人とのつながりが、街の未来を変えるーー横須賀を引っ張ってきた経営者の街への思い

人と街と事業に、真剣に取り組んで来た横須賀を代表する経営者である鈴木孝博は、立場や考え方を越えて違いを認め街を盛り上げてきた。常に思いを正直で、思いをしっかり伝え、人をつなぎ、街をつないできた。その彼が、今、横須賀青年八日会の顧問を引き受けた。その心の裏側ではどんな思いを抱いているのかーー。
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大切なのは街や相手にとって『良いこと』ーそれなのに、生じてしまう誤解……

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不器用な人ーーそう思う。

かつて「横須賀青年八日会」に参加していた経営者のひとり、鈴木孝博。よく知っている人にはこんなに愛されているのに、知らない人からは違う、正反対のイメージを持たれていることがある。彼の良さが伝わっていないときがある。

でも、彼の目を見てしっかり話すと、その噂はすぐに覆される。

未来へ踏み出す勇気が湧いてくる。心から応援してくれるのがわかるから。決して人を裏切らない強さを感じて、いつも背中を押してもらえる。彼には人を前向きにする不思議な力がある。

誰よりもまっすくで、自分の思いに正直。いつも何にも真剣で、人のことを自分のことかのように想う。

誤解されるようなイメージを持つ人が出て来たのは、横須賀を二分した、既存の力、地元の力、様々なことが絡み合う中、双方の意見がぶつかった出来事からだろうか。

普通は、既存の概念を飛び越えることはなかなかできない。けれど、彼は横須賀の未来を憂いて、ある可能性に賭けた。

たとえ誤解されるようなことがあっても、自分の信念に基づいて行動する。それについてあれこれ言う人もいたし、誤解を解いたりすることもあったかもしれないが、そんなときでも、鈴木はあまり多く語らなかった。

そもそも言い訳も、人を非難することも聞いたことがない。たくさんの噂や誤解もあるけれど、すごく純粋で、信念を持って前に進む勇気のある人だ。

毎日仕事も、遊びも全力で、前へ進んできたからこそ創れた『今』

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誰にどう思われるか…などではなく、正しいものを正しいと感じ、 良いものを手放しで喜べる性格。それはビジネスにも表れている。鈴木は、25歳のときに横須賀で事業をはじめた。 最初の事業は、食品の卸販売だ。

仕事はがむしゃらにやった。飛び込み営業もたくさんした。三浦半島の人たちが、思いがけず商品を買ってくれた。そして事業は軌道に乗りはじめた。

毎日仕事も、遊びも全力だった。心細い事などなかった。いつも前だけを見ていた。

そして次に、東京で流行っているレストランを真似て、横須賀の中心街にオープンさせた。ヒズトロ・フレンチ・ダイニンクバーとお洒落な飲食店……。どんどん展開して行った。しかしあるとき、数店舗目から思ったように流行らなくなってきた。

資金がショートしかけた。お金が回らなかった。そして鈴木は、総撤退することを決意する。

事業は引き際が大切。ただしその決断をすることは会社はもちろん、従業員とも痛みをわけることになる。鈴木も、この失敗に、意気消沈した。飲食業、飲食に関わる人も嫌になった。

そんなとき、Starbucks CoffeeやTully’sが日本に上陸する。今までなかったカフェのスタイルに鈴木は、起死回生のチャンスを見出す。何とかしたい。その思いで、Starbucks CoffeeやTully’sにアプローチした。

その後、Tully’s Coffeeのフランチャイズがはじまることになる。早い時期から参入し、今では、地元横須賀をはじめ、全国に展開している。あるひとつの店舗を出したことが契機となる。事業が爆発的に拡大する姿を見た。

チャンスが目の前に来たときは、躊躇せずつかみとること。そうすれば、どんなに苦しい状況であっても必ず共に進む人が自ずと現れて、前に進める。そしてその経験から、相手の立場を考え、誰かのために、行動していこうと心に誓っている。

困ったときお願いする人がいて、助けてくれる人が現れる。そういうつながりを持てると、必ず人は何度でも立ち上がれる。人との付き合いにおいて、信頼を積み重ねていくことを大切にしている。

決断もそう。嫌なことも勇気を持って前に進む。相手のことを思うから、厳しいこともいうし、向き合った先で、必ず前に進める。

鈴木が『横須賀青年八日会』に入る前までこういった会や組織に所属したことはなかった。共に取り組み、共に成長する仲間や経験は、必ず道を拓くきっかけになるーー。

口数は多くないから多くは語らないけれど、『横須賀青年八日会』に参加する若手の経営者には、仲間との絆の大切さを伝えたい。

カレーの街よこすか宣言と、横須賀という街への思い

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鈴木が横須賀でTully’sを展開しはじめた頃、横須賀市が「カレーの街よこすか宣言」をした。今では6万人の来客数を誇る、横須賀の最大規模のイベントへと成長したカレーフェスティバルの原点だ。

