思い出をカタチにして手元に届け、感動を呼ぶ事業を作るーーはじまりは、一冊のアルバムから

スマートフォンで手軽に写真を撮れるようになった今。でもこの時代に、「卒業・卒園アルバム」を手にできない子どもたちがいるのをご存じでしょうか。そんな子どもたちのため、大切な思い出を託してくれるお客様のため、夢ふぉとはイチから「思い出」事業を作り上げてきました。代表の林さゆりが、その背景をお話します。
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創業のきっかけは、私が世界で一番好きな人

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▲夢ふぉと創業のきっかけになった祖母との写真

私がアルバム制作をはじめとした、さまざまな「思い出」事業を仕事にしていきたいと感じた理由。そこには、大好きな「祖母の存在」がありました。

私の亡くなった祖母は、明治40年生まれ。私にとっては、一言でいうと「神様のような人」。世界でいちばん大好きな人でした。

その祖母の口癖は、「ありがたい」「もったいない」「人様のために」「自分を下に」「親を大切に」……。

その他にも共に生活するなかで「徳を積みなさい」「人の良いところだけを見れば良い」「恨み・妬み・怒りは心のほこり」など……。信仰心の厚かった祖母から教わったことはたくさんありました。

時代は明治から平成へと変わりましたが、有名な先生方の講演を聞いたり、本を読んだりしても、「これって、おばあちゃんが言っていたこととほとんど同じだな」と思うことが多くて、結局は人として大切なことは、遠い昔から不変のものだと気づきました。

しかしこの祖母の思い出は、私の心のなかだけにしかありません。もし私が死んだら、祖母のことを伝え残すべき手段は何もなくなってしまいます。

有名人でも著名人でもない、普通の田舎のおばあさんですから、その人の人生を後世に伝え残すようなツールがあるわけがありません。

「明治生まれのおばあちゃんのことをカタチにして子や孫に伝え残したいけど、どこにもその方法がない…だったら自分で作ろう」そんな単純な発想が、「夢ふぉと」のはじまりでした。

そして全国にはきっと、私と同じような想いをもった方がたくさんいらっしゃるはず。大切な思い出を残すツールがあれば、きっと多くの方に喜んでいただけるものが作れるんじゃないかな?

そう感じた私は、自分でアルバムを作る事業をはじめることにします。机ひとつ、電話一本、月3万円で4畳の部屋を間借りしてのスタートでした。

たった1冊の「あなたの思い出写真集」、作ります

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▲創業時に制作していた、個人のための思い出写真集

「たったひとりでも夢ふぉとを必要としてくださる方がいる限り、この仕事を辞めない」

これは、夢ふぉとを設立したばかりのころ、あるお客様との出逢いをきっかけに、私が自分自身に誓った言葉です。

それは、私がまだひとりで個人のための「思い出写真集」の制作を行なっていたころでした。

あるとき、3歳の男の子を亡くされたお母さんからのご依頼で、アルバムを作らせていただいたのです。

その写真集は、暗い海の写真を表紙のバックデザインにひいて、その上にお母さんと3歳のお子様の写真があったのですが……。正直、私はなぜこんなに暗い海の写真が表紙なのだろうと不思議に思いました。

そのお母さんにお伺いすると、「この子が私の実家(四国)から見えるこの海を見て『ぼくのお家、海のこの向こうにあるねんでぇ』と言ったんですよ。」と……。

ああ、そうか。思い出が詰まっているからこそ、この写真集にはこの表紙がふさわしいのだ。いや、これじゃないと駄目なのだと、そのとき、悟りました。

その人にしかわからない、その人だけの大切な、大切な思い出。他人にはわからなくてもいい。その本人だけがわかってさえいたら、それでいい。そう教えられたのです。

また7歳のお子様を亡くされたお客様から、お子様の写真集を作ってほしいというご依頼をいただいたこともありました。心を込めて写真集を作成しましたが、私は「もっと何かして差し上げられないか」と考えました。

そのとき思い出したのが、お客様が打ち合わせの際に話していた「あの子は天使になったんです……」という一言。そこでお子様の写真を、雲のじゅうたんの上にいる天使のように合成してパネルをお作りし、納品のとき、一緒にプレゼントさせていただきました。

