ECサイトへ誘導する前に、確かなブランド体験を。店舗へ誘うオウンドメディアとは

株式会社クイーポが自社ECサイトへの集客を目指しYUIDEAのWillyetで構築したオウンドメディア「暮らしのゲンテン(genten)」。ECサイトではなくまずは実店舗への誘導を優先しています。遠回りにも見える手法にはお客様の満足や強い絆づくりでECサイトへの流入につなげるという狙いがありました。
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求めたのは“蓄積される”発信!コンテンツマーケティングへの試み

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▲株式会社クイーポ 第一事業本部 販売二部 次長 窪谷隆次さん(左)と係長 大川龍保さん(右)

「環境を守る、新しいライフスタイルを提案する」が、クイーポ社のオリジナルブランドである「genten」のコンセプト。環境や資源に配慮した素材と製法を用いて、鞄をはじめとしたアパレル製品の企画・製造・販売を行っています。

同社のEC部門担当として、2015年に配属された窪谷さん。gentenに力を入れていくという会社の方針から、gentenの自社ECサイトにおける拡販が大きなミッションとして与えられました。

その翌年、クイーポ社の取引先から転職してきたのが大川さんです。外からgentenのサイトを見て「もったいないな」と思っており、アパレルやインテリア雑貨関係で10年ほどECに携わった経験を役立てたいと考えていたそうです。

暮らしのゲンテン」の公開以前は、gentenの「ブランドサイト」と「ECサイト」を自社で運用していました。しかし、サイトからの発信は新商品やフェア、あるいは雑誌掲載など、リリースやプレス的な情報ばかり。

さらに、公開から歳月を経たブランドサイトはどこか古めかしく、商品の企画部門からは「商品を魅力的に見せられていない」と指摘される状況でした。

窪谷さん 「だから、お客様にサイト上で商品をより正しくご理解いただき、お問い合わせに対応するためにも、ブランドサイトをリニューアルする必要性を強く感じていました。
そして今回は、コンテンツマーケティングをやってみたいと考えました。発信したことがブランドの資産として蓄積されていく点に魅力を感じていたんです」

ECサイトでの拡販だけを考えれば、さまざまな手段があげられます。2009年にはブランドの10周年を記念したマス・プロモーションで効果を得たこともあったそうですが、費用対効果の視点やブランドの価値を伝えていく側面からも、オウンドメディアの立ち上げを選択しました。

ところが、どのようなオウンドメディアにすべきか検討しはじめ、いくつかWEBマーケティングの企画制作会社に話を聞いたものの、決断に至りません。他の施策も捨てきれないなか、大川があるセミナーに参加したことで事態は動き出します。

gentenを発信する前に、“gentenらしさ”を見つめ直す

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▲「genten」市谷本店。ブランド体験の機会として、店舗における販売員のていねいな接客を重視している

きっかけは、クイーポ社がお付き合いしていた会社がYUIDEAと共催したセミナーでした。登壇したYUIDEAの事業部長によるオウンドメディアに関する講演に強い関心をもち、クイーポ社側からその場でコンタクト。YUIDEAからコンテンツマーケティング策を提案することになります。

はじめにYUIDEAからクイーポ社へヒアリングを行い、そのうえでまず提案したのは、いわばブランディング。“gentenらしさ”について、もう一度確認しましょうという内容でした。

実はそのころクイーポ社のなかでも、統一したブランドイメージを社員たちがもつことの重要性を再認識していました。

2019年に20周年を迎えるgenten。クイーポ社の創業者である会長が2015年に他界され、スタッフも少しずつ入れかわっていくなかで、ブランドイメージをまとめていく新たな力が求められていたのです。

大川さん「YUIDEAは、単にツールを使ってサイト構築をしましょうというのでなく、“ブランドの理念、統一されたイメージ”といったことまで提案してくださった。ブランドの解釈の仕方などからも、よく考えてくれているという印象でした。そんなコンサル的なところが期待できると感じました」
窪谷さん 「YUIDEAのプランナーさんが実際に店舗で私たちの販売員から話を聞かれるなど、gentenのことをよく理解しようとされていた。そういった姿勢が、一緒にオウンドメディアをつくっていくパートナーを選ぶうえで大きかったです」

すぐにクイーポ社とYUIDEAで、ブランドの基本理念やイメージをすり合わせるワークショップがスタート。クイーポ社からは商品企画担当者なども参加し、「gentenらしいメッセージやビジュアルとはどういったものか」を話し合い、共有していきました。

窪谷さん 「社員の意識をまとめるものとして『暮らしのゲンテン』が機能しています。その制作過程でみんなの意思統一が図れますし、店舗スタッフには外へ発信する手段としても利用してもらいたい。
ブランドイメージが明確なら、お客様も分かりやすいでしょうし、商品を企画・製造する側もそれをベースにしていけます」

