過去最大規模を達成するために高い目標を設定

▲ウイングアーク1st株式会社 執行役員 マーケティング統括責任者 久我 温紀

「われわれの存在価値を広めていく重要な機会」として、データ活用のテクノロジー企業であるウイングアーク1st株式会社が開催する「WAF」は、2019年で15回目となる。2004年の初回は品川のカンファレンスセンターで600人ほどの集客だったが、今回は東京、大阪、名古屋の3拠点で10,000人以上の集客を達成した。

久我 「初めてフォーラムが開催されたとき、僕は営業でした。今回はマーケティング統括部の責任者になって初めてのWAFなので、思い切ったチャレンジがしやすかったんです。ここ数年も、集客人数は増えてはいましたが、停滞しているなと感じていたので、大きな成長曲線をつくりたかったんです。大きな成長目標を立てたほうが、ギャップを埋めようと努力し、そうすることによって人も組織も成長しますよね」

「成長を楽しむ」「成長を志す」がウイングアーク1stのモットー。久我は以下の4つにおいて、目標を設定した。

1) 集客人数を上げる(10,000人)
2) 集客単価を下げる(1リード当たりの単価を下げてコストを下げる)
3) 新規リード数を上げる
4) 協賛パートナーを増やす(2018年26社→2019年50社)

これらの目標値に対し、社内の反応はさまざまだった。「無理でしょ」という反応ももちろんあったが、久我は目標を達成するために各部門と議論を続け、任せられるところは任せるよう働きかけた。

「できない」を「できる」に──社員全員で考え目指した目標達成

久我 「高い目標設定を本気でやり遂げようとするリーダーシップとは何か、また、具体的にどうやったら達成できるかを考えて、スタッフと対話を続けたんです。たとえば、集客数や協賛パートナーの進捗がひと目でわかるようMotionBoard(BIツール)を使って“ダッシュボード”を作成し、『数字の動きが足りないな』と思ったら、違う営業手段を考えました。

また、壁にぶつかったときは、『なぜできないのか』をスタッフと一緒に考え抜き、彼らの『できない』『無理』という思い込みを解除していきました。決して無謀な目標は設定していないので、『どうやったらできるのか』という会話を重ねていけば、たいていのことはできるんです。会社として積み上げてきたものがありますし、プロダクトに対する自信もある。何より、一人ひとりの持っているパワーは本来すごいですからね」

TwitterやFacebookなどのSNSや、社内のチャットツールなどを使い、スタッフを鼓舞し続けた久我。時には自分も動き、社長の田中 潤すら目標達成のために巻き込んだ。

久我「Slack(社内の情報コミュニケーションツール)に『目標集客人数まであと◯人』というカウントダウンを常に表示しました。各人が上げている1~2人の成果が、全体では大きな成果につながっていることを実感させて、確実に進捗していることを共有したんです。

また、自分は営業出身なので、数字の達成に関しては敏感なのかもしれません。協賛に関しては僕もネットワークのあるお客様のところへ行きましたし、社長にも『絶対に取ってきてくださいね!』とお願いしたら、受けてたってくれました。関わる人全員に対する『巻き込み力』は、リアルイベントを実行するにあたり、とても重要だと思います」

雨を嫌うか、雨の中で踊るか──本番当日の成功の裏側

▲WAF東京の前日、久我はこの画像にメッセージを添えてSNSに投稿した

そもそも、テクノロジーを生業とし、デジタルを駆使するITベンダー企業が、なぜリアルイベントを開催するのか。

久我 「たとえば、Webはコストを抑えて拡散できるので便利ですが、体感したもののほうが10倍くらい強いと思います。Webでどんなにメッセージを伝えても、そこで働く人のマインドはお客様になかなか伝わらない。でも、リアルイベントを実施すると、そこにいるスタッフを通して会社の姿勢がすべて伝わる。Web上での情報が飽和状態だからこそ、お金をかけてリアルイベントをする意味があると思っています」

