“ハッピーエンドの連鎖”をもたらす、CS(カスタマーサクセス)の在り方とは?

弥生株式会社では、2008年より「事業コンシェルジュ」というビジョンを掲げさまざまな業務改善に取り組んできました。その基盤を支えたのは、ずっと変わらず当社に根づく「お客さまのために」という社員一人ひとりの想い。今回は、当社のビジョンを最前線で体現している、カスタマーセンターの取り組みをご紹介します。
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「カスタマーサクセス」の意識をすでに持っていた弥生カスタマーセンター

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大阪淀屋橋に移転した、弥生大阪カスタマーセンターニューオフィス
おかげさまで高い評価をいただいている弥生製品ですが、2014年にリリースしたクラウドアプリケーション「弥生オンライン」も、実利用でシェアNo.1※になりました。その躍動を支えているのが、日々「CS」に取り組む社員たち。

日本の企業におけるCSといえば、顧客からの問い合わせに応じて情報提供を行なう「カスタマーサポート」が一般的でした。しかし近年、海外ではすでに浸透しつつある「カスタマーサクセス」という概念が広まりはじめています。

カスタマーサクセスとは、単に受け身で問い合わせ対応をするのではなく、積極的なアプローチによって顧客の事業を成功に導くというもの。

私たち弥生株式会社は同様の考えのもと、2008年に新たなビジョンを策定。「日本の中小企業、個人事業主、起業家の事業を支える社会的基盤(インフラ)として、日本の発展に能動的に貢献する」という明確な方向性を「MVV(Mission Vision Value)」として打ち出し、会計ソフトを主とする業務ソフトメーカーから「事業コンシェルジュ」への変革を進めてきました。

そしてそのビジョンを、お客さまに最も近い場所で日々体現しているのが、弥生カスタマーセンターのスタッフたちです。

そのなかのひとり、大阪テクニカルセクションでテクニカルサポートを担当している求理恵(もとめ・りえ)。「事業コンシェルジュ」というビジョンがはじめて全社へ提示されたとき、「ああ、私たちが今までやってきたのはこういうことだったんだ」と感じていました。

求 「カスタマーセンターのスタッフは、MMVが策定される以前から、そもそも『お客さまのために何ができるか』という課題意識をずっと持っていたんです。ただ、それをうまく表現する共通の言葉がなかったんですよね。だからこそ『事業コンシェルジュ』というビジョンには、私たちとしても納得感がありました」
弥生カスタマーセンターは、大阪と札幌の2拠点。2016年現在、合わせて400名ほどのスタッフが業務に携わっています。

皆「お客さまのために」という想いはひとつ。それを本当の意味で「カスタマーサクセス」につなげるために、現場ではさまざまな模索とチャレンジが重ねられてきました。

※クラウドアプリ利用シェアNo.1:クラウド会計ソフトの利用状況調査より(MM総研 2016年3月)

多様化するニーズ、重なる外的要因の影響……壁を乗り越え、体制が進化

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当初の拠点は大阪WTC(現:大阪府咲洲庁舎)でした
当社にカスタマーセンターがはじめて設置されたのは、米・インテュイット社から分離独立する以前の1997年のこと。当初の拠点は大阪WTC(大阪府咲洲庁舎)。その当時の主力製品は「弥生会計」をはじめとする中小企業向けのパッケージソフトでした。

しかし2002年に個人向けの「やよいの青色申告」が発売されると、お客さまの属性が一気に多様化。年々製品バリエーションも増え、デバイス側の進化スピードも加速しました。さらに2012年以降はインストール型のソフトウェアに加え、クラウドサービスも登場しています。

新しい動きが生まれるたびに、カスタマーセンターでカバーする内容は飛躍的に増え、質問の難易度は上がる一方……。今後、弥生が「事業コンシェルジュ」であり続けるためには何が必要なのか? センター内では模索が続いていました。

そして、私たちの前に過去最大のハードルが立ちはだかったのは2014年。消費税の増税と、Windows XPのサポート終了――弥生の業務に大きな影響を与えるできごとが、ふたつ同時に発生したのです。この年は、お客さまからのお問い合わせが殺到することが予測されました。

当たり前のことですが、カスタマーセンターの要となるのは「人」です。

ただ人数をそろえて、マニュアル通り、聞かれたことに答えればいいわけではありません。豊富な業務知識や製品理解、コミュニケーションスキルはもちろんのこと、お客さまに共感しながら、問題解決に取り組もうとする意欲がなければ、ヘルプデスクの役割は果たせないのです。

そのためセンターでは、手厚い研修制度を整えるほか、2013年にはオペレーターの正社員化を進める制度を創設。「事業コンシェルジュ」の最前線を担う人材の育成に取り組むことにより、一気に200人以上の増員が必要となった“2014年危機”の現場を支えました。

実際、3〜4月の業務ピーク時には、対前年度比で倍となる1日8,000件ものお問い合わせ件数が殺到しました。しかし「事業コンシェルジュ」としての心構えを持った多くのスタッフの力によって、お客さまへの応対率をなんとか維持することに成功したのです。

