チャンスは今しかない。揺れ動く中で下した転職の決断

▲ウイングアーク1st株式会社 技術統括部 SVF開発部 江幡 美咲

2018年8月に中途入社した江幡が担当する製品、それは、ウイングアーク1stの帳票運用製品でも出荷金額でシェアナンバーワンを誇るSVF。

約20年にわたり、モノづくりに携わるエンジニアとして、多くの企業で使われる帳票出力システムに関心を持っていた江幡にとっては「入社前から知っている、身近でなじみのある製品」であり、転職した理由のひとつとなりうるものだった。

さらに転職にはもうひとつの理由があった。それは「チャンスは今しかないと思ったから」。 

江幡 「自分の中で、『転職したい』という想いの波は、これまでも何回かありました。でも、どこに行っても善し悪しがあると思い踏みとどまっていたんです。考えた末、年齢的にも転職するギリギリのタイミングかもしれないと感じました」

江幡がSVF開発のエンジニアを募集していることを知ったのは、ウイングアーク1stに勤務する知り合いを通じてだった。

江幡 「知人が何年も務めている会社であることは安心材料でした。当時は、自分のキャリアビジョンの先が見えにくいと思っていた時期です。将来についていろいろ考えていました 」

こうして江幡は、ウイングアーク1stにおいて自社製品の技術開発エンジニアの道を歩むことになる。前職の企業に新卒で入社して以来約18年勤務した江幡にとっては今回が初めての転職だった。

コミュニケーション能力が強み。それを育んだ吹奏楽

江幡は入社後「ストレングスファインダー」という得意分野を伸ばすための資質判断ツールを試し、その結果を生かすための社内ワークショップにも積極的に参加していた。

江幡 「単純におもしろそうだと思って参加したんです。入社して間もなかったので、いろいろな部署の方と知り合えるチャンスにもなるとも思いました。エンジニアといえば、人よりソースコードが大好きなタイプが多いと思われがちですが、私は人と接することが好きなので、こういう機会に積極的に参加したいと考えていました。

また、ジェンダーを意識するつもりはありませんが、20人前後いるチームの中で女性は自分ひとり。コミュニケーション能力もそうですが、性別に適した役割はあると思っています。自分の得意分野をあらためて知る機会にもなりました」

そうして見つけた江幡の強み、それはコミュニケーション能力だ。チームで動くエンジニアにとって、これは重要なポイントのひとつである。

江幡 「エンドユーザーと直接話すことはできませんが、間にいるサポート部隊を通じて、要望を聞くことはできます。このやりとりをいかにうまく進めるかによって、ユーザーと開発との間の齟齬が生じなくなります。

ユーザーの欲しいものと違うものをつくってしまうのはもったいない。ユーザーがどういうものを欲しがっているのか追求し、自社製品だからこそ売れるものをつくるべきです。だから、開発チームのメンバーやサポート部隊とちゃんとコミュニケーションをとることが大事なんです」

江幡の周りを調整するというコミュニケーション力を育んだもの──それは吹奏楽だ。

江幡 「中学から大学まで吹奏楽を続けていました。今は吹奏楽に加えて、社会人を中心としたアマチュアオーケストラにも参加しています。担当は打楽器です」

打楽器奏者は「第2の指揮者」とも言われ、全体の調和を保ちながらしっかり支え、さりげなくリードしていく役割だ。そして、吹奏楽、オーケストラを続けている理由のひとつに「人との出会い」がある。

江幡 「異業種の方などと出会えることがおもしろく、社会人になっても続けています。ご一緒する方の世代も幅広いです。毎年同じ時期に行われる演奏会もあり、中心となるメンバーが固定される場合もありますが、演奏会ごとに参加する方はさまざまです。参加される方の好みもそれぞれで、演奏はもちろんのこと、いろいろな方とお話しできることも楽しんでいます」

「フレンドリー」を求める結果にある充実感

江幡はエンジニアとして、コミュニケーション能力を生かした役割を徐々に発揮している。その一面を垣間見られるのが、製品開発のプロセスのひとつにある「振り返り」ミーティングだ。

江幡 「中途組のエンジニアだからこそ、『あれっ?』と思うことをなるべく発言するように努めています。先に入社した人とは別の視点を持ち、改善の余地がありそうな、気になるところを指摘するという感じです。『振り返り』ミーティングで意見を述べたとき、それをメンバーが聞いてくれ、受け入れてくれることも嬉しいですね。

この『振り返り』は次につなげていくための時間です。話し合いの結果がより良い製品づくりに生かせると思うと、充実した気持ちになります」

そんな江幡が大切にすることは「ユーザーフレンドリー」。その考え方も極めて具体的である。

江幡 「SVFは20年選手。歴史があり、長年使ってくださっているお客様がいらっしゃいます。けれども、使い方に慣れてしまっている分、もしそれが使いにくかったとしても変えにくいという側面も生まれます。

たとえば、操作手順で『次へ』『次へ』と続いた後にそれが突然『キャンセル』となってしまうようなケースでも、身体で操作を覚えてしまっているためガラっと変えることは難しいことがあるのです。そんな細かい部分であっても使いづらいと思ったらさりげなく使いやすく変えて、ユーザーフレンドリーなものをつくることを常に心がけています」

コミュニケーション能力を生かした調整役の役回りを目指す

入社から約1年半以上経った2020年4月現在、江幡は自身の転職をこう振り返る。

江幡 「結果として、転職して良かったです。以前行っていたような受託開発の仕事と、自社製品を開発する仕事では進め方がまったく違います。受託開発の場合は当然ながら発注元の指示に従わねばなりませんし、納期も決まっています。

つまり、調整が効く範囲が狭く、自由度が少ないのです。今は自分がやりたいことをやらせてもらえる環境にあることに満足しています。工夫して仕事を改善でき、スケジュールの調整もしやすいので残業が格段に減りました」

仕事にやりがいを感じ、ワークライフバランスも保てる、そんな安定感を転職によって得たのだ。しかし、変化の中で変わらないものもある。

江幡 「極端な話、楽しく仕事ができればそれでいいんです。社会人になって以来、ずっと周りに恵まれてきたことに満足しています。モノをつくることの充実感は職場が変わっても変わりなく、単純に楽しいのです。仕事が大変な時期でも人間関係が良ければそれなりに頑張れる。今は、趣味も音楽も仕事もぜんぶ楽しめています 」

そんな江幡の今後の目標は強みをさらに発揮することだ。 

江幡 「私は技術力を突き詰めていくタイプのエンジニアではありません。ストレングスファインダーとそれまでの経験を合わせて、まわりの調整をすることが得意だとわかりました。多数ある自社製品のことを知ることから始まって、自分がどういう方向に進むべきかという問いの答えが調整役。チームの中で、その役割を担えるようになっていくのが今の目標です」

江幡の姿勢からは、音楽で培った調和の力を感じられる。人が好きなエンジニアとして、ユーザーやメンバーをはじめとしたさまざまな場所の調整役となる、それは江幡の天職なのかもしれない。