デザインにプラスアルファの価値を。「クリエイティブデザイン委員会」の歩み

Webサービスやアプリの設計開発を行うゆめみ。クリエイティブを強化し、より良いデザインやUX/UIのサービスを提供するために立ち上げたのが「クリエイティブデザイン委員会(以下、CDC)」です。ゆめみらしいデザインを追求してきたCDCのこれまでと、見据える未来に迫ります。

属人的な体制を打破するために立ち上げたクリエイティブ組織

▲CDCの小里拓夫(左)と小川段(右)。

使いやすいWebサービスを実現する上で、何よりも重要になるのがデザインの力。感覚的な美しさやイメージにふさわしい表現というのはもちろんのこと、直観的な使いやすさという要素もデザイナーによって生み出されます。

お客様の満足度を向上するためにも、ゆめみとしてのデザイン力の向上は必須──。そのような想いで2018年4月に生まれたのが、「クリエイティブデザイン委員会(以下、CDC)」です。

2000年に創業したゆめみは、大手企業の大規模サイトやアプリを多数開発してきました。おかげさまで、業界内で「開発のゆめみ」と言っていただけることもあります。開発のノウハウはエンジニア同士で共有し合い、蓄積していくことで、効率的かつ効果的にWebサービスや開発環境を改善してきました。

一方で、課題となっていたのがデザイン領域。プロジェクトごとに担当デザイナーが工夫して取り組んでいたものの、人数が少ないこともあって知見の共有がなされておらず、属人的な体制になってしまっていたのが実情でした。

その状況を受けて立ち上がったのが、アートディレクターの小川段です。関西の美術大学卒業後に東京のWeb制作会社へ就職、その後フリーランスとして活躍し、8年間にわたりデザイン事務所を運営した経歴の持ち主です。

小川 「デザイナー個々人のノウハウやスキルは向上していたのですが、プロジェクトが終わると各々でふたを閉じてしまっているような状況でした。企業としてのクリエイティブをつくるという感覚が希薄だったんですね。でも、Webサービスにおいてデザインの役割がますます高まっていく中で、これではいけないと。
そこで社内の委員会制度を活用し、企画や UXチーム、デザイナーを集めて CDCの設立を提案しました。入社歴が浅かったので、基本的に先輩たちに向かって提案するかたちになったのですが、抱えていた問題点が同じだったので協力的に受け入れてくれました。デザイナーの小里拓夫も、CDC設立当初から賛同してくれたメンバーのひとりです」

イラストレーターからキャリアをスタートさせた小里拓夫は、ポートフォリオ用サイトを立ち上げるためにコーディングスキルを習得。そこからWebデザインの世界に入り、ゆめみではアプリデザインを担当しています。

小里 「まずは数人で活動を始めました。最初は、クリエイティブやデザインを組織として取り組むイメージを持てていなかった社員も多かったように思います。でも、活動を続けて社内に発信していくうちに、デザイナー以外のメンバーもデザインに興味を持っていたのだということがわかってきました。デザインの影響力を実感するきっかけになりましたね」

自由なアイデアで制作するアプリが、デザインの引き出しに

▲CDCのメンバー。デザイナーを始め、さまざまな職種のメンバーが参加している。

2019年7月現在、CDCにはデザイナーだけでなく、アプリエンジニアやプロジェクトマネージャーを含めた約20人のメンバーが参画。定期的に開催する会議には、都合のつく10人前後のメンバーが参加し、クリエイティブに関するディスカッションやワークショップに取り組んでいます。

CDCの取り組みの柱は、主に4つ。UI重視のアプリ制作とデザイン系イベントへの参加、デザインのデータベース化、ツールのアカウント管理の一元化です。

UI重視のアプリ制作では、デザインの引き出しを増やすために、既成概念に捉われないアプリのアイデアを出し合います。

どんなアイデアでもかまわないので、メンバーそれぞれがおもしろいと思うものをとにかくたくさんアウトプットしていく。このように、現実的にリリースすることは目的とせず、遊び心にあふれたアプリを制作しています。

小川 「実際のプロジェクトでは現実的なものをつくり続けることが基本です。でも、アイデアを生かして実験的なアプリをつくることで、プロジェクトにも応用できるデザインの引き出しが増えていくと思うんですよ。
今、会社としてもマイクロインタラクションを強くしていこうという動きが出ています。ユーザーのアクションやステータスの変化を伝える動きが、ただわかりやすいだけではなくて、意味とおもしろさが加わるともっと楽しいじゃないですか。それに、実際にアプリ上で動きを見せられたら、お客様への提案でも説得力が増す。デザインの引き出しを増やすことは、実績のデータベースを増やすことにもつながるんです」

デザイン系のイベントやカンファレンスには、国内外問わず積極的に参加。2019年は最先端テクノロジーの祭典「SXSW(サウス・バイ・サウスウェスト)」でデザインや技術の潮流を学ぶため、CDCメンバーの2名がアメリカのテキサス州まで足を運びました。

小里 「参加したメンバーは、必ず勉強会をして知見を共有するようにしています。今まで考えたこともなかったようなことを教えてもらえるので、とてもおもしろいし勉強になりますね。
ほかにも、UX DAYS TOKYOなどさまざまなイベントに CDCとして参加しています。デザインやクリエイティブに関するフィードバックができる環境が整ったことで、みんな刺激を受けていますよ」

デザインのデータベース化では、過去のプロジェクトのカンプを集めてタグで整理。ソートして検索できるようにすることで、デザイン案やノウハウを共有し、制作時の業務効率化にもつなげています。