その宣言の5年後、横須賀市内の9社が出資をし、オフィシャルショップを出店することになり、一番若い鈴木が代表に就任する。

「タイミングとはおもしろいものだな」と鈴木は感じている。最初は、「本当に売れるのか?」と思ったが、年を追うごとにカレーフェスティバルの来客数は増え、横須賀を代表するイベントとなった。 そして、オフィシャルショップも今では、横須賀観光の中心となる規模に成長した。横須賀の先輩たちから、学ぶことも多かった。

このカレーの事業から、街の人との繋がりを意識するようになる。そこにはいつも「人」がいた。どんな時も相談に乗ってくれる先輩がいた。さまざまな人や、チャンスとつないでくれたーー。

事業を長く展開していると、辛いことも、苦しいこともある。彼はその都度、何とか生き延びてきた。そうすると必ずチャンスが訪れる。タイミングの凄さを痛感した。それと同時に、一歩踏み出す勇気、選択する勇気を教えてもらった。

そしてどんなときも、三浦半島の人としっかりと繋がり、三浦半島に根ざす事業が、事業の面でも精神面でも、いつも助けとなっていた。

だから今、この街に心から恩返ししなければ……と思っている。

横須賀の先輩や、役所と共につくりあげた『カレーの街よこすか』事業を通して、人と人がどんどんつながり、絆が深まった。繋がりで助けられてきた。カレーの事業で、街の先輩、後輩、そして様々な考えの人とつながり、共に進んでいくことの尊さを知った。

「街に顔をみせることが、すごく大切だ」と鈴木は言う。

彼は2010年から5年間、環境保全を訴えるSave the Beachというイベントを開催した。横須賀には、いくつもの青年団体や市民団体があるが、業種や目的が異なったりすることで、なかなか横のつながりが薄い。会や団体だから、もちろん活動は別々なのは当たり前だけれど、たまには違う考えや思いの人たちが共に、ひとつのことを作り上げていく機会があっても良いのではないかーー。

そんな思いで、多くの青年団体や市民活動をしている方々に声を掛け、実行委員会を立ち上げ、企画・運営まで、隔てなく、取り組んだ。

毎年、数百万円の運営費は全て、鈴木が市内の企業を回り集めた。異なる団体が、初めてひとつの事に取り組む、そこには軋轢などもあった。異なる考えや背景の人が集まる難しさも痛感もした。でも、ひとつのことを共にやり遂げ、「街に顔を見せる」ということの大切さを伝えた。

「こんなことがあったら良いのになー」という思いから全てがはじまった。ゼロのものを、皆で力を合わせて実現すると、大きな力になることを皆で体験したかった。

言葉は少ないけれど背中を見せて前に進む人ー心の中に秘めた思い

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実は「横須賀青年八日会」は、何度もなんども鈴木に顧問を依頼した。彼は会員だった頃、そして卒業してからも立場や意見の異なるどんな人に対しても、溝を作らず、フィルターレスな姿勢を常に見せてくれていた。それがたとえ、どんなに難しい道であっても思いに正直だった。

その姿勢を尊敬し、若手の力となり、つながりを持ってほしくて、2016年度の役員は何度も何度もあきらめず、顧問を依頼した。

鈴木は、自由を楽しんでいるように見せかけて本当は、たくさんの心配りをして、他人を思っている。その立場の責任も自覚している。だから、鈴木は『まだそんな立場じゃない』と顧問を何度も断ってきた。

それでも、最終的に顧問を引き受けてくれた。その理由は何だったのだろうか?

自分の思いにまっすぐに生きて選択をすると、色々な誤解を生むこともある。これからだって、そんな瞬間は鈴木自身にも、横須賀青年八日会の会員にも訪れることがあるだろう。それは、自分自身の事業であったり、街とつながる仕事の中にあったり、街に生きている中で起こる出来事の間にあることなのかもしれない。

それでも、街で事業をしていくには、怖がらず街とつながり、人と対話していかないといけない。時には、周りの意見に真っ向からぶつからないといけないこともある。

勇気を出して自分の意思で人生を選択した仲間が、異なる意見や軋轢に潰されないように、背中を押していきたいと鈴木は願っている。横須賀という街に住む人たちが、物事をまっさらな目で見る勇気を持ち、一歩踏み出す人たちの支えでありたい。

たとえ意見や立場が異なっても、また別のところで共に、強く、前に進んでいくことができるような世界にしたい。カレーの事業や三浦半島の人々に支えられた事業がどんなときも人とのつながりを広げてくれたように、後輩たちにもそういった機会があったらいい。

横須賀青年八日会が、立場を超えて共に切磋琢磨する場所であり続けられるためにーー。鈴木は顧問を引き受けた。

信念を貫き、夢中になって前に進むことに挑戦し続けるときに、鈴木に見守ってもらえると一歩踏み出す勇気が出てくる人たちが沢山いる。もう一度、立ち上がる勇気を持つ人もいる。そんな彼の背中を見て、それを追いかける後輩もたくさんいる。

自分のことのように他人のことを考える鈴木にとっては、心配事も心労も増えるのかもしれない。皆が大好きなのは、そんな彼の生き方だ。私たちにとって、自慢の顧問だ。『横須賀青年八日会』の顧問を鈴木が引き受けてくれて、本当に良かった。

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