東京会場は今回からザ・プリンス パークタワー東京になり、基調講演やセッションなど、50セッション以上が企画された。 登壇者は、営業部やマーケティング、オウンドメディアの『データのじかん』でインタビューした方など、いろいろなチャネルで分担してお呼びしたのであった。

久我 「ただの著名人や客寄せパンダ的な人ではなく、自分たちが持っているネットワークの中で『この人の話はおもしろいからみんなに伝えたい』という人を呼んでいます。

WAFのイベントサイトをオープンしたタイミングで、『すごいイベント』であることを伝えたくて、今回は早い段階から登壇者との交渉を開始しました。最終的にちょっとセッション数が多くなりすぎたことが反省点です(笑)」

来場者が参加したいセッションに参加しきれないというジレンマを生み出してしまうほど、多くの登壇者が集まった「WAF2019」。ところが実は、当日の天気予報は大雨で、気温も低く一桁台。数日前に行われた名古屋会場も悪天候が影響し、来場者数が想定より少なくなり、東京でも来場者数の伸び悩みが懸念された。 それによって社員の士気も下がっていたという。

久我 「状況としては最悪でした。みんなの不安を取り除くために、雨でハッピーなことってないのかな……と考えたところ、映画『雨に唄えば』のテーマソングを思い出したんです。そこからいろいろと調べていって、ある言葉にたどり着きました」

「困難な時期をすばらしい経験に変えることが人生での大切な技術かもしれない。雨を嫌うか、雨の中で踊るか、私たちは選択できる」経営学者:ジョーン・マルケス

久我は相合い傘をしながら笑い合う男女の画像にこの言葉を添えて、イベント前日にTwitterやFacebook 、Slackに投稿した。

久我 「みんなの視点を変えようと思ったんです。『雨だから大変』ではなく、『雨を楽しめるのが人間のいいところだよね』と。『みんなが自分にできること以上のことをやってくれてるんだから、もうどうあっても当日を楽しもう』と僕なりのメッセージを伝えました」

参加することがステイタスになるイベントを目指して

競合する外資ベンダーに対するウイングアーク1stの強みは、全国に拠点があること。国内がメインのマーケットなので、各拠点に密なお客様がいる。久我は、そういうお客様に対してWAFを通してメッセージを届けたいというビジョンを持っていました。

久我「北海道だったら、東京から見た北海道ではなく、道経済の目線で考えて、地場産業が活性化のお役に立ちたいです。また、北海道に限らず、福岡や新潟でお客様のために頑張っている営業や開発の人たちの想いを大切にしたいとも思ってもいます。

とは言え、スタッフの負荷は減らしたいので、必ずしも『WAF』という建付けをする必要はないんじゃないかと。こちらから押し付けるのではなく、各拠点のサイズ感に適したリアルイベントをそこにいる人たちと探っていきたいです」

久我は、その土地土地の特徴を考えた上でどのようなWAFを開催するかさらに続けた。

久我 「その土地ごとに個性豊かなお祭りがあるように、WAFも拠点ごとに変わったほうがいいと思いますし、そのほうがおもしろい。その土地で働く人たちの日々につながっているものをリアルイベントで体感できるものじゃないとつまらないと思います」

また、WAFの意義は、お客様のためだけでなく、ウイングアーク1stで働く人たちのためでもある。

久我 「WAFを大きくして盛り上がることで、お客様と企業がつながり、スタッフ同士が達成感を得て喜び合う。それがすごく大切だと思います」

前回の課題を解決しつつ、「WAF2020」をより良いイベントにするにするために、久我の頭のなかではすでにさまざまなアイデアがうごめいている。

久我 「祭りは真剣にやった人ほど楽しめる場だと思います。来場される皆様は、忙しい合間を縫ってわざわざ足を運んで来てくださっている。その人たちに報いるために、スタッフは本気で取り組んでいます。ひとまず2019年に規模は成長できたので、次回は質を上げたい。ゆくゆくは、WAFに行くことがステイタスになるようなイベントを目指します」

マーケティングチームの挑戦はこれからも続く。