こうしたハードルを一つひとつクリアすることで、カスタマーセンターの体制が少しずつ固められてきました。そしてそれは、その後もアップデートを繰り返していくことになります。

より多様な選択肢をお客様に――オンライン「チャットサポート」の導入

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チャットサポートは様々な試行錯誤を経て誕生しました
“2014年危機”を乗り越えた弥生カスタマーセンターの次なるチャレンジは、新たなサポートチャネルの拡大でした。クラウド製品のリリースにより、お客様のニーズも多様化し、2015年12月より、お客さまにより多くの選択肢を提供するため、それまで主流だった電話やメールに加え、オンラインのチャットサポートを導入。トライアルで運用をスタートしました。

このチャットサポートをはじめるに当たり、現場ではさまざまな試行錯誤が繰り返されていました。「2画面、3画面を同時に立ち上げて必死にチャットの対応をしていたら、右手首が腱鞘炎になってしまって」と笑う山田佐知子(やまだ・さちこ)は、大阪テクニカルセクションでチャットサポート立ち上げに携わったメンバーのひとりです。

チャットでも、お客さまからの問い合わせ内容は電話・メールと基本的に同じ。しかし最も難しかったのは、相手が求めていることを正確に把握し、それをお互いに共有することでした。

山田 「カスタマーセンターにご連絡いただくお客さまは、“何をどう質問したらいいかわからない”状態であることが多いんです。電話なら、会話の中でそれらを深堀りしていくテクニックがありました。でもチャットではそれをテキストベースで、しかもテンポよくコミュニケーションしていかなければならなくて……。慣れるまでは、それが一番難しかったですね」
弥生では、提供している製品と、カバーしているお客様の業務の特性上、複雑かつ専門的な問い合わせが多く寄せられます。山田の場合、チャットで質問を受け、そのお客様が抱えている「本当の問題」に行きつくまでに最長4時間かかったこともあるのだとか。

それでも、想像していた以上に電話よりチャットでのサポートを希望されるお客さまは多く、利用者アンケートでは満足度91 %という高評価をいただくことができました。今年からはオペレーターの人数を1.5倍に増やし、本格的な運用をはじめる予定です。

チャットサポートチームの管理者として、オペレーション設計に取り組んできた求は、これまでのトライアルを「一旦は成功」と捉えつつも、まだまだ改善の余地を感じています。

求 「オペレーターをどう育成するか、生産性を上げるにはどうしたらいいか、既存システムとどう連携していくか……正直、課題は山積みです。でも今は“育成の時期”。メンバーと協力しながら、よりよいサポートにしていきたいですね」

お客様に共感して問題解決に努め、目指すのは「ハッピーエンドの連鎖」

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2016年5月、大阪WTCで18年営業を続けてきた弥生カスタマーセンターは、さらなる規模の拡大を見据えて大阪・淀屋橋に移転しました。新オフィスのコンセプトは「健康」「ON/OFF」そして「コミュニケーション」です。

オフィスで一番眺めのいい場所には、畳やソファなどが充実した休憩スペースを。オペレーターが集るフロアには、いつでもすぐにちょっとした打合せができる場所を。

こうしたオフィスの環境整備も、すべてはカスタマーセンターの要となる「人」のため。

製品や業務のセミナーはもちろんのこと、お客さまの「質問」を聞き出す為のコミュニケーション基礎研修など教育にも力を入れています。また、多様なキャリアプランに対応しており、正社員化へ推進も積極的に行っています。スタッフがいつも健康で気持ちよく働ける環境が、より真摯にお客さまの話に耳を傾ける姿勢を支え、結果的にサポートの品質を向上させると考えています。

「事業コンシェルジュ」としてカスタマーセンターが目指すのは、どんなときも「お客さま自身をハッピーエンドへ導く」こと。カスタマーサクセスの実現こそが、私たち自身にとっての成長や発展――つまり、多くの“ハッピーエンド”につながっていくからです。

求 「自分より、人の成功がうれしいんですよね。お客さまであったり、チームのメンバーであったり……利用者のみなさんに満足いただけるように、次どうすべきかを常に考えていきたいです」

山田 「一生懸命対応して電話を切ったあと、かなりの長文でお礼のコメントをいただいたりすると、すごく励みになるんです。まさに“ハッピーエンド”ですよね」
現在、カスタマーセンターでは、チャットサポートの導入に続き、SNSなどで顕在化したお客さまの疑問を先回りして解決する「アクティブサポート」の取り組みがはじまっています。今後はさらに、AI(人工知能)の活用が進む可能性もあるでしょう。

しかし、問い合わせの方法が最新技術によって進歩し、カスタマーセンターの体制もアップデートされ続けたとしても、弥生がずっと大切にしてきた想いは、これから先も変わることはありません。中小企業の経営者や個人事業主の方に、困ったときふと思い出してもらえる存在であること。わからないことがあったら、いつでも気軽に相談できる相手であること……。

全員が「事業コンシェルジュ」としての自覚を持ち、カスタマーセンターではこれからもお客さまを支える方法を模索し続けます。ひとつでも多くの“ハッピーエンド”を、この場所から生み出していくために。

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