こうして、オウンドメディア「暮らしのゲンテン」は、“gentenブランドのバイブル”のような存在へとなっていきます。

オウンドメディアから店舗へ、そしてECサイトへ、一体感ある“流れ”を

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▲2018年3月にローンチした「暮らしのゲンテン」。入社前に大川さんが思い描いていたサイト改善が実現しつつある

2018年3月上旬、約2カ月という短い企画・制作期間で「暮らしのゲンテン」はローンチされます。

これを可能にしたのは、直感的かつ簡便な操作でデザイン性の高いサイトを構築できるYUIDEAのコンテンツマーケティング・プラットフォーム「Willyet」を採用したことが大きな要因のひとつです。

そして窪谷さんたちはYUIDEAのコンテンツ企画力も高く評価してくださいます。記事を企画するうえでのコンセプトは大きくふたつ。

ひとつは、プロダクト自体をしっかり深掘りし、よく知っていただくこと。そのために普段はお客様に伝えることのできない、つくり手がもつ素材や製法へのこだわりなども記事にしていきます。

もうひとつは、gentenに興味をもってくれそうな人たちに向けて、その人たちが好みそうな“ライフスタイル提案型”の情報を発信すること。

プロダクト系記事についてはクイーポ社から話題の提供があり、ライフスタイル系記事の企画はYUIDEAが提案しています。これはローンチ後も継続しており、クイーポ社ではこうしたコンテンツを蓄積し、資産化していきたいと考えています。

このライフスタイル提案が功を奏し、アクセスの増加や新たなターゲット層の開拓につながっているとクイーポ社では判断しています。しかし、よく見ると「暮らしのゲンテン」からは自社ECサイトへの積極的な誘導を行っていないことに気づきます。

そこには、できるだけ店舗を訪れてほしいというクイーポ社の思いがあります。最初の購入は店舗で、お客様が愛着をもって育てたいと思う商品を選んでいただくことが重要だと考えているからです。

窪谷さん「gentenの大きな魅力のひとつは、タンニンなめし加工を施した革を用いることで、ナチュラルな風合いや、使い込むほどに変化する革の表情を楽しむことなんです。だから、店舗で商品の触感や匂いも確かめ、スタッフの説明を聞いてほしい。
そして、お手入れをしながらひとつの商品をできるだけ永くお使いいただきたい。『暮らしのゲンテン』では、そのお手伝いになる情報も発信していきたいんです」

お客様との関係を長い目でとらえ、ブランドロイヤリティを高めることによって、ECサイトへの流入や購入も増やそうという意図です。

この「店舗を巻き込んだ人の流れ」「メディアと店舗の一体感」という考え方があったからこそ、経営陣の承認も得られ、プロジェクトを始動させることができたのだそうです。

データから分かる訪問者の変化、そして新たな展開も見えてくる

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▲「暮らしのゲンテン」ローンチ後、既存の「gentenオンラインショップ(https://genten-onlineshop.jp/)」もアクセスが伸びている

「暮らしのゲンテン」をローンチして約半年、ECサイトへの訪問者数は着実に伸び、窪谷さんたちも新規顧客数が増えていると実感しています。これには、SNSとの連携をしっかり行ってきた効果もあると考えられます。

Willyetで構築したことによって多面的なプロファイル分析が可能になり、サイト訪問者の年齢層がこれまでより若年化していることもデータから明らかになっています。つまり、将来的な顧客へのアプローチができていることが実証できました。

また、社内でも「暮らしのゲンテン」の効果を実感しているようです。それは、デザイナーや職人たちのモチベーションアップ。彼らは自分の商品をもっと取り上げてほしいと要望し、genten以外のブランドのデザイナーたちは「暮らしのゲンテン」での記事掲載を羨ましがっているのだとか。

そして、今後のさらなる効果や、外への展開も期待されるところ。実際、ライフスタイル系の記事を作成するためにさまざまな取材を行うなかで、ある企業とはプロダクト企画でコラボレーションするという話に発展しつつあります。

もちろん、クイーポ社はYUIDEAとの新たな施策にも積極的な姿勢です。

窪谷さん 「YUIDEAには、最初のご提案にあったフェアやイベントに関する施策で、さらなる協力を期待しています。YUIDEAの提案には、お客様を楽しませる考え方があります」

今回は、「ECのために、まず実店舗へ誘導する」というクイーポ社の考え方から、YUIDEAとしても大変興味深い取り組みとなりました。引き続き、コンテンツ制作やデータ分析などでご協力するとともに、新たな施策もご提案しながら、今後の成果創出に貢献していきたいと考えています。

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