新しいツールがリリースされた際は、CDCが主導して導入。アカウント管理の窓口を一元化し、メンバーがスムーズに利用できる環境を整備しています。

このように、企業としてデザインの知見を共有していくことで、お客様への提案力を強化し、より良いWebサービスの開発を実現しています。

「優しさ」と「ユーモア」をデザインに加えて

▲“レビュー文化”を定着させようと、毎週水曜日にはデザイナーがデザインをする様子を社内に公開している。

使いやすさを大切にした、親しみやすいデザインが強みのゆめみ。そこにCDCとして、プラスアルファの価値を付与していきたいと小川は語ります。

小川 「 Webやアプリのデザインは、一般的に画面の遷移数をできる限り減らすことが良しとされています。教科書的には 2ステップが最適だとしても、3ステップにしたら実はユーザーにとって使いやすかったり情報が伝わりやすくなったりすることもあります。無理に 1ページに詰め込むのではなく、柔軟にユーザー目線を取り入れることも大切だと思うんです。
ステップを表すグラフも普通は棒状のものが使われますが、あえて円グラフにした方が、目標の達成状況がわかりやすくなったり。ユーザーにとって直観的に使いやすく、なおかつ遊び心のある “ゆめみらしいデザイン ”というのを、CDCの活動を通して確立していきたいですね」

ゆめみらしさをブラッシュアップしていくためにも、レビュー文化を定着させたいと考えるCDC。毎週水曜日には、5~6名のデザイナーが同時に1時間デザインする様子を、ツールを用いて社内全員に公開しています。

小里 「普段デザイナーって何やってるの?と思われがちだったところが、仕事を公開することで少しずつ理解を深められていますね。従来はエンジニアからデザインを依頼される時は、すでにつくったものをきれいに整えてほしいという要望が多かったんです。
でも、CDCができたことでデザインに興味を持ってくれる人が増えて、リスペクトを持って一歩踏み込んだ依頼をしてくれるようになったと感じています。
デザインのレビューに関しては、デザイナーだけでなくエンジニアにも参加してもらって、率直な感想を募る場をつくり始めました。『これ使いにくくないですか?』とか『遷移がおかしいと思います』とか、デザイナーとは違った目線で指摘してくれるのでありがたいですね(笑)」

お客様に対しては、おもしろいアイデアは自信を持って提案し、デザインを柔軟に考えられる切り口を用意。楽しめるデザインの良さを知ってもらうことを意識しています。

小川 「以前、スマホをじょうろに見立てて、その中に水が溜まることでポイントが貯まっていることを表現しましょう。そして、その水を使って花に水をあげましょうというアイデアを提案したことがありました。採用こそされなかったのですが、お客様は笑ってくれましたね(笑)。
もちろん、いつも現実的な落としどころは用意しています。でも、どんなアイデアも思い切ってまじめに提案することが、ユーザーが楽しめるデザインをつくり上げることにつながると信じているんです」

ゆめみらしいデザインを確立するためには、デザイナーそれぞれのデザインへかける想いが重要になります。小里はデザインをつくる上で、「優しくありたい」と語ります。

小里 「優しげなテイストという意味でもあるのですが、使ってみるとなぜか気持ちがいい。そういったユーザー想いのデザインを目指しています。ユーザーはそのデザインの仕組みを気にせず使えるんだけど、お客様にはなぜ気持ちがいいのかを理論的に説明できるように。そして、説得力を持って提案できるようになっていきたいですね」

一方小川は、「ユーモアを入れる」をモットーに活動しています。

小川 「美大時代からおもしろいことが好きで、正統派のデザインというよりは自分なりの切り口を入れたいという想いが強いです。お客様の要望に合わせながらも、おもしろいと思えるスパイスをひとさじ加えていますね。
デザイナー個人の想いを会社全体に昇華させられるとは思っていません。ですが、自分のスタンスを持ちながら、その考えに共感してくれる人たちと一緒に楽しくデザインできると嬉しいですね」

お客様の熱い想いを実現するために。“寄り添う”ことの大切さ

▲デザインに取り組むにあたり、小里は“優しさ”を、小川は“ユーモア”を大切にしている。

CDCの取り組みは、採用面でも大きな効果を発揮しています。企業としてデザインやクリエイティブに向き合っている体制に共感する採用候補者が増加。CDCが入社の決め手となることもあるのです。

向上心のあるメンバーと、ユーザーフレンドリーなゆめみらしいデザインをつくり上げていく。そして、お客様と一緒にデザインしていけるようになりたいと、小里は考えています。

小里 「やはり、お客様が一歩踏み込んでくださるプロジェクトは、絶対に成功するんです。全員の熱量が結集して、爆発力のあるデザインになるんですよ。
Webサービスやアプリで実現したいことは、お客様が一番熱い想いを持っていらっしゃいます。それを実現するためにも、一緒にタッグを組んでやっていけると、それは良いものができますよね。
そのためにも、お客様のニーズをしっかりと聞き取り、お客様に寄り添ってプロジェクトを進めていくことが大切になると思います」

一方、小川はCDCの活動を社外にも広げていきたいと語ります。

小川 「開発だけでなくデザインにも力を入れていることを、より多くの人に知ってもらいたいですね。私たちのデザインに対する考えや活動の方向性などをまとめた、“ゆめみデザイン宣言 ”を企業としてしっかり伝えることで、お客様を巻き込んで、より良いものを届けていきたいです」

CDCのストーリーはまだ始まったばかり。ゆめみらしいデザインを発信するために奔走するデザイナーたちの、これからの活躍が楽しみです。

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