するとお客様が、受け取ったアルバムを見て涙を流して喜んでくださったんです。

帰り際に言ってくれた「このお仕事、ずっと続けてくださいね」という言葉。そのひとことは、今でも私の心に深く残っています。

そのとき、私のこの仕事への覚悟が決まりました。

その後、もう辞めてしまおうと思うほどつらい時期や、うまくいかないことがあっても、いつもこのお客様からかけていただいた言葉に助けられてきました。

私たちはモノを作っている訳じゃない、人(お客様)の宝物、感動をつくっているのだ、という誇りを持ちたいと思えたエピソードです。

個人向けのアルバム制作から、全国の卒業・卒園アルバムへ

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▲雑誌に掲載された夢ふぉとの記事

アルバム制作を続けて3年がたったころ、夢ふぉとの事業が新聞に掲載されたことがあります。それを見た東大阪にある学校教材メーカーの社長さんから、声をかけていただきました。

「今、少子化と過疎化で、卒業アルバムが作れなくて困っている学校が全国にたくさんあります。卒業式に卒業アルバムを持てない子どもたちがいることを知っていますか? あなたのところは、1冊からでもアルバムが作れるのなら、そういう子どもたちの卒業アルバム作りに協力してくれませんか?」と。

そのお話をいただくまで、卒業アルバムは誰もが当たり前に作り、みんな持つことができているものだと思っていました。そのため、卒業アルバムを持つことができない子どもたちの存在にとても驚いたのです。

大切な一生ものになる「卒業」の記念アルバムを作れるのなら……。子どもたちの笑顔のためにも、ありがたく是非、協力させてくださいと私からもお願いしました。

夢ふぉとでは、個人の思い出写真集づくりの事業を全国展開していくために、「制作キット」を用意していました。写真をまとめて、デザイン背景を選んで指定して…と誰でも簡単にアルバムを作ることができるこのキットを、卒業アルバム用に作り変えていくことにしたのです。そして全国の過疎地や少子化で困っている地域からも、インターネットで注文を取れるように販売方法を拡大していきました。

その“地域”の写真館が卒業アルバムを作るという常識のあったビジネスを、インターネットによって全国展開型、さらには世界中を相手にビジネスを展開できるようになったのです。

そのおかげで、2017年現在、日本全国、さらには海外各地の日本人学校からも依頼をいただいています。

核家族化が進み、人や家族・友人との関係が希薄になってきた昨今、「思い出を形にする」というサービスを通じて、人と人、家族や友達を温かくつなぐ役目も夢ふぉとにはあるのではないかと感じています。しかし近年はデジタル化が進み、便利になった反面、「思い出の写真」が残らなくなりました。

昔、アナログの時代はフィルム写真でしたので、必ず現像した写真をアルバムに貼って残したものです。その「習慣」が時代の流れでなくなりつつあります。

そんななか、従来の「ただ、あれば良い」「いつもと同じように作りさえすれば良い」という卒業アルバムの世界観を、私たちの力で「もっと楽しく感動的」なモノに変えたいと思っています。

夢ふぉとが目指しているもの。思い出の力を信じて

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▲代表取締役の林さゆり

私たちが目指すのは思い出づくり(アルバム作り)で人を幸せにしていく会社。

私たちは「アルバム」というモノを売ってはいますが、今までに一度も、「モノ」を売っていると感じたことはありません。

私たちが提案する思い出づくりに関わる商品やサービスをお客様にお届けすると、そのたびに感動が生まれます。そんな感動の瞬間を、今までいくつも、目にしてきたからです。

社員やわたし自身も、日々アルバム作りでお客様の思い出に触れ、それをカタチにして残すお手伝いをすることで「アルバムの価値」を感じています。

アルバムは、人にとって一番大切なもの=プライスレスな価値あるモノすべてが入っています。

しかし日常生活のなかで、アルバムは押し入れや本棚に追いやられ、ほこりをかぶってていることが多いのではないでしょうか。平時にもその価値の大きさに気づいてほしいから、アルバムの価値を伝える啓蒙活動も、私たちの大切な使命であり、役割だと思っています。

時代が変化し、スマホなど記録媒体も多岐に渡っています。デジタルの手軽さなどが注目されるなか、あえて、アナログなアルバムづくりを通して、大切な思い出と人を繋ぐ架け橋となっていきたい。そう私は考えます。

はじめてできた友だち。学び舎。恩師。取り組んだ部活など……。卒業・卒園という人生の新たな旅立ちに、今まで過ごした学生生活の思い出を一生の宝物として持っていてほしい。そんな願いを込めて。

お客様にもっと喜んでいただくには、どんなことができるか?

お客様の心に寄り添い、”もうひとりのアルバム委員さん”のごとく、どれだけ真摯に向き合い、アルバムを作り続けることができるか?

「思い出で心の温度を1℃上げます」――この理念のもと、私たち夢ふぉとの挑戦はまだまだ続きます。

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