携わることができることの意味は大きく、後々の自分の財産になっていくと感じています。今後採用に関して、現場部門と密に連携しながら、全社で採用に取り組んでいけるような体制づくりに取り組みたいと考えています。社員に人材を紹介、推薦してもらう採用手法である『リファラル採用』も今後はさらに推進していきたいと思っています」

人事のプロとしてのキャリアを一歩一歩積み重ねていく中、10年、20年後のロングスパンではどのようなキャリアビジョンを描いているのだろうか。

高柳 「実はこの先、経営に携わる仕事も見据えていきたいと思っています。人事経験がなかった時点の面接で思い切って『戦略人事役員を目指したい』と宣言しました。単純にえらくなりたいというものではなく、経営に参画するために、事業計画に基づいて人事戦略を立てることができるようになっていく。これが今の自分のキャリアビジョンです」

人生、キャリア経験のすべてを「人事」の仕事につなげている高柳。強く秘めた熱い想いがどんな未来を引き寄せるのか。それを一番楽しみにしているのは高柳本人かもしれない。