感動で人の心の温度を1°C上げよう――夢ふぉとが目指す“思い出の総合プローデュース”

卒園・卒業アルバム制作をはじめ、「思い出」を軸としたさまざまな事業を手掛ける、株式会社夢ふぉと。代表を務める林さゆりは、1998年から事業を展開するなかで「人の思い出が持つ力」の強さを確信するようになりました。2015年よりアルバムセラピー協会の活動にも着手している林の、20年間変わらない想いとは?
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人生において大切なものは、すべてアルバムの中にある

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▲日本アルバムセラピー協会による、アルバムセラピーセミナーの様子

「アルバムセラピー」と聞いて、みなさんはどんなものをイメージするでしょうか。

夢ふぉとの代表・林さゆりが日本アルバムセラピー協会を立ち上げたのは、2015年のことです。その直接的なルーツとなったのは、その7年ほど前。林が女性起業家を目指す方向けのセミナーで、アルバムを持ち寄る形式のワークショップを開いたことでした。

林 「夢ふぉとの事業が生まれたのは、大好きだった祖母との思い出がきっかけでした。だからきっと参加するみなさんも同じように、過去の思い出の中に何かしらの起業のヒント——事業にできるほどの “自分自身の中の大好き”があると思ったんです。当日は、みなさんに自身のアルバムを持ってきていただき、忘れていた過去の中にタイムトリップしてもらいました」

このワークショップには、予想以上の反響がありました。写真を通して過去の自分と対峙するなか、家族に支えてもらったり、何かに夢中で取り組んだりした記憶がよみがえり、涙を流す参加者も……。

林 「ワークショップで参加者の方の反応を見て、写真やアルバム、ひいては過去の思い出が持つ力をあらためて実感しましたね」

こうした体験を、もっと多くの人たちに届けたい。そんな想いから、林はこのワークショップを「アルバムセラピー」とし、のちに一般社団法人日本アルバムセラピー協会を立ち上げるに至ったのです。

アルバムセラピーでは、参加者の皆さんに自分のアルバムを持ち寄ってもらいます。そして参加者は、写真を見て自身の過去をたどりながら、そのときに湧き上がってくる感情を少人数のグループでシェアしていきます。アルバムセラピストのナビゲートに従いながら過去を振り返り、参加者は「自分でも忘れていた自分」や、「家族や友人との絆」と向き合うのです。

林 「多くの自己啓発セミナーのように『いい話を聞いた!』で終わるのではなく、受けてくれた人の行動が、セミナー後すぐ、具体的に変わります。正直なところ私自身も、はじめはそうした成果が生まれたことに非常に驚きました。『今日帰ったら、妻に感謝を伝えます』『学生時代の友人に久しぶりに会いに行きます』『今まで許せなかった父に電話してみます』など、さまざまな声をいただくんですよね。きっと感情が動くから、行動に変えられるんだと思いました」

このように人の心に温かさをもたらしてくれる「アルバム」。夢ふぉとは1998年の設立以来、アルバム制作を主な事業として担ってきました。その経緯を知るため、ここからは林の過去をさかのぼってみましょう。

明治生まれの祖母との思い出が、起業の後押しに

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▲代表取締役 林さゆりと、大好きな祖母

幼少期から好奇心とバイタリティーにあふれていた林。「石橋を叩いて渡る」のではなく、とにかく思い立ったら即行動。未知なもの、未経験な領域にも自らどんどん飛び込んでいくタイプでした。

林 「とにかく未知の世界への好奇心が強かったですね。特に大学を卒業して働きはじめたあとは、転職するタイミングで、いつもひとりで海外に飛び立ちました。約20カ国を旅して回りました。知らない世界中のことを、ちゃんと自分の目で見てみたかったんです」

旅の信条は、現地の人と同じ生活をし、同じ目線で交流すること。発展途上国を中心に、パッケージツアーなどではなく、バックパッカーとして旅をしていました。そこには、もともと「人が好き」な林の気質が反映されています。

林 「旅先で現地の人と出会い、同じような生活をする。そうすると見えてくるもの、感じることが、パッケージ旅行と比べて100倍違う気がしました。それが楽しくてしょうがなかったですね」

そんな旅を幾度か重ねるなかで、林は起業への漠然とした憧れを抱くようになります。

林 「旅先で出会った子どもたちの生活を、少しでもよくしてあげたいと思ったんです。それなら将来的に起業し、ゼロから作った資金で支援していきたい、と。自分の力で、ひとりでも多くの人生をより良くすることができたなら、これほどうれしいことはありませんから」

「人の役に立ちたい」という想い。これは、林が幼少期より17年間一緒に過ごした、明治生まれの祖母が育んでくれたものでした。


「ありがたい」「もったいない」「人様のため」「いいことはどんどん広めなさい」——祖母が口癖のように言っていた言葉は、ひとりでも多くの人生を幸福にしたいという林の意思を、強く後押ししてくれました。

林 「起業にあたって、たった1冊あなたの思い出写真集、アルバム制作の事業を選んだのは、大好きな祖母の思い出を形にして伝え、残したかったからです。それは私にとって大事な宝物。でも当時は、私が考えていたようなアルバムを作ってくれるサービスがありませんでした。

無形の財産である“思い出”を形にすることで、自分自身の希望を叶えるだけではなく、多くの人の幸せに貢献できると思ったんです」

「祖母との思い出」というかけがえのない宝物を胸に、1998年、林は夢ふぉとを創業しました。

「思い出」を軸に、さまざまなサービスを生み出してきた20年間

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▲夢ふぉとが制作しているアルバム

創業時、林の手元にあったのは、間借りした電話1本と机ひとつ。人員は林ひとり。悩んでいる余裕もない状況で、まず彼女は“考えるより走る”ことからはじめました。

林 「人手や資金がないなら、知恵を出すしかない。最初は赤字続きでしたので、3万円で出した広告も無駄に終わり、それ以上はお金がなかったんです。そこで、本屋でたまたま見つけたマスコミ電話帳を買ってきて、自分が出たいと思うテレビ・雑誌・新聞の制作部、編集部に、『記事として取り上げてもらえませんか?』という手紙を書きました。

商品の写真も撮って焼き増しして、手紙と一緒に入れて送りました。そうすると間もなく大手の新聞に目を留めてもらったのを皮切りに、出たかった全てのメディアで取り上げてもらえるようになりました」

こうしたメディア露出は、新たなビジネスモデルが生まれるきっかけにもなりました。

あるとき学校教材メーカーを営む社長様から、「少子化や過疎化の影響で、卒業アルバムが作れないまま卒業する子どもたちがいる」という声が林のもとに届いたのです。

それまで個人向けの「思い出写真集」を作っていた夢ふぉとは、この相談をきっかけに、2001年より子どもたちのための卒園・卒業アルバムの制作へと舵を切ることとなります。

この事業が順調に伸び、2007年にはインターネット上で卒業・卒園アルバムが作れる「卒業アルバム.com」「卒園アルバム.com」等の提供を開始。それから10年がたった今でこそ、スマートフォンの写真を簡単にフォトブックにできるサービスなどが出てきていますが、夢ふぉとは「卒園・卒業アルバム制作」というニッチな分野にフォーカスすることで、お客様からの支持をずっと集め続けています。

2017年現在、夢ふぉと創業から来年で20年がたとうとしています。

「脇目もふらず石橋を走って渡りきり、振り返ってみたら橋が落ちてなくなっていたことも多々あったかな」と、笑ってこの20年を振り返る林。今では卒業・卒園アルバムや自分史アルバム制作以外にも、「夢カプセル(本棚にしまえるタイムカプセル)」や卒業アルバム制作ソフトの提供なども行なっています。

これらのサービスを貫く夢ふぉとの企業理念は、「思い出で人の心の温度を1°C上げる」というもの。

林 「私たちの仕事は、“思い出の総合プローデュース業”なんです。写真やアルバムは、あくまでもハードの部分。思い出で人の幸せに貢献したいという想いが根底にあります。夢ふぉとの商品やサービスを心に届けて、大勢の人々の心の温度を上げていく。そうすることで、よりよい社会を少しでも実現できるのではないかと思っています」

社会問題を少しでも解決するため、人の心の温度を上げていく

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▲夢ふぉとのメンバー

「1℃どころか、2℃も3℃も、心の温度が上がりました!」――ありがたいことに、当社のサービスを利用してくださったお客様から、そうした言葉をかけていただくこともあります。

そうしたみなさまの声に応えるべく、今後、夢ふぉとはアルバムとセットで、個人の「思い出」にひもづく商品の開発を目指していきます。

どこでも買えるものではなく、夢ふぉとだけが形にできるオンリーワンの商品やサービス——写真に限らず、絵や手紙や声なども合わせ、子どもたちが大きくなったときに見返して、心の温度を上げてくれる宝物。

子どもだけに限らず、「自分史アルバム」作成セミナーなど、年配の方にも感動を届けるため動いています。

高齢化が進み、老人ホームや介護施設などをふくめ、家族と離れて過ごしている人たちも多いもの。そんな方々に、もっと家族の絆や愛情を伝えることができないか……。「独りぼっちじゃない、いつも家族と一緒だよ。」と、常に感じてもらえるツールを届けていきたい、林はそう考えています。

林 「東日本大震災で失くしたモノの中で、一番惜しかったもの、一位が実はアルバムなんです。人にとってプライスレスな価値のあるものが「思い出」であり、それが「アルバム」の中に全て詰まっています。愛情・友情・家族・絆・感謝や感動……。

でも日常生活では、なかなかその貴重さに気付けない。夢ふぉとは、スピーディに進み続ける時代に、『人にとって本当に大切なモノ』に気付いてもらえるようなサービスを提供していきたい。

鬱や自殺、高齢者の認知症など、ともすれば人が壊れてかけている時代に、ある意味思い切り時代を逆行するようなアナログな商品やサービスにこだわってみたいんです。永久に残るアルバムという、人の血の通った、思いやりや温もりに触れられるような、温度のあるモノづくりを続けていきたいと思います」

少子化に高齢化、関係性の希薄さから生まれる無縁社会……。現代の日本社会にはさまざまな課題があります。決して、劇的な解決策ではないかもしれない。それでもきっと役に立つこと、わずかでもよい方へ変化することがあるはずです。

「人様のお役に立つためだけに、神様から与えられた身体は使ったらそれだけで良い」――大切な祖母が教えてくれたことを、林は今日も、夢ふぉとを通して実現するために走り続